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ネット恋愛 ブログラバー 39 【真夜中に花開く・・・】

《文:桃》

真梨子のブログ、さまざまな人のブログ、多恵のブログと、見学ばかりしていて気がついたら、もう時刻は深夜の2時を回っていた。本当にハンドルネームの様に「真夜」になっちゃったわと、一人で苦笑しながら、ついでなので、自分のブログの初日の日記も記入してしまう事にした。

月下美人
*真夜の日記*

hanakoblog.jpg



今宵一夜限り……
月灯りの下で、たわわに大輪の花を開いて、

あなたとの出会いを待っている……
子供の頃、僕は男の子になりたかった。
大人になれば男になれるって信じていた。
なのに大人になつて僕は女になってしまった。
                         真夜(まや)



《真夜の日記》

 高校時代の友人達に影響されて今日からブログを綴ってみる事にしました。
 私の職業は……おおっと~ブログって、こういう個人情報はいちいち自己申告しなくていいんですね。
 初めてなので、どーも勝手がわからない^^;。
 毎日、職場では色々な人を見るんだけど……
 この時間まで沢山のブログを見学してて、
 ブログにも色んなものがあるんだなぁ~
 人間の個性の数だけブログの個性もあるんだな・・・と感心していました。
 プロフィールの写真はまだのっけるのは止めておこう。ハンドルの真夜は真夜中みたいに静まりかえった中に自分の心を置いて、よくよく見つめ直してみたい事が沢山あったから。ブログのスタイルはまるで考えてないけれど、書き進めてゆくうちにきっと自分らしいスタイルが出来て行くんだろうな。
 もう遅いから今日はこの辺で……おやすみなさい。

ネット恋愛 ブログラバー 38【レディコスモスとの出会い】

《文:シナモン》

 よきにつけ、あしきにつけ、僕は何ごとも途中で投げ出すことができない性格らしい。ブログを立ち上げたものの、アクセス数は思うように伸びなかった。
 エロ系のトラックバックと新興宗教の信者らしきブロガーからのコメントだけはよく入った。ぼくの日記に関係のないトラックバックをせっせと削除する毎日だった。トラックバックを閉じているブロガーも多いようだが、スパマーに屈服するようで閉めてしまうのは不本意な気がしていた。
 しかし、あまりにも反響がないのでだんだん凹んできたある朝、初めてまともなコメントが入った。


コメント
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■いにしえのひとたちから教えられました

 古代の信仰には母なる大地に対する謙虚な気持ちがあったのですね。現代に生きるわたくしたちにはそういう謙虚さが失われてしまったような気がします。気づきをいただきありがとうございました。

レディコスモス(2006年4月3日 22時14分)

 自分の主張を一方的に押し付けたり宣伝目的のコメントではなく、この人は間違いなく日記の内容を読んでくれている。さっそく《コスモスさん》のサイトを訪問した。

レディコスモスの生きている記録



2006年4月3日
おはよー



 いま、おきた。

顔文字アニメバリア

 朝ごはんはなっとーとなまたまご。たまごかけごはんにしてたべました。
 ねむい。春はねむいねー。
 おやすみなさい。

 (2006年4月4日08時12分)

 小学生か?と思った。ぼくのブログへのコメントとあまりにイメージが違っている。プロフィールをチェックする。
 家事手伝い系。23歳。女性。
 成人女性が書いた文章とは思えなかった。ネットでは若い女性になりすましてアクセス数を稼いでいる中年女性(ときどきは男性)が存在すると言われているが、23歳になりすます小学生? というか、この文章は大人のふりすらしていない。
 過去の日記を遡って読んでみた。ほとんど同じような内容だった。何を食べた、どんなテレビを観た、夕食のとき父親に「パソコンばかりやっているな」と叱られた…など身辺雑記を何のひねりもなく書き綴っているだけ。それがすごい頻度で更新されていた。1日に5、6回書かれている日もあった。
 日記のタイトルはすべて<おはよー>になっていた。
 一体、どんなキャラクターなのか、わけが分からなかった。
 とにかく、コメントのお礼はしておこうと思った。

■春は…
 本当に眠いですね。お休みなさい。

 いえ、これを読むときはおはよーですね。

 ご訪問&コメントありがとうございました。

 ナイトホーク(2006年4月4日10時02分)

 コメントを書き終わり自分のサイトに戻って驚いた。レディコスモスからの返信が入っていた。

 ■眠らぬ夜には
 最近昼寝をしてしまうので、夜なかなか寝付けない日が続いております。ナイトホークさんは夜眠れない時はどのように過ごされますか?


 わたくしは熱い紅茶にブランデーを2,3滴垂らしたものを飲みます。カフェインは睡眠の妨げになると申しますが、わたくしはお酒があまり飲めませんのでこのようにしています。


 音楽も時にはよいですね。わたくしは音楽は何でも聴きます。クラシックや洋楽(UKかスウエーディッシュポップが好みです)を特に良く聴きますが、ベッドの中では1950年代のビッグバンドジャズ(グレンミラーなど)をボリュームを絞って流しておりますと、いつのまにか夢の中にいます。
 CDプレーヤーの電源をつけたままにしてしまい、母に叱られることもありますが…。

 さっそくのご訪問ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
 ごきげんよう。

 レディコスモス(2006年4月4日10時02分)
 

 自慢ではないが、ぼくのキーボード操作は遅い方ではない。むしろ職場でも速い方だった。僕が戻ってくる間の数秒でこれだけのコメントを入力したというのか?
 信じられなかった。
 それにこのコメントの文章には、古風と言ってもいい(ごきげんよう?)奥ゆかしさがあった。日記を書いているの女性と本当に同一人物か?
 それ以来、僕は<レディコスモス>と名乗る女性への興味から、彼女のサイトを毎日訪問するようになった。

『浦島太郎の恋 2』

《文:桃》




いくら飲んでも全く酔えない気分だった。


日付が変わろうとする少し前、

浦島は重い腰を上げ勘定を済ますと、暖簾をしまい閉店支度に取りかかっていたその居酒屋を後にした。

店の前の細い通路のような道を抜けると商店街の大通りへ出た。

浦島の住むアパートはその大通りを真っ直ぐ西へ進み幹線道路に出たら信号を渡り、


そこから更に10分ほど歩いた場所にあった。


いつも通る公園の横道へ差し掛かった時、公園の中の方から何やら騒がしい声がした。

「てめえ、おとなしく金出せってんだよ~このクソオヤジがぁ~」

穏やかではない罵声に、ただ事では無いと公園の中に入って行くと、

4人の派手な格好をした若い男達が、

1人の中年男に向かって殴る蹴るの暴行を働いていた。

男は地面に蹲り頭を抱えてされるがままになっている。


「こらあ~!おまえ達、何をしてるんだ!」


浦島が一喝すると彼らは一斉に浦島の方を振り向き、

そのリーダー格らしい男が、ふてぶてしい表情を浮かべながら

「あ~ん、なんだぁ~てめえは?!文句あんのかよう~ええ!」

と大声を出し、残りの連中はヘラヘラと薄笑いを浮かべていた。


浦島は、つかつかと、そのリーダー格らしき男の所まで行くと、

いきなり胸ぐらを掴み「おう!文句があるから言ってんだ!弱い者虐めはやめとけ兄ちゃん!」と言って、


その男が拳を振り上げるよりも早く、

強烈な左パンチを喰らわせた。


男も黙っていようはずもなく、

それからは4対1の取っ組み合いになったのだが、

浦島は腕に自信のある空手4段で、街のチンピラ達が適うわけもなく、

怖じ気づいた連中はシッポを蒔いて逃げ去って行った。




「大丈夫ですか?」

蹲る中年男性の背に手を添えながら声を掛けた。

男は顔を上げ浦島を見上げると「ありがとうございました!」と、

そのままの姿勢で再び地面に頭を擦り付けた。




浦島が差し出した手を借りて立ち上がったその男は、

服についた泥汚れを払いながら「亀田です」と名のった。


幸い、たいした怪我もなかったようなので、

「では気をつけて帰って下さい」と立ち去ろうとしたのだが、

亀田は、どうしても、このお礼がしたいからと、

「自分の馴染みの店で一杯ご馳走させて下さい」と浦島に懇願した。


二人並んで歩く道々で亀田は、

自分は大きなレストランの経営者である事。

今日はそのレストランの従業員の慰安旅行の為の費用を銀行で降ろした

まとまった金を持っていたので、浦島に助けてもらって、

本当に有り難かった事などを親愛の情を込めて話してくれた。

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浦島太郎の恋 1

読者の方から桃の過去の作品を読みたいという要望をお寄せ頂きましたので、本日から少しずつ連載を開始したいと思います。
:*.☆。o:☆';*。:*.☆。o:☆';*。:*.☆。o:☆';*。:*.☆。o:☆';*。:*.☆


《桃:過去作品》
 『浦島太郎の恋 1』

 浦島は、その日は酒にでも酔わなければ、やってられないような心境だった。
 38歳独身のマジメなサラリーマン、浦島には惚れた女がいた。
 女の名は真理子。ふっくらとした丸顔の笑顔の愛らしい女だった。

 真理子は離婚歴のある子持ちの34歳だったが、そんな事は気にせずに浦島は自分なりに真理子も、5歳になるその子供も大切にしてきたつもりだった。

 ところが、その日の昼間、会社の休憩時間を利用して真理子と昼食を共にした時、真理子の方から突然、別れ話が切り出されたのだ。

「これまで色々良くしてもらった事には感謝してるんだけど・・・」

ためらいがちに途切れ、途切れに切り出されるコトバに、浦島はすぐに別れ話である事を悟った。

「男が出来たのか?!」思わずカッ!となって真理子の顔を睨み付け吐きつけた短いコトバに少し身をすくめながら真理子はうつむき、そのままコクリと頷いた。



 真理子は元々、年下男好みの女だった。

 ヘソや唇にピアスを付けて髪をカラフルに染めているクラブのDJやカリスマと呼ばれるような若い美容師・・・

 そんな今時感のある若い男への憧れが、いつも真理子の胸にひしめいていた。

 真理子と過ごした日々の中で、なんとなくそれを感じ取ってはいた浦島だったが、誰にだって憧れはある。

憧れと現実の見分けが付かないほど彼女の自我は幼くはないと、タカを括っていた。

 ところがライバルは意外なところからやってきた。

 ヘビメタなんて音楽が未だにあった事も知らなかったが、

 ポップスが無くならないように

 消えてしまう音楽のジャンルなんてものは無く

 ヘビメタもまた一部の若者の間では健在で

 真理子が恋仲になった男は

 背中一面に龍のタトゥーを彫った現在ヘビメタ界の風雲児とか呼ばれている男らしい。

 「らしい」と言ったのは、真理子がそう語ったからで、浦島は、その男に直接会ったわけではないので「らしい」なのであった。

ネット恋愛 ブログラバー37 【真夜中のトラックバック】

《文:シナモン》

真夜中に目が覚めて、初めて作ってブログの様子を見るためパソコンを起動した。僕の日記は無法者たちに蹂躙されてしまっていた。

コメント
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■兄刃氏は、金剛教会信者
今、世間を騒がせている耐震偽装犯罪の兄刃建築士も金剛教会信者です。そして、その尻拭いに税金を投入しようとしている南田国土交通大臣も金剛教会信者です。
金剛教会の狂信者達は、どこまで身勝手なのでしょうか?
金剛教会の悪行もいい加減にして欲しいですね。より詳しいことは私のサイトをご覧下さい。

http://blogs.XXXX.co.jp/no_more

もしも可能であれば、この私のHPへのリンクをお願い致します。
no_more (2006年03月28日 12時56分)

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トラックバック

■ブログタイトル:神さまありがとう

■記事タイトル:神社の違いと特徴
■記事概要:「今日の言葉」神様は私を絶対に見捨てないありがとうありがとう。神様は絶対に貴方を見捨てるときはありません。もし、そんな事があるとしたらそれは貴方が神様を見捨てたときです。気がついたら『神様は私を絶対見捨てない。ありがとうありがとう』って言ってみてください。それだけで神様と仲直り出来ますよ。(2006年03月29日 01時28分)

■ブログタイトル:イオナの「やら猿」「させ猿」

■記事タイトル:神社の違いと特徴
■記事概要:誰にも言えないヒミツが一つや二つある。ヒミツになんかしてないで教えてよ~。そして人間は他人の秘密を知りたがる……こんにちは。イオナです。今イオナにもとっておきのヒミツがあります……。

(2006年03月29日 01時34分)


■ブログタイトル:パールヴァティの娘

■記事タイトル:神社の違いと特徴


■記事概要:今日が終わります。今日が終わります。いろんな思いが交叉してどう祈っていいかわかりません。だから 今夜はお祈りしません。すべてを神様がご存知ですから。言葉にできない思いをそのまま 神様にあずけます。

(2006年03月29日 02時13分)

 な、なんじゃああああああ。

 「神社」という言葉を記事タイトルに使ったせいか、新興宗教ネタとH系のトラックバックばかりが入っていた。もちろん、だれ一人僕の日記を読んでいる様子はなかった。
 モチベーションが著しく低下するのを感じた。やっぱり…ブログタイトルが「となりの氏神さま」というのがまずかったのだろうか。

 ぐっすん。


●シナモンより補足(蛇足?)

 前にこの【ブログラバー】でも、桃さんが書いていました
が、トラックバックの定義をいろいろ調べてみると《ブログの主要機能の一つで、ある他人の記事に対し、自身のブログにて言及したことを通知する機能、あるいはその行為のこと》ということでした。

 これは、いくつかのポータルサイトの説明を僕なりにまとめた、いわば【最大公約数的】な定義です。初めてブログを始めた別のサイトでの説明はもう少しシンプルで、「トラックバックとは記事同士をリンクする、リンクしたことを通知する機能」というものでした。ここには「言及」というキーワードが欠落しているのですね。だから、トラックバックスパムへの対応が悪く、トラックバックを閉じてしまうブロガーが大変多かったようです。

 僕の基本的な考え方は、「せっかくついているのだから使おう」というものです(考えと言えるほどのものじゃありませんね。_| ̄|○)
 もうひとつ、「スパムが入るから閉める」というのは、なんとなく屈服したような印象があって不本意なんです。交通事故にあう恐れがあるから、外出しないようにしようというのとちょっと似ているのかなと思っています。出張などで数日間ブログがいじれない時は閉めたことがありましたが…。

 実は、このブログラバーでも、面倒くさいから数日間トラックバックを閉めたことがありました。だけど思い直して、「来るならこい。面白かったら小説のネタに使ってやる」くらいの気持ちを僕個人としては持っています(桃さんの考え方は聞いてません)。

 なお、ブロガーのトラックバックに対するスタンスを非常に分かりやすく解説したサイトがありましたので紹介します。ブロガーの気質を民族闘争になぞらえて解説していて、とても納得がいきました。

トラックバックをめぐる4つの文化圏の文化衝突――「言及なしトラックバック」はなぜ問題になるのか

ブログ王 2 【美しき魂よ天然】

《文:桃》




☆これはブログ王 1【サバイバルはじまる】
の続編です。☆




校長の話は更に続いた。


「自決などという言葉は長らく戦争の無いこの時代では、

すっかり使われる事もなくなった忘却の彼方、前世紀の遺物的な、

死語であるので、わからない諸君も多いかと思いますので、

説明しておきます。


自決とは自ら命を絶つという意味です。

古くは第二次世界大戦下の沖縄戦の犠牲者や、

特攻隊員が実際に歴史上行った行為なのです。


もちろん学校教育者である我々のような立場の者が、

君達のような前途ある中学生に、このような決断を迫るのは、

誠に偲びない話ではあるのだが、

政府与党の最終決定事項であるので、どうにも致しかたない。

それほどまでも今、我が国は食料事情において、

せと際まで追い詰められているという事です。


とにかく皆さん生き残る為には、

審査を通過出来るような価値のあるブログを作る事なのです。


審査はブログ制作半年後から国民の中から無作為に選ばれた

民間審査員によって公平かつ厳選に行われ、

一切の人気取り活動やコネクション闇取引などは許されず、

そういう裏活動が発覚した場合には、その場で失格となり自決組行きが決定します。当然闇取引に応じた審査員もそれ相当に裁かれるのです」




マミは校長先生の話が難し過ぎて今ひとつよく呑み込めなかったが、

「とにかく面白いブログを作れば賞を取れて誉めて貰えて

幸せ夢気分なのだな」という事はなんとなくわかったので、

「はーいo(*^▽^*)o♪あたし頑張っちゃいま~~す」と明るく可愛く答えた。




他のクラスメート達は冷めた面持ちをして一斉にマミの方を見た。


中には明らかに憐憫の表情を浮かべるものもあった。


マミはみんなから「天性の天然」と呼ばれて親しまれていた が、

こういう緊迫した時には、その天然もちょっぴり痛々しかった。


マミを悲しそうな目で見つめるクラスメートの中に、

学級委員長であり生徒会会長の間宮勇介の顔もあった。




「ええ~尚、ブログの審査は1年間を持って満了としますので、今年の3年生は特別に受験が免除され、各選に選ばれた人は本人の希望する高校に無条件で推薦入学する事が出来ますので、その点は心配しないように」と校長の話は締めくくられた。



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お忙しいところ恐れ入ります。
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いつも、すいませんm(_ _ )m

ネット恋愛 ブログラバー 36【出っ歯のパトリシア】

《文:桃》

さまざまなブログを覗いた後で、多恵のブログにも行ってみた。
 まず驚いたのは、多恵のハンドルがパトリシアとなっていた事だった。パトリシアってフランス人の名前だと思うが、あまりにも現実の多恵とはイメージが掛け離れていたので、申し訳ないが、おかしくて飲みかけていた
ココアをおもいっきり吹き出してしまった。
 言っては悪いのだが多恵は、ちょっと釣り上がり気味の脂肪の多い小さな目で、小鼻が上向き加減で横に幅広く、歯茎から大きく前に飛び出している出っ歯だった。
 一言で言えば、獅子舞の獅子頭を連想する顔立ちであった。
 慌てて顔をパソコンのブラウザから右側に大きく背けたので、パソコンは無事だった。やれやれ(;^_^A アセアセ
 しかし、また、なんで、こんなハンドルを……そう思いながら、プロフィールの写真を見ると、誰だか知らない……たぶんファッションモデルか何かの職業の人か?と思われるような綺麗なクッキリとしたハーフのような顔立ちの女性の写真が貼ってあった。
 あれ?多恵のブログだと思って、アドレスバーにURLを打ち込んだと思ったんだが、間違えたのかなっ? そう思いながら「メールはコチラ」と書いてあるアイコンをクリックしてみて出てきたのは、やはり多恵のメールアドレスだった。
 どうなってるんだろう???
 そんな疑問を残しつつ日記を読み進むと……会社で上司にいびられた事とか、好みの男子社員がいなくてつまらないだとか、どんなに美味しいものを食べても、ひとりぼっちじゃつまらないわ~彼が欲しいわ~……そんなような内容が取り留めもなく書かれてあるかと思えば、また別の日には乙女チックな恋のポエムが綴られていた。

 その詩がコレ↓
 『フォーエバーマイラブ』


いつまでも
愛していますと一人つぶやいた


あなたのいないシーズンの中で、
チェリーブラッサムの花びらは今年も変わりなくハラハラと舞う
さみしい私の心模様など知りもせずに
優しいその色合いで人々を癒している


フォーエバー私の心は青ざめたあの日のまま
凍り付いたまま


フォーエバー永久に
あなたを愛する
あなたの温もりを胸に生きる


申し訳ないが、またしても笑ってしまった。
 なんでパトリシアなんていうフランス人みたいなハンドルなのに、やたらとマイラブとかフォーエバー、フォーエバーとか、英語ばっかり出てきているんだろう?
 しかしこちらもまたコメント欄を見ると30件以上付いており、そのほとんどが男性だった。
 読んでみると、どうも、写真の女の人が多恵、本人だと疑いを持っていない人達ばかりのようだった。
「あなたのような素敵な人に、こんな辛い思いをさせる男を許せない」
みたいな趣旨の書き込みが多かった。
これって詐欺じゃないのか?

ネット恋愛 ブログラバー 35 【エロリスト】

《文:桃》

自分のブログを立ち上げて、日記を書く前に、聞いていた真梨子と多恵のブログに挨拶に行く事にした。
 まずは真梨子のブログへ行ってみる。

エロリスト

な・・・なんじゃああああああこりゃあ?!

 いきなり目に飛び込んで来たドぎつい真っ赤なタイトル文字。壁紙は黒地に鎖の柄があしらわれた意味深な大人のムードを漂わせていた。プロフィール欄には、わざとらしく胸の谷間も露わな露出系の紫のキャミソールを身に付けた写真が……。
 真梨子らしいと言えば確かに真梨子らしいけれど、とても一児の母のブログとは思えない過激さを、既にTOPページの冒頭で物語っていた。
 真梨子が、このブログを開設したのは昨年の夏の事だったそうだ。私は「ブログ」というものを覗いたのはこの真梨子のものが初めてだったけれど、私が「ブログ」という言葉に思い描いていたイメージとは、どうもかけ離れたものだった。
 どれ日記を読んでやるか。
 ふ~む。ハンドルネームはアリスというらしい。

アリスの不倫日記

3月16日


 正午前に待ち合わせて彼の車で軽井沢の彼の別荘へ向かった。
 ここのところ彼のお仕事が忙しくて、もう半月も会っていなかったので、もう体が疼いて疼いて・・・あ~~~ん、とても別荘に着くまで待ちきれない!
 途中パーキングエリアで降りた時に建物脇の喫煙用テーブルへ行ったら、幸いにも人影がなかったので、そこで彼ったら、キツく私を抱きしめて……(*/∇\*)イヤ~ン♪
 その力がスゥーーと抜けたかと思うと、彼の目は私の目をじっと見つめ…… そして私の髪をそっと後ろへ撫でつけて、その大きな温かい右手が私の頬を包み込んだと思ったら、自然に私達の唇は重なってキスをした。
 彼の舌が器用に私の舌を弄び、彼の舌の先は、私の上の前歯の裏側を前後左右に動き回り遊んでいる……。

ここまで読んで、ちょっとアホらしくなったのでトイレに立った。この様子だと、どうやら、別荘に着いてからのベットシーンも延々と書くつもりらしい。
 コメントのところを見ると大勢の女性や男性からざっと30件からのコメントが寄せられている。
 真梨子は「ちょっとした人気ブログなのよ」と自慢気に話していたのは、まんざら嘘でも無かったようだった。 真梨子のブログを見た後に、さまざまな人のブログをざっと数十件ほど見て回ったが、その結果わかった事は、家で飼っているペットの話やらマイファミリー紹介やら、今日の献立やら、心に浮かんだ徒然の話などといったお子様が見ても問題がないような日常的な内容のものよりも、真梨子が書いているようなスポーツ新聞のアダルト欄や男性週刊誌の三文エロ小説のような内容のブログの方が人気があるという事だった。しかも、それを書いているのが一般家庭の奥さんだという事が、覗き見趣味のユーザー達の好奇心をそそるのだろう。

ネット恋愛 ブログラバー34 【隣の氏神さま】

《文:シナモン》

家に帰ってパソコンの電源を入れた。
 本に出ていたポータルサイトにアクセスし、《ブログ登録》をクリック。仕事でインターネットの閲覧はしているが、2チャンネルも出会い系サイトものぞいたことはなかった。そんなネット初心者の僕がブログを作ろうとしている。

パソコンをやる


 《ハッスルブログにようこそ》
 登録画面が現れた。IDとパスワードを選んで下さい…プロフィールを入力して下さい…ここまでは簡単。ハンドルネーム? まぁ適当につけとこう。

 《テーマとタイトルを決めて下さい》

 ここで詰まった。何も考えていなかった。仕事で原稿を書くようになってから、プライベートで文章を書くという習慣が失われた。学生のころはつけていた日記も最近は縁がなかった。
 最近やってることと言えば…「民間信仰」の本の編集だ。宗教には関心はなかったが、執筆者との打ち合わせではそれなりに面白いこともあった。
 民族学者に研究の際のエピソードやどうしても資料が揃わない《空白の歴史》を大胆な仮説で埋める話にはわくわくすることもあった。SFでも書けそうな人もいた。
 「先生の仮説も本の内容に盛り込みましょうよ」と促すと、研究者は一様に「そうだねぇ」と言葉を濁した。根拠が不十分な話を書くことに抵抗があったり、読者より研究者仲間の目を意識したりする研究者が多く、その結果、送られてきた原稿は無味乾燥で退屈なものになっていた。
 とりあえず他に書くことが思いつかないので、仕事がらみの話を書いてみようと思った。ひょっとしたら本のPRもできるかも知れないという下心もあった。
 キーボードを叩いた。

ブログタイトル
となりの氏神さま

 果たしてこれでよかったのか疑問も残ったが、とりあえずアップした。

となりの氏神様トップ

クリックすると実際の「となりの氏神さま」に飛びます。


 留置所の夢をみて、夜中に目が覚めた。明日も休みだったので少しは気が楽だった。冷蔵庫から缶ビールを取り出して、煙草に火をつけた。
 そういえば、ブログの様子はどうなっているだろう?
 パソコンを立ち上げた。自分のブログの画面をみて、目を見張った。

ネット恋愛 ブログラバー33 【ラッキーカラー】

《文:シナモン》

三原色ファッションに身を包んで、車のキーを手に家を出た。
 ディーラーから「次の車検はないと思った方がいい」と言われているミツビシの赤いワゴン。社会人になって初めてのボーナスを頭金に買ったこの車にもう10年も乗り続けている。その間、何人かの女の子を助手席に乗せ、そのうちの何人かと恋愛をした。

vano1


 地検行きの移送車が通った道を走って、20歳の夏にアルバイトをしたデパートに向かった。桜の開花宣言から1週間が経ったが、まだ7分咲き程度だ。車を走らせているうちに檻の中の生活が思い出され、胃の辺りがキュッとなった。

 デパートのある周辺は《ひばりーヒルズ》と呼ばれ、西東京でも裕福な層が住んでいるエリアだ。デパートの周りには瀟洒な家並みが続く住宅地が広がっている。この辺りに建売住宅を買うのが、平均的なサラリーマンの一つのゴールと言われていた。
 地下の駐車場に車を停めた。今日は通勤電車でかける伊達メガネを買うつもりだった。《貞子》は執念深そうな女だから僕の顔を忘れていないだろうが、こっちは相手の顔を覚えていない。それが、電車の中で不安を感じる要因の一つだと考えていた。メガネで変装するなど気休めかも知れないが、いまの僕には気休めも必要だった。
 事実、三原色ファッションは、僕の気持ちを少しだけ前向きにする効果を発揮している。ふと、《僕には変身願望があるのかも》と思った。

 地下からエレベーターに乗り、4階のメガネ売り場でセルが太めのタイプを買った。レンズには薄い青色が入ってる。左右の視力が1.5の僕にとって、メガネは完全にアクセサリーだ。
 包装を断り、そのままかけていくことにした。周りの風景がブルーになった。
 その足で7階の書籍売り場に行った。宮本くんの勧めに従ってブログを立ち上げるための入門書を買うつもりだった。
 インターネット関連本のコーナーで、できるだけ簡単そうなのを3冊買った。

 本を抱えて屋上のプレイランドに行った。風がなく、いい天気だった。ブルゾンを着なくても大丈夫そうだ。
 プレイランドは子供たちを連れた奥様たちで賑わっていた。人が多い遊具のある場所を避けて、自動販売機で缶コーヒーを買い、買ったばかりの本を読み始めた。
 遠くに桜並木が広がっていた。
プロフィール

桃

Author:桃
文学と映画の好きな主婦。
神戸に住んでいます。

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