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ネット恋愛 ブログラバー 39 【真夜中に花開く・・・】

《文:桃》

 真梨子のブログ、さまざまな人のブログ、多恵のブログと、見学ばかりしていて気がついたら、もう時刻は深夜の2時を回っていた。本当にハンドルネームの様に「真夜」になっちゃったわと、一人で苦笑しながら、ついでなので、自分のブログの初日の日記も記入してしまう事にした。

月下美人
*真夜の日記*

hanakoblog2.jpg



今宵一夜限り……
月灯りの下で、たわわに大輪の花を開いて、

あなたとの出会いを待っている……

子供の頃、僕は男の子になりたかった。
大人になれば男になれるって信じていた。
なのに大人になつて僕は女になってしまった。
                         真夜(まや)




《真夜の日記》

 高校時代の友人達に影響されて今日からブログを綴ってみる事にしました。
 私の職業は……おおっと~ブログって、こういう個人情報はいちいち自己申告しなくていいんですね。
 初めてなので、どーも勝手がわからない^^;。
 毎日、職場では色々な人を見るんだけど……
 この時間まで沢山のブログを見学してて、
 ブログにも色んなものがあるんだなぁ~
 人間の個性の数だけブログの個性もあるんだな・・・と感心していました。
 プロフィールの写真はまだのっけるのは止めておこう。ハンドルの真夜は真夜中みたいに静まりかえった中に自分の心を置いて、よくよく見つめ直してみたい事が沢山あったから。ブログのスタイルはまるで考えてないけれど、書き進めてゆくうちにきっと自分らしいスタイルが出来て行くんだろうな。
 もう遅いから今日はこの辺で……おやすみなさい。




よろしければ皆様、
ブログラバーの主人公の真夜へコメントをつけてやってくださいませm(_ _)m(作者の片割れ桃)






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ネット恋愛 ブログラバー 38【レディコスモスとの出会い】

《文:シナモン》

 よきにつけ、あしきにつけ、僕は何ごとも途中で投げ出すことができない性格らしい。ブログを立ち上げたものの、アクセス数は思うように伸びなかった。
 エロ系のトラックバックと新興宗教の信者らしきブロガーからのコメントだけはよく入った。ぼくの日記に関係のないトラックバックをせっせと削除する毎日だった。トラックバックを閉じているブロガーも多いようだが、スパマーに屈服するようで閉めてしまうのは不本意な気がしていた。
 しかし、あまりにも反響がないのでだんだん凹んできたある朝、初めてまともなコメントが入った。


コメント
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■いにしえのひとたちから教えられました

 古代の信仰には母なる大地に対する謙虚な気持ちがあったのですね。現代に生きるわたくしたちにはそういう謙虚さが失われてしまったような気がします。気づきをいただきありがとうございました。

レディコスモス(2006年4月3日 22時14分)


 自分の主張を一方的に押し付けたり宣伝目的のコメントではなく、この人は間違いなく日記の内容を読んでくれている。さっそく《コスモスさん》のサイトを訪問した。

レディコスモスの生きている記録


じゅぴたー7


2006年4月3日
おはよー



 いま、おきた。

顔文字アニメバリア

 朝ごはんはなっとーとなまたまご。たまごかけごはんにしてたべました。
 ねむい。春はねむいねー。
 おやすみなさい。

 (2006年4月4日08時12分)


 小学生か?と思った。ぼくのブログへのコメントとあまりにイメージが違っている。プロフィールをチェックする。
 家事手伝い系。23歳。女性。
 成人女性が書いた文章とは思えなかった。ネットでは若い女性になりすましてアクセス数を稼いでいる中年女性(ときどきは男性)が存在すると言われているが、23歳になりすます小学生? というか、この文章は大人のふりすらしていない。
 過去の日記を遡って読んでみた。ほとんど同じような内容だった。何を食べた、どんなテレビを観た、夕食のとき父親に「パソコンばかりやっているな」と叱られた…など身辺雑記を何のひねりもなく書き綴っているだけ。それがすごい頻度で更新されていた。1日に5、6回書かれている日もあった。
 日記のタイトルはすべて<おはよー>になっていた。
 一体、どんなキャラクターなのか、わけが分からなかった。
 とにかく、コメントのお礼はしておこうと思った。

■春は…
 本当に眠いですね。お休みなさい。

 いえ、これを読むときはおはよーですね。

 ご訪問&コメントありがとうございました。

 ナイトホーク(2006年4月4日10時02分)


 コメントを書き終わり自分のサイトに戻って驚いた。レディコスモスからの返信が入っていた。

 ■眠らぬ夜には
 最近昼寝をしてしまうので、夜なかなか寝付けない日が続いております。ナイトホークさんは夜眠れない時はどのように過ごされますか?


 わたくしは熱い紅茶にブランデーを2,3滴垂らしたものを飲みます。カフェインは睡眠の妨げになると申しますが、わたくしはお酒があまり飲めませんのでこのようにしています。


 音楽も時にはよいですね。わたくしは音楽は何でも聴きます。クラシックや洋楽(UKかスウエーディッシュポップが好みです)を特に良く聴きますが、ベッドの中では1950年代のビッグバンドジャズ(グレンミラーなど)をボリュームを絞って流しておりますと、いつのまにか夢の中にいます。
 CDプレーヤーの電源をつけたままにしてしまい、母に叱られることもありますが…。

 さっそくのご訪問ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
 ごきげんよう。

 レディコスモス(2006年4月4日10時02分)

 

 自慢ではないが、ぼくのキーボード操作は遅い方ではない。むしろ職場でも速い方だった。僕が戻ってくる間の数秒でこれだけのコメントを入力したというのか?
 信じられなかった。
 それにこのコメントの文章には、古風と言ってもいい(ごきげんよう?)奥ゆかしさがあった。日記を書いているの女性と本当に同一人物か?

 それ以来、僕は<レディコスモス>と名乗る女性への興味から、彼女のサイトを毎日訪問するようになった。




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『浦島太郎の恋 2』

《文:桃》




いくら飲んでも全く酔えない気分だった。


日付が変わろうとする少し前、

浦島は重い腰を上げ勘定を済ますと、暖簾をしまい閉店支度に取りかかっていたその居酒屋を後にした。

店の前の細い通路のような道を抜けると商店街の大通りへ出た。

浦島の住むアパートはその大通りを真っ直ぐ西へ進み幹線道路に出たら信号を渡り、


そこから更に10分ほど歩いた場所にあった。


いつも通る公園の横道へ差し掛かった時、公園の中の方から何やら騒がしい声がした。

「てめえ、おとなしく金出せってんだよ~このクソオヤジがぁ~」

穏やかではない罵声に、ただ事では無いと公園の中に入って行くと、

4人の派手な格好をした若い男達が、

1人の中年男に向かって殴る蹴るの暴行を働いていた。

男は地面に蹲り頭を抱えてされるがままになっている。


「こらあ~!おまえ達、何をしてるんだ!」


浦島が一喝すると彼らは一斉に浦島の方を振り向き、

そのリーダー格らしい男が、ふてぶてしい表情を浮かべながら

「あ~ん、なんだぁ~てめえは?!文句あんのかよう~ええ!」

と大声を出し、残りの連中はヘラヘラと薄笑いを浮かべていた。


浦島は、つかつかと、そのリーダー格らしき男の所まで行くと、

いきなり胸ぐらを掴み「おう!文句があるから言ってんだ!弱い者虐めはやめとけ兄ちゃん!」と言って、


その男が拳を振り上げるよりも早く、

強烈な左パンチを喰らわせた。


男も黙っていようはずもなく、

それからは4対1の取っ組み合いになったのだが、

浦島は腕に自信のある空手4段で、街のチンピラ達が適うわけもなく、

怖じ気づいた連中はシッポを蒔いて逃げ去って行った。




「大丈夫ですか?」

蹲る中年男性の背に手を添えながら声を掛けた。

男は顔を上げ浦島を見上げると「ありがとうございました!」と、

そのままの姿勢で再び地面に頭を擦り付けた。




浦島が差し出した手を借りて立ち上がったその男は、

服についた泥汚れを払いながら「亀田です」と名のった。


幸い、たいした怪我もなかったようなので、

「では気をつけて帰って下さい」と立ち去ろうとしたのだが、

亀田は、どうしても、このお礼がしたいからと、

「自分の馴染みの店で一杯ご馳走させて下さい」と浦島に懇願した。


二人並んで歩く道々で亀田は、

自分は大きなレストランの経営者である事。

今日はそのレストランの従業員の慰安旅行の為の費用を銀行で降ろした

まとまった金を持っていたので、浦島に助けてもらって、

本当に有り難かった事などを親愛の情を込めて話してくれた。

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おまけ連載桃の過去作品 『浦島太郎の恋 1』

読者の方から桃の過去の作品を読みたいという要望をお寄せ頂きましたので、本日から少しずつ連載を開始したいと思います。
:*.☆。o:☆';*。:*.☆。o:☆';*。:*.☆。o:☆';*。:*.☆。o:☆';*。:*.☆


《桃:過去作品》
 『浦島太郎の恋 1』

 浦島は、その日は酒にでも酔わなければ、やってられないような心境だった。
 38歳独身のマジメなサラリーマン、浦島には惚れた女がいた。
 女の名は真理子。ふっくらとした丸顔の笑顔の愛らしい女だった。

 真理子は離婚歴のある子持ちの34歳だったが、そんな事は気にせずに浦島は自分なりに真理子も、5歳になるその子供も大切にしてきたつもりだった。

 ところが、その日の昼間、会社の休憩時間を利用して真理子と昼食を共にした時、真理子の方から突然、別れ話が切り出されたのだ。

「これまで色々良くしてもらった事には感謝してるんだけど・・・」

ためらいがちに途切れ、途切れに切り出されるコトバに、浦島はすぐに別れ話である事を悟った。

「男が出来たのか?!」思わずカッ!となって真理子の顔を睨み付け吐きつけた短いコトバに少し身をすくめながら真理子はうつむき、そのままコクリと頷いた。



 真理子は元々、年下男好みの女だった。

 ヘソや唇にピアスを付けて髪をカラフルに染めているクラブのDJやカリスマと呼ばれるような若い美容師・・・

 そんな今時感のある若い男への憧れが、いつも真理子の胸にひしめいていた。

 真理子と過ごした日々の中で、なんとなくそれを感じ取ってはいた浦島だったが、誰にだって憧れはある。

憧れと現実の見分けが付かないほど彼女の自我は幼くはないと、タカを括っていた。

 ところがライバルは意外なところからやってきた。

 ヘビメタなんて音楽が未だにあった事も知らなかったが、

 ポップスが無くならないように

 消えてしまう音楽のジャンルなんてものは無く

 ヘビメタもまた一部の若者の間では健在で

 真理子が恋仲になった男は

 背中一面に龍のタトゥーを彫った現在ヘビメタ界の風雲児とか呼ばれている男らしい。

 「らしい」と言ったのは、真理子がそう語ったからで、浦島は、その男に直接会ったわけではないので「らしい」なのであった。



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ネット恋愛 ブログラバー37 【真夜中のトラックバック】

《文:シナモン》

 真夜中に目が覚めて、初めて作ってブログの様子を見るためパソコンを起動した。僕の日記は無法者たちに蹂躙されてしまっていた。

コメント
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■兄刃氏は、金剛教会信者
今、世間を騒がせている耐震偽装犯罪の兄刃建築士も金剛教会信者です。そして、その尻拭いに税金を投入しようとしている南田国土交通大臣も金剛教会信者です。
金剛教会の狂信者達は、どこまで身勝手なのでしょうか?

金剛教会の悪行もいい加減にして欲しいですね。より詳しいことは私のサイトをご覧下さい。

http://blogs.XXXX.co.jp/no_more

もしも可能であれば、この私のHPへのリンクをお願い致します。
no_more (2006年03月28日 12時56分)

――――――――――――――――――――――――――――
トラックバック

■ブログタイトル:神さまありがとう

■記事タイトル:神社の違いと特徴


■記事概要:「今日の言葉」神様は私を絶対に見捨てないありがとうありがとう。神様は絶対に貴方を見捨てるときはありません。もし、そんな事があるとしたらそれは貴方が神様を見捨てたときです。気がついたら『神様は私を絶対見捨てない。ありがとうありがとう』って言ってみてください。それだけで神様と仲直り出来ますよ。(2006年03月29日 01時28分)


■ブログタイトル:イオナの「やら猿」「させ猿」

■記事タイトル:神社の違いと特徴


■記事概要:誰にも言えないヒミツが一つや二つある。ヒミツになんかしてないで教えてよ~。そして人間は他人の秘密を知りたがる……こんにちは。イオナです。今イオナにもとっておきのヒミツがあります……。

(2006年03月29日 01時34分)



■ブログタイトル:パールヴァティの娘

■記事タイトル:神社の違いと特徴


■記事概要:今日が終わります。今日が終わります。いろんな思いが交叉してどう祈っていいかわかりません。だから 今夜はお祈りしません。すべてを神様がご存知ですから。言葉にできない思いをそのまま 神様にあずけます。

(2006年03月29日 02時13分)


 な、なんじゃああああああ。

 「神社」という言葉を記事タイトルに使ったせいか、新興宗教ネタとH系のトラックバックばかりが入っていた。もちろん、だれ一人僕の日記を読んでいる様子はなかった。
 モチベーションが著しく低下するのを感じた。やっぱり…ブログタイトルが「となりの氏神さま」というのがまずかったのだろうか。

 ぐっすん。


●シナモンより補足(蛇足?)

 前にこの【ブログラバー】でも、桃さんが書いていました
が、トラックバックの定義をいろいろ調べてみると《ブログの主要機能の一つで、ある他人の記事に対し、自身のブログにて言及したことを通知する機能、あるいはその行為のこと》ということでした。

 これは、いくつかのポータルサイトの説明を僕なりにまとめた、いわば【最大公約数的】な定義です。初めてブログを始めた別のサイトでの説明はもう少しシンプルで、「トラックバックとは記事同士をリンクする、リンクしたことを通知する機能」というものでした。ここには「言及」というキーワードが欠落しているのですね。だから、トラックバックスパムへの対応が悪く、トラックバックを閉じてしまうブロガーが大変多かったようです。

 僕の基本的な考え方は、「せっかくついているのだから使おう」というものです(考えと言えるほどのものじゃありませんね。_| ̄|○)
 もうひとつ、「スパムが入るから閉める」というのは、なんとなく屈服したような印象があって不本意なんです。交通事故にあう恐れがあるから、外出しないようにしようというのとちょっと似ているのかなと思っています。出張などで数日間ブログがいじれない時は閉めたことがありましたが…。

 実は、このブログラバーでも、面倒くさいから数日間トラックバックを閉めたことがありました。だけど思い直して、「来るならこい。面白かったら小説のネタに使ってやる」くらいの気持ちを僕個人としては持っています(桃さんの考え方は聞いてません)。

 なお、ブロガーのトラックバックに対するスタンスを非常に分かりやすく解説したサイトがありましたので紹介します。ブロガーの気質を民族闘争になぞらえて解説していて、とても納得がいきました。


トラックバックをめぐる4つの文化圏の文化衝突――「言及なしトラックバック」はなぜ問題になるのか



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ブログ王 2 【美しき魂よ天然】

《文:桃》




☆これはブログ王 1【サバイバルはじまる】
の続編です。☆




校長の話は更に続いた。


「自決などという言葉は長らく戦争の無いこの時代では、

すっかり使われる事もなくなった忘却の彼方、前世紀の遺物的な、

死語であるので、わからない諸君も多いかと思いますので、

説明しておきます。


自決とは自ら命を絶つという意味です。

古くは第二次世界大戦下の沖縄戦の犠牲者や、

特攻隊員が実際に歴史上行った行為なのです。


もちろん学校教育者である我々のような立場の者が、

君達のような前途ある中学生に、このような決断を迫るのは、

誠に偲びない話ではあるのだが、

政府与党の最終決定事項であるので、どうにも致しかたない。

それほどまでも今、我が国は食料事情において、

せと際まで追い詰められているという事です。


とにかく皆さん生き残る為には、

審査を通過出来るような価値のあるブログを作る事なのです。


審査はブログ制作半年後から国民の中から無作為に選ばれた

民間審査員によって公平かつ厳選に行われ、

一切の人気取り活動やコネクション闇取引などは許されず、

そういう裏活動が発覚した場合には、その場で失格となり自決組行きが決定します。当然闇取引に応じた審査員もそれ相当に裁かれるのです」




マミは校長先生の話が難し過ぎて今ひとつよく呑み込めなかったが、

「とにかく面白いブログを作れば賞を取れて誉めて貰えて

幸せ夢気分なのだな」という事はなんとなくわかったので、

「はーいo(*^▽^*)o♪あたし頑張っちゃいま~~す」と明るく可愛く答えた。




他のクラスメート達は冷めた面持ちをして一斉にマミの方を見た。


中には明らかに憐憫の表情を浮かべるものもあった。


マミはみんなから「天性の天然」と呼ばれて親しまれていた が、

こういう緊迫した時には、その天然もちょっぴり痛々しかった。


マミを悲しそうな目で見つめるクラスメートの中に、

学級委員長であり生徒会会長の間宮勇介の顔もあった。




「ええ~尚、ブログの審査は1年間を持って満了としますので、今年の3年生は特別に受験が免除され、各選に選ばれた人は本人の希望する高校に無条件で推薦入学する事が出来ますので、その点は心配しないように」と校長の話は締めくくられた。



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ネット恋愛 ブログラバー 36【出っ歯のパトリシア】

《文:桃》

 さまざまなブログを覗いた後で、多恵のブログにも行ってみた。
 まず驚いたのは、多恵のハンドルがパトリシアとなっていた事だった。パトリシアってフランス人の名前だと思うが、あまりにも現実の多恵とはイメージが掛け離れていたので、申し訳ないが、おかしくて飲みかけていた
ココアをおもいっきり吹き出してしまった。
 言っては悪いのだが多恵は、ちょっと釣り上がり気味の脂肪の多い小さな目で、小鼻が上向き加減で横に幅広く、歯茎から大きく前に飛び出している出っ歯だった。
 一言で言えば、獅子舞の獅子頭を連想する顔立ちであった。
 慌てて顔をパソコンのブラウザから右側に大きく背けたので、パソコンは無事だった。やれやれ(;^_^A アセアセ
 しかし、また、なんで、こんなハンドルを……そう思いながら、プロフィールの写真を見ると、誰だか知らない……たぶんファッションモデルか何かの職業の人か?と思われるような綺麗なクッキリとしたハーフのような顔立ちの女性の写真が貼ってあった。
 あれ?多恵のブログだと思って、アドレスバーにURLを打ち込んだと思ったんだが、間違えたのかなっ? そう思いながら「メールはコチラ」と書いてあるアイコンをクリックしてみて出てきたのは、やはり多恵のメールアドレスだった。
 どうなってるんだろう???
 そんな疑問を残しつつ日記を読み進むと……会社で上司にいびられた事とか、好みの男子社員がいなくてつまらないだとか、どんなに美味しいものを食べても、ひとりぼっちじゃつまらないわ~彼が欲しいわ~……そんなような内容が取り留めもなく書かれてあるかと思えば、また別の日には乙女チックな恋のポエムが綴られていた。

 その詩がコレ↓
 『フォーエバーマイラブ』


いつまでも
愛していますと一人つぶやいた


あなたのいないシーズンの中で、
チェリーブラッサムの花びらは今年も変わりなくハラハラと舞う
さみしい私の心模様など知りもせずに
優しいその色合いで人々を癒している


フォーエバー私の心は青ざめたあの日のまま
凍り付いたまま


フォーエバー永久に
あなたを愛する
あなたの温もりを胸に生きる



 申し訳ないが、またしても笑ってしまった。
 なんでパトリシアなんていうフランス人みたいなハンドルなのに、やたらとマイラブとかフォーエバー、フォーエバーとか、英語ばっかり出てきているんだろう?
 しかしこちらもまたコメント欄を見ると30件以上付いており、そのほとんどが男性だった。
 読んでみると、どうも、写真の女の人が多恵、本人だと疑いを持っていない人達ばかりのようだった。
「あなたのような素敵な人に、こんな辛い思いをさせる男を許せない」
みたいな趣旨の書き込みが多かった。
これって詐欺じゃないのか?




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ネット恋愛 ブログラバー 35 【エロリスト】

《文:桃》

 自分のブログを立ち上げて、日記を書く前に、聞いていた真梨子と多恵のブログに挨拶に行く事にした。
 まずは真梨子のブログへ行ってみる。

エロリスト

な・・・なんじゃああああああこりゃあ?!

 いきなり目に飛び込んで来たドぎつい真っ赤なタイトル文字。壁紙は黒地に鎖の柄があしらわれた意味深な大人のムードを漂わせていた。プロフィール欄には、わざとらしく胸の谷間も露わな露出系の紫のキャミソールを身に付けた写真が……。
 真梨子らしいと言えば確かに真梨子らしいけれど、とても一児の母のブログとは思えない過激さを、既にTOPページの冒頭で物語っていた。
 真梨子が、このブログを開設したのは昨年の夏の事だったそうだ。私は「ブログ」というものを覗いたのはこの真梨子のものが初めてだったけれど、私が「ブログ」という言葉に思い描いていたイメージとは、どうもかけ離れたものだった。
 どれ日記を読んでやるか。
 ふ~む。ハンドルネームはアリスというらしい。

アリスの不倫日記

3月16日


 正午前に待ち合わせて彼の車で軽井沢の彼の別荘へ向かった。
 ここのところ彼のお仕事が忙しくて、もう半月も会っていなかったので、もう体が疼いて疼いて・・・あ~~~ん、とても別荘に着くまで待ちきれない!
 途中パーキングエリアで降りた時に建物脇の喫煙用テーブルへ行ったら、幸いにも人影がなかったので、そこで彼ったら、キツく私を抱きしめて……(*/∇\*)イヤ~ン♪
 その力がスゥーーと抜けたかと思うと、彼の目は私の目をじっと見つめ…… そして私の髪をそっと後ろへ撫でつけて、その大きな温かい右手が私の頬を包み込んだと思ったら、自然に私達の唇は重なってキスをした。
 彼の舌が器用に私の舌を弄び、彼の舌の先は、私の上の前歯の裏側を前後左右に動き回り遊んでいる……。

ここまで読んで、ちょっとアホらしくなったのでトイレに立った。この様子だと、どうやら、別荘に着いてからのベットシーンも延々と書くつもりらしい。
 コメントのところを見ると大勢の女性や男性からざっと30件からのコメントが寄せられている。
 真梨子は「ちょっとした人気ブログなのよ」と自慢気に話していたのは、まんざら嘘でも無かったようだった。 真梨子のブログを見た後に、さまざまな人のブログをざっと数十件ほど見て回ったが、その結果わかった事は、家で飼っているペットの話やらマイファミリー紹介やら、今日の献立やら、心に浮かんだ徒然の話などといったお子様が見ても問題がないような日常的な内容のものよりも、真梨子が書いているようなスポーツ新聞のアダルト欄や男性週刊誌の三文エロ小説のような内容のブログの方が人気があるという事だった。しかも、それを書いているのが一般家庭の奥さんだという事が、覗き見趣味のユーザー達の好奇心をそそるのだろう。




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ネット恋愛 ブログラバー34 【隣の氏神さま】

《文:シナモン》

 家に帰ってパソコンの電源を入れた。
 本に出ていたポータルサイトにアクセスし、《ブログ登録》をクリック。仕事でインターネットの閲覧はしているが、2チャンネルも出会い系サイトものぞいたことはなかった。そんなネット初心者の僕がブログを作ろうとしている。

パソコンをやる


 《ハッスルブログにようこそ》
 登録画面が現れた。IDとパスワードを選んで下さい…プロフィールを入力して下さい…ここまでは簡単。ハンドルネーム? まぁ適当につけとこう。

 《テーマとタイトルを決めて下さい》

 ここで詰まった。何も考えていなかった。仕事で原稿を書くようになってから、プライベートで文章を書くという習慣が失われた。学生のころはつけていた日記も最近は縁がなかった。
 最近やってることと言えば…「民間信仰」の本の編集だ。宗教には関心はなかったが、執筆者との打ち合わせではそれなりに面白いこともあった。
 民族学者に研究の際のエピソードやどうしても資料が揃わない《空白の歴史》を大胆な仮説で埋める話にはわくわくすることもあった。SFでも書けそうな人もいた。
 「先生の仮説も本の内容に盛り込みましょうよ」と促すと、研究者は一様に「そうだねぇ」と言葉を濁した。根拠が不十分な話を書くことに抵抗があったり、読者より研究者仲間の目を意識したりする研究者が多く、その結果、送られてきた原稿は無味乾燥で退屈なものになっていた。
 とりあえず他に書くことが思いつかないので、仕事がらみの話を書いてみようと思った。ひょっとしたら本のPRもできるかも知れないという下心もあった。
 キーボードを叩いた。

ブログタイトル
となりの氏神さま

 果たしてこれでよかったのか疑問も残ったが、とりあえずアップした。

となりの氏神様トップ
クリックすると実際の「となりの氏神さま」に飛びます。


 留置所の夢をみて、夜中に目が覚めた。明日も休みだったので少しは気が楽だった。冷蔵庫から缶ビールを取り出して、煙草に火をつけた。
 そういえば、ブログの様子はどうなっているだろう?
 パソコンを立ち上げた。自分のブログの画面をみて、目を見張った。




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ネット恋愛 ブログラバー33 【ラッキーカラー】

《文:シナモン》

 ファッションに身を包んで、車のキーを手に家を出た。
 ディーラーから「次の車検はないと思った方がいい」と言われているミツビシの赤いワゴン。社会人になって初めてのボーナスを頭金に買ったこの車にもう10年も乗り続けている。その間、何人かの女の子を助手席に乗せ、そのうちの何人かと恋愛をした。

vano1


 地検行きの移送車が通った道を走って、20歳の夏にアルバイトをしたデパートに向かった。桜の開花宣言から1週間が経ったが、まだ7分咲き程度だ。車を走らせているうちに檻の中の生活が思い出され、胃の辺りがキュッとなった。

 デパートのある周辺は《ひばりーヒルズ》と呼ばれ、西東京でも裕福な層が住んでいるエリアだ。デパートの周りには瀟洒な家並みが続く住宅地が広がっている。この辺りに建売住宅を買うのが、平均的なサラリーマンの一つのゴールと言われていた。
 地下の駐車場に車を停めた。今日は通勤電車でかける伊達メガネを買うつもりだった。《貞子》は執念深そうな女だから僕の顔を忘れていないだろうが、こっちは相手の顔を覚えていない。それが、電車の中で不安を感じる要因の一つだと考えていた。メガネで変装するなど気休めかも知れないが、いまの僕には気休めも必要だった。
 事実、三原色ファッションは、僕の気持ちを少しだけ前向きにする効果を発揮している。ふと、《僕には変身願望があるのかも》と思った。

 地下からエレベーターに乗り、4階のメガネ売り場でセルが太めのタイプを買った。レンズには薄い青色が入ってる。左右の視力が1.5の僕にとって、メガネは完全にアクセサリーだ。
 包装を断り、そのままかけていくことにした。周りの風景がブルーになった。
 その足で7階の書籍売り場に行った。宮本くんの勧めに従ってブログを立ち上げるための入門書を買うつもりだった。
 インターネット関連本のコーナーで、できるだけ簡単そうなのを3冊買った。

 本を抱えて屋上のプレイランドに行った。風がなく、いい天気だった。ブルゾンを着なくても大丈夫そうだ。
 プレイランドは子供たちを連れた奥様たちで賑わっていた。人が多い遊具のある場所を避けて、自動販売機で缶コーヒーを買い、買ったばかりの本を読み始めた。
 遠くに桜並木が広がっていた。




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ネット恋愛 ブログラバー32 【彼女がくれた魔法の言葉】

《文:シナモン》

キス1


 デパートでの飲み会で僕と涼花は隣合わせの席に座った。彼女は売り場とはうって変わって、よくしゃべり笑った。笑うと19歳の女の子に見えた。社員食堂で短い会話を交わしていたので、彼女に対して抱いていた悪感情は消え去っていった。
 一次会が終わり、参加者はそれぞれにばらけていった。僕は二次会には参加しないでまっすぐ帰るつもりだった。ジュンヤは久美ちゃんとどこかへ消えていった。
 「ウイスキーが飲みたいな」
 店を出たところで涼花が僕を誘った。アルバイト料をもらっていたので懐は温かかった。
 「いいですよ、僕がおごります」
 「何いってんのよ、学生のくせに」 「でも、ずいぶん迷惑かけたし…」 そんなやりとりの後、「じゃあ割り勘で」と話は落ち着いた。
 「地元にいい店あるんだ」という彼女の提案でタクシーに乗った。

黒の記号「女」


 2軒めのスナックでとりとめのない話をしているうち、二人ともかなり酔ってきた。最終電車はとうに行ってしまった。
 《彼女の部屋に行こう》と言い出したのが僕らのどちらからだったのかはよく覚えていない。だけど、結果として彼女は僕が部屋に入ることを許してくれたし、いっしょのベッドに入ることも許してくれた。かと言って「Hしよう」と誘われたわけではなかったが、僕が抱きついても抗いはしなかった。僕が服を脱がすのに手間取っていると、身体をずらして協力してくれた。
 飲み過ぎたのでちゃんと勃つか心配だったが、彼女がちょっとだけ手伝ってくれてすることができた。

黒の記号「女」


 「わたしね…もうすぐデパート辞めて、故郷に帰るんだ」
 床に脱ぎ散らかした衣服を拾い集めて、小さな下着をつけながら涼花は言った。
 「わたしの実家、商売やってるんだ。一人娘だから帰ってきて、婿さんもらえって親に言われてるの」
 きけば、彼女の両親は神戸で葬儀社をやっているという。
 「一方的な親でさー、高校卒業したら家事手伝いしながら花嫁修行させるつもりだったんだよ。いつの時代だっつーの、まったく」
 「それで…親のいう通りにするつもりなの?」
 暗い部屋の中で、涼花の白い肌がぼんやりと浮かび上がっていた。彼女がくすりと笑ったようにみえた。
 「わたしね…ずっと真面目ないい子だったんだ。職場では態度デカかったし、上司に反抗もしたけど、それもずっと勤めるわけじゃなかったから。実は敷かれたレールの上を歩くのってそんなに苦じゃないの」
 「……………」
 「バイトくんにはいじわるしたけど、第一印象はショージみたいでいいなぁって思ってたんだよ」
 「あんなにクールじゃないし、あそこまでお人好しじゃないけどね」
 「だけど、女にもてたかったら、ミハラみたいなしたたかさを身につけとかんとあかんね。ミハラの真似して三原色のファッションでもしてみたら?」
 それで会話は途切れた。パイプ製の小さなベッドで彼女は僕に背を向けて寝息を立て始めた。

 翌朝、彼女の部屋を出るとき、電話番号を尋ねたが「なんで? 別に話すことなんてないでしょ?」と言われ、教えてもらえなかった。
 「三原色ファッションでしたたかな恋をするんだよ」
 それが彼女の別れ際の言葉だった。僕には、勇気をかき集める時の魔法の言葉のように響いた。

黒の記号「女」


 1週間後、僕は真っ赤なベースボールキャップ黄色のTシャツ、青のコンバースのローカットといういでたちで、客としてデパートに行った。そんなに日にちが経ってしまったのはサークルの合宿があったからだ。もともとそのためにデパートでバイトをしてたんだが、できることなら行きたくなかった。
 でも、結局は断れなかった。僕はいつも日常の雑事に追われてタイミングを逃す。
 食品売り場に涼花の姿を探したがみつからなかった。そのかわり、久美ちゃんがいたので声をかけた。久美ちゃんは僕の服装をみて「派手だねー、イメチェン?」と笑った。
 「あの…涼花さんは?」
 「辞めたよ。この前の飲み会って、セールの打ち上げとあの娘の送別会も兼ねてたんだよ」
 知らなかった。
 僕はちょっと混乱してしまい、休むところを探して屋上の「プレイランド」に行った。彼女とはもう会えないだろう。魔法の言葉を残して、僕の前から消えてしまった。
 しばらく途方に暮れて、屋上から西東京の街並みを眺めているうえに、だんだん元気になってきた。遠くに東京タワーがみえた。

 それ以来、何か行き詰ったときにはデパートの屋上に上るのが、僕の決まりごとになった。




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改めて思う 小説家とはなんぞや?

《桃:文》



どうも巷では「小説家」なるものについて驚くべき認識が右往左往しているようだ。



これだけは間違いはない。


「小説家」とは、一応、自分の本の出版を果たしている人をそう呼ぶ。


だが、その出版の形態は問われない。


そして本の売れ行きも問われない。


青字で書いた部分を何も考えないで


「私は小説家です」という人の言葉を聞いただけで凄い人だ!(゚o゚;ドキドキ)と思う純真な人もいる。




同じく「フリーライター」についても、特に商業ベースでの仕事をした経験の有る無しに関わらず


一度も執筆で稼いだ経験が無くても「フリーライターをしています」と


名のる人がいたが、フリーライターとはそういうものなのだろうか?



概ね一般大衆の認識の中では小説家やフリーライターは職業であるとなっている。


それ故に


「小説家をしています」→小説を書いて収入を得ているなんて並はずれた文才の持ち主なのだろう凄い!


(フリーライター、コピーライターも同上)


という平たい解釈が成り立っている。




しかし実際には小説家の中には収入を得るのとは真逆に貯金を減らして小説家になる人も多々ある。


そんな事は露知らない普通の人々が少なからずいるところに、


村上 龍 の『13歳のハローワーク』なる本での


小説家の記述が、赤子の手を捻るように簡単になれるもののように扱われていたのが拍車をかけて・・・


職業的小説家ではなく趣味的小説家という人々が多数生まれい出て、


職業小説家も趣味の小説家も一纏めで「小説家」と呼ばれる特異性から、


無意味に人の尊敬を集めたり、人心を惑わすのには都合の良い塩梅になっている。




職業小説家からしてみれば不名誉で迷惑な社会現象ではないのだろうか・・・???


(だって・・・例えば、写真ならば素人とプロとは表現上で分けられているでしょう)





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ネット恋愛 ブログラバー31 【ナイフと封筒】

《文:シナモン》

 3月最後の土曜日。最低の気分で目が覚めた。
 ゆうべは智子を残し、夜9時頃に居酒屋「ここからの」を出た。渋谷の浮かれた空気に浸る気分ではなかった。そのかわり、地元に帰って西東京駅前の居酒屋で飲み直した。
 もう正午近い。シャワーを浴びて気持ちを切り替えようと試みた。熱めのお湯を出しっぱなしにして、しばらくうたれるままになっていた。マスターベーションをしようと思ったが、そういう気分にもなれずトニックシャンプーを一押し分手に取って乱暴に髪を洗った。
 仕事を持ちかえっていたが、現実逃避して外出することにする。イエローのフリースにブルージーンズ、まだ袖を通していなかった薄手の赤いブルゾンを羽織った。赤・青・黄色の原色づくめだ。

 「ショージみたいな男になって」
 涼花の言葉がよみがえり、われながら未練がましいと自分に苦笑した。

黒の記号「女」


 大学3年の夏、サークルの合宿資金をかせぐため、仲間数名と都内のデパートでアルバイトをした。サークルの先輩がそのデパートで紳士服のバイヤーをしていたので、コネがあったんだ。最初は配送センターで中元商品の配達をしていたのだが、「急な欠員が出た」ということで僕ともう一人が1週間だけ売り場に回された。その頃、デパートは中元商戦のラストスパートで、店員はみな殺気立っていた。
 涼花は僕が回された食品売り場に勤めていたデパートガールだった。
 販売の研修など受けていなかったから、この配置替えにはとまどった。もともと接客が得意なタイプではない。実は《とまどった》というのは相当控えめな表現で、最初の3日間は僕一人で売り場を混乱させてしまった。間違った商品を客に渡してしまったり、レジで同じ商品を2回打ってしまったり…初歩的なミスを繰り返した。僕よりずっと要領のいい友だちは仕事をソツなくこなしていたから、僕の無能ぶりはよけい目立った。
 涼花は右往左往する僕に極めて冷酷だった。あるときなどは、僕が脂汗をかきながら接客している耳元で「めざわりだから、倉庫に行ってて」と言われたりした。女性に面と向かって罵倒されたことはなかったから、彼女の言葉は結構こたえた。
 一方、サークル仲間のジュンヤは、売り場に回って3日めで同じ売り場のデパガをナンパする要領の良さを発揮した。僕が愚痴をこぼそうと仕事帰りにジュンヤを誘うと「今日は久美ちゃんと飲みにいく約束してるけど、かわいそうだからお前もきていいよ」と“許可”された。わずか3日で、僕はジュンヤに大きく差をつけられていた。僕は店員の名前を覚える余裕もなかった。

 アルバイトの大学生にナンパされ即飲みに行くのはどんな女かと思ったが、久美ちゃんは、素朴ないい子だった。都内の短大を卒業して3年目の23歳ということだった。
 「この時期はみんな必死だから、言葉もきつくなるのよ」と僕のことを慰めてくれた。
 「でも、僕といっしょの…あの人は…」
 「涼花は誰にでもああなの。仕事熱心だから課長や主任の受けはいいけど、口が悪いからはっきり言って同僚にも嫌われてる。私ら先輩にも態度でかいしね」
 「久美ちゃんが先輩って…あの人いくつなんですか?」
 「去年高校卒業して入ってきたから、まだ19よ」
 年下だったとは…。態度のデカさと化粧の濃さから25歳ぐらいだと思っていた。年下だと思うと余計に腹が立ってきた。しかし、いまの仕事ぶりでは言われても仕方ないと認めざるを得なかった。
 「久美ちゃん、俺…仕事覚えたいです。あの女に言われっぱなしなんて堪えられない」
 実のところ、売り場の主任さんからは「分からないことは涼花に聞くように」と指示されていたが、僕らの関係があまりに険悪なので、聞くべきところも聞けないでいたのだ。
 「こんなところで仕事の話なんてやめよーよ」と久美ちゃんを口説きモードに入っていたジュンヤが口を挟んだが、久美ちゃんは僕の頼みをきいてくれ、わかりやすく接客のコツを伝授してくれた。

 《久美ちゃんメモ》のおかげで、僕の仕事ぶりは翌日から見違えるようになった。客が選んだ商品をレジまで運んで、金と交換に品物を渡す。客の話を落ち着いて聞くことができれば、売り場の仕事は難しいものではない。分からないことは回りの社員に振ればいいのだ。それまでは、涼花の視線が気になって、ひとりで自滅していた。
 この日は涼花には何も言われずに済んだ。

黒の記号「女」


 その翌日。昼食をとるため社員食堂に行った。ジュンヤとは休憩の時間帯が合わず一人だった。デパートの社員食堂は“女の巣”だ。男だけの空間にいると急激にテンションが下がるジュンヤとは違って、僕は食堂の雰囲気に気圧されてしまった。席を探してうろうろしていると「バイトくん」と声をかけられた。奥の席で涼花が手招きしていた。彼女も一人のようだった。
 一瞬、躊躇したが、断るのも後で気まずくなると思い、彼女の向かいの席に座った。
 「今日は相棒といっしょじゃないの?」と彼女が聞いた。
 「時間が合わなくって」と僕。
 「ふーん」と彼女は言って、しばらく二人とも無言で箸を動かした。彼女は読書の途中のようだった。
 「この主人公ってバイトくんに似てると思うの」と突然、涼花が読みかけの本を僕に差し出した。少女マンガの単行本だった。《ナイフと封筒》というちょっとシュールなタイトルがついていた。妹の智子がこの作家を好きで、僕もこの本は読んだことがあった。
 「マンガなんか読むんですか?」
 「そんなふうに見えない?」
 「だって、○○さん(涼花の苗字は忘れてしまった)、大人っぽくみえるから」
 「老けてるってこと? こう見えてもまだ花の10代なのよ。まぁ、態度もでかいからねー」

 《ナイフと封筒》は、学生演劇をしているショージという男が、失踪した二人の友人を探してトラブルに巻き込まれるミステリー仕立ての話だった。
 「わがままな友人に振り回されてヒーヒー言ってるところがバイトくんのキャラにかぶる」と涼花は面白そうに言った。彼女が笑ったところを初めてみた。
 「俺は別に…いつもジュンヤに振り回されているわけじゃないですよ」

 「まあまあ、それは知らないけど…少しぐらい相棒を見習ったら、バイトくん女にもてると思うけどなぁ。このマンガで言えば、ミハラ」
 ミハラとは、友人であるショージをペテンにかけて面白がっている男だった。赤青黄色の三原色のファッションしか身につけない変わり者のキャラとして描かれていた。
 「ショージはいい男だけど、このままじゃ女にはもてない。ミハラを見習って三原色のファッションでもしたら?」
 「そんなダサい格好嫌ですよ」
 涼花は腕時計をみて「私もういかなくちゃ。ごゆっくり」と席を立った。立ち去り際に僕の方を振り向いて「バイトくん、仕事覚えるの早かったね。いじわる言ってごめんね」と言って、売り場に戻っていった。

 それから2日、僕は食品売り場で働いてデパートの中元商戦は終わった。売り場で打ち上げが催され、僕たちアルバイトも参加させてもらった。

黒の記号「女」


 その夜。打ち上げのあとで僕は涼花のアパートになだれこみ、彼女とセックスした。




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アスキーアート

orzとは?はてなダイアリー
によれば「失意体前屈」


(U^ェ^U U^ェ^U スタイルではありません。変なこと考える人はおしおきですよ!)

○| ̄|_とか_| ̄|○とかil||li _| ̄|○ il||lとかOTLの後発だそうです。




上のようなのはすべてアスキーアート。


アスキーアートとは?IT用語辞典
に説明があります。


広義では、顔文字もアスキーアートに含められるそうです(´∀`)へぇ~~~。




更に学習して使いこなしたい人は→モナー系アスキーアートの描き方
へ行こう!




:*.☆。o:☆';*。:*.☆。o:☆';*。:*.☆。o:☆';*。:*.☆。o:☆';*。:*.☆



関連DVD紹介されてます→「痴漢男




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ネット恋愛 ブログラバー30 【月下美人】

《文:桃》

 真梨子の不倫はともかく、二人から聞いた話では、ブログの人口はどんどんと膨らみ続けているらしく、主婦やOL、学生などの間で今、ブログに熱中している人が随分と増殖中との事で、そういえば最近ではブログからドラマになったものもあるし、議員や芸能人の間でもブログをしている人は少なくないようだ。
 まさかそんなもので真梨子のように彼氏が出来るだなんて夢のような事は、思いもしないけれど、リアルの人付き合いが乏しい今の私にとって、そういう形での未知の人々とのコミュニケーションや、自分の想いや考えの発信は、それを受け止めてくれる人々がいるとすれば、意味のあるものなのかもしれない。
 そんな事を思いながらの帰り道、車窓の外に広がる夜の街の風景を眺めながら『私もブログをやってみよう』と決めていた。

 家に帰ってからGoogleで「ブログ」を検索すると、日本語のページ 約 287,000,000 件が出てきた。
 幾つもの無料Blog作成サービスの中から、よさそうなところを選んで、早速、私のブログを作った。細かい所は、また明日にでも整えるとして、ハンドルネームを考えて、私が作ったブログはこれ。

月下美人
*真夜の日記*

hanakoblog2.jpg

今宵一夜限り……
月灯りの下で、たわわに大輪の花を開いて、
あなたとの出会いを待っている……

子供の頃、僕は男の子になりたかった。
大人になれば男になれるって信じていた。
なのに大人になつて僕は女になってしまった。                         真夜(まや)




 ちょっと捻れた文が書いてあるんだけど、これには私の人とはだいぶ違った生育歴やトラウマが微妙に関連している。
 それは、おいおいこのブログを綴る中で明らかにさせてゆくとして、ここから自分の気持ちを整理し見つめ直し、恋愛に対しても、これまでのように優柔不断で煮え切らない私じゃなくて、好きになった人には素直に進めて、興味の無い人にはスキを見せずに闘牛士のように上手にかわせる(んな大袈裟な~(^▽^;))しっかりした強い心になりたいと思った。





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子供に有害・無害の基準がわからない

 アメーバのトップブロガーさんであるアジアの真実さん
の所へ行って拝見した記事で、


「キッズgoo」
行われる思想統制
なる行為を紹介されておられて、


たいへんな反響を呼んでいました。




それで、早速、ものの試しに当ブログが検索されるか否かやってみたのですが、


やはり(笑)フィルタリングに引っかかってました。


キーワード:ネット恋愛はダメみたいです。




次にキーワード:恋愛で検索してみたところ・・・




なんで?




なんで?











なんで?








なんで?





何処とはもうしませんが 出会い系とリンク一杯してるサイト様が


見事にフィルタリングをクリアーして表示されていたのにはビックリ!





当ブログでは出会い系とはリンクしないように常に気をつかっていましたが、


このような気遣いは無用だったのでしょうか?


まぁ、どっちにしろ「キッズgoo」
で検索されたいとは夢夢おもっておりませんので、


うちとしては全くかめへんのですが、


一体何を基準にフィルターをかけておられるのか???疑問は消えませんね。





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ネット恋愛 ブログラバー29 【プチクラス会】

《文:桃》


 『さっきの男・・・なんか感じ悪い』
 次回のレッスン日・予約を素早く取り付けた後、駅に向かって猛ダッシュしながら暫くは、そんな事を思っていたけど、駅に着く頃には、そんな事はもうすっかり忘れ、必死に階段を駆け上がり走り出そうとする電車に間一髪のところで飛び乗った。
 次の瞬間ドアが閉まり、
 「ふぅ~これで、なんとか間に合う」ホッとして周囲を見回すと、席が一つ空いていたので腰を下ろす事にする。
 ちょっと疲れたので、手提げ鞄から迷彩柄のキャップを取り出して目深に被ると少し目を閉じた。
 どれくらいの時間が経ったのだろうか?数秒?あるいは数分?

「てめえ!何、触ってんだよー!!」

 目の前でいきなり、けたたましい女の金切り声が響き渡ったのでビックリして顔を上げると、汚らしいトレーナーとくすんだデニム生地のミニスカートを履いた目の細い冴えない女が私を見下ろしていた。
 「どうかしましたか?」
 帽子を取りながら尋ねると、
 その時、初めて女は自分の勘違いに気付いたらしく「えっ!いや、あの、その・・・すいません!!」とバツの悪そうな顔をして隣の車両に逃げて行った。
 周囲の人達が、その光景を見てクスクスと笑っていた。
 どうやら私の事を男と間違えて痴漢呼ばわりしようとしていたらしいな。
 世の中には変わった人もいるようだ。

 待ち合わせ場所に着くと多恵と、そして真梨子の顔もあった。
 お互いに「久しぶり~!」「元気だった?」と声を掛け合い、私達は居酒屋で6年ぶりの再会を祝い合った。
 真梨子は相変わらず派手な化粧と洋服を身に付けている。この桜の季節にふさわしいような華やいだ濃いサーモンピンクのスーツでインナーにはレースをふんだんにあしらったブラウスという装いだ。リップにはちゃんと流行を取り入れて淡いピンクのシャイングロスがキラキラと塗れたように光っている。
 一方、多恵の方は、そおいった華やかさとは無縁で、堅実で地味を絵に書いたような白地に細い濃紺の縦ラインのブラウスの上にクリームイエローのブレザーを着込み、やはり紺のタイトなスカートを合わせていた。多恵は大手のサラリーマン金融で事務方の仕事をしていた。
 私の今日の服装と言えば・・・なんとも味気がないのは、我ながら自覚していたが、軍事オタクの兄のお古で身を包んでいたのは、一つには楠田という今やストーカー化している困った人間の目を眩ます為にという意味もあった。後は、最近は浮いた話の一つもないので、あまりファッションの方へ気が向いてなかったというだけの事である。
 さて私達の話は弾み、最近のお互いの暮らしぶりの事となったが、真梨子はさぞかし育児や家事に追われて大変だろうと思いきや、それが予想に反して、自分の実家の近くで暮らしている事から、毎日のように、お母さんが孫可愛さに訪ねてきては入り浸ったり、時には孫を連れ帰って泊まらせたりしているので、けっこう暇を持て余しているのだという。
 「ダンナの帰りも毎日遅いでしょ。なんかつまんなくってさぁ~。それでね去年の夏頃パソコン買ってもらったのよ」
 「最近の主婦ってみんなパソコンくらい趣味でいじってるよね」と多恵。
 「へぇ~そうなの?私も一応持ってるけど、調べ物とネットショッピングくらいにしか使ってなかったよ」と私が言うと、多恵と真梨子の二人がまるで声を合わせたように「華子、遅れてるよ!!」と言ったので、その息のピッタリなところに3人で大声を出して笑い合った。
 それから注文した色々な料理に私が、かぶりついている間も、先ほどのネットの話がずっと続いていたが、真梨子と多恵の二人ともがブログとやらの最近の流行物をやっているそうで、大いにそのブログ話で盛り上がっていた。
 二人の話を聞いて私は軽いカルチャーショックを受けた。
 どうも、今という時代にあって、リアルの人間関係のみに終始しているのは相当に時代遅れらしいのだった。
 「でも……相手の正体がハッキリしない人間関係なんて怖くないの?」
 私の素朴な疑問に多恵が答えてくれた。
 「怖くないよ。ネットでは自分だって正体をすべて晒さなくてもいいんだから。自分の事をどれくらい公にするのか、あるいは秘密にしておくのか個人の自由なの。だからお互い様ってとこね。迂闊に誰彼なく信用しないようにすればいいんだよ。」
 「そうそう!リアルだってそうなんだからその点は同じなわけよ」と真梨子。
 「ふ~ん、そんなもんなのかなぁ」
 どうも今一、よくわからなかったが、二人に聞くところに寄ると、住所・氏名などの大切な個人情報は、流出しないような仕組みになっているらしい。
 「それでねぇ・・・私、ブログで彼が出来ちゃった」
 お酒が進むに連れて真梨子は饒舌になり、ブログを通じて出会った人と不倫をしている事までもペラペラと語りだした。
「ちょっと、アンタ、何してんのよ!」
 突然、多恵が大きな声を出したので、私はてっきり多恵は真梨子の不道徳な行いをたしなめようとして怒っているのだろうと思ったのだが、続く言葉を聞いた時に、そうじゃない事がわかった。
 「なんでダンナのいるアンタに男が出来て、あたしには出来ないのよ!」
 どうも多恵の怒る論点はズレていると思った。




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ネット恋愛 ブログラバー28 【大人の居酒屋《ここからの》】

《文:シナモン》

 宮本君が勤めている居酒屋「ここからの」は、センター街の突き当たりにある。
 金曜の夕方、渋谷の街は団体で行動するコギャルたちやチラシ配りやナンパなど、子供に占拠されていた。人ごみに酔いそうになりながら、約束の場所に着いた。店の前で智子が待っていた。
 「ここからの」は、渋谷にあっては大人が寛げるタイプの店だった。店のオーナーが30歳の時、《渋谷をお子ちゃまの手から取り返す》をコンセプトに、30代以上の客層をターゲットにした居酒屋チェーンを展開したのが10年前。「ここからの」がその1号店だったらしい。今では渋谷界隈に、それぞれタイプが異なった飲み屋を10店舗営業している。メッセージ性を店名や中の装飾に反映させた店作りがそのチェーンの特徴になっていた。
 「ここからの」は、オーナーが初めて開いた店にふさわしく、《挑戦する大人たち》がテーマになっていた。40歳過ぎまでバスケットのスーパースターとして君臨し、プロ野球選手をめざしたこともあるマイケル・ジョーダンや幕末の志士たちまで《チャレンジした男たち》のパネルが店内中に飾られていた。二宮金次郎の銅像のミニチュアまである。セレクトはむちゃくちゃだったが、何ともいえないインパクトがあった。
 宮本君の肩書きは副店長。仕入れから厨房まで忙しく立ち働いていた。僕と智子がカウンターに座ると、厨房から顔を出した。店のユニフォームである作務衣がよく似合っていた。

 僕は「この前は本当にありがとう」と礼を述べ、「今日は少しでも店の売上に貢献しにきた」と言って、店で3番目に高い焼酎「舞隼人」をボトルで注文した。

深夜のタクシー


 ハナ金ということもあって、店は満員だった。宮本君は僕たちに時々目であいさつしたり短い会話をしながら店中を動き回っていたが、休憩時間になってカウンターを挟んで僕たちと向かい合った。ノートパソコンを脇に抱えていた。
 「恭平さんにちょっと見てもらいたいものがあるんですけど」
 そう言って、パソコンを立ち上げた。デスクトップに置かれたインターネットエクスプローラのアイコンをクリックし、《お気に入り》からファイルをクリック。
 すると《「やった」と叫んだ男たち》というタイトルがついた画面が現れた。
 
 ブログだ。

やったと叫んだ


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 「これ…宮本君が作ったの?」
 「ええまあ。PCには詳しくないんで本格的なホームページは無理ですけど、ブログなら楽にできると思ったんでやってるんですよ」
 「文章書くのは得意じゃないんで、恭平さんにアドバイスもらえたらなと思って…」と宮本君は頭をかいた。
 「文章はともかく…いいと思ったら実行するというのが格好いいじゃない」
 「楽勝ですよ、こんなの。テンプレートが用意されてるから、それに合わせて作っていけばいいんです。文章は自動的に書いてくれませんから苦労してますけど」
 「お兄ちゃんもやってみたら?」
 智子が話に割り込んできた。
 「そりゃいいっスよ! 俺は文章書くの苦手だから、この程度のものでも悲鳴あげてるけど、恭平さんなら」
 「編集者なんだから、自分のブログぐらい持ってないと遅れちゃうんじゃないの?」と智子が冷やかす。
 「俺の今の仕事はただの請負業だよ。そんな大したもんじゃない」
 そう言いながらも、ブログを作るというアイデアはまんざらでもなかった。失礼ながら、宮本君でもできるのなら…と思った。
 「そうだね。やってみようかな」

 袋小路にはまっている気分から抜け出せるきっかけが欲しかった。何か新しいことが無性にやりたくなっていた。




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ネット恋愛 ブログラバー27 【通過点で】

《文:シナモン》

 一人のキャラクターの中でイメージが分裂している。それが《宮沢さん》と呼ばれた女の第一印象だった。
 顔の造作は整っている方だと思う。一つひとつのパーツに強烈な個性は感じないが、全体のバランスがいい。かわいい顔をしていると言って異論のある男は少ないだろう。ただ、本人はそうした《かわいい》要素を排除したがっているような感じだ。
 ショートヘアでほとんど化粧気はない。服装は全体的にくすんだトーンで統一されていた。カーキ色のアーミージャケットにダボタボのワークパンツ。それでいながらボーイッシュという印象はなかった。全く飾り気のない格好をしているのに色気を感じた。
 身体の線がまったく出ない服装の下に隠れているが、意外とスタイルはいいのかも知れない、と思った。
 といっても、それを確かめる術などないわけだが。どうやら、彼女にとって僕のイメージはとても悪かったみたいだ。30歳を過ぎて茶髪に原色のシャツなどを着ているから、軽い男と思われたのかも知れないな。

黒の記号「女」


 深夜。自分の部屋で「オールド・クロウ」をオン・ザ・ロックで飲みながら、今日のできごとを振り返っていた。一応机の上にゲラを広げてはいたが、まったく手つかずの状態だった。
 一番の問題は朝の通勤だ。満員電車に乗れないのでは会社に行けない。途中下車しても定時に着けるように明日は早めに家を出るしかない。以前、新聞で《大腸性過敏症候群がサラリーマンの間で増えている》という記事を読んだ記憶があった。ストレスと過労が主な原因と考えられているらしい。駅のトイレの前で行列を作っている光景を思い出すと、納得がいった。
 自分の身体が突然暴走したような感覚は、思い出したくなかったが。
それにしても。
 この数日間、どうも通りすがりの女性から批判的な視線を浴びることが続いている。《貞子》に捕まってから全てがうまくいかなくなっていた。
 「日本の民間信仰」の中に女難を祓ってくれる神様はいないか思い出そうとしたが、「これ」というのは思い浮かばなかった。
 もう寝よう。

通勤イラスト


 翌朝。目覚ましをいつもより30分早くセットし、早めに家を出た。
 だけど、結論から言えば、この日も前日と同じような状況になってしまった。電車のドアが閉まると同時に厭世的な気分に襲われた。車内の中刷り広告を眺めて気持ちを紛らわせようとしてもうまくいかない。たまらず2つめの駅で降りた。
 今日は金曜日。今週はもう捨てよう、と決めた。榊原のケータイにメールを打った。この時間は榊原も電車の中にいるはずだったから。


 《まだ身体が本調子でないので、休ませてください。「民間信仰」のゲラを持ち帰っているので、校正は自宅でやっておきます》

 家に帰って両親を心配させるのは忍びなかったので、ゲラを読める喫茶店でも探そうと改札を出た。初めて降りる駅だった。毎朝、ただ通り過ぎていた駅。あといくつで降りるという目印の一つでしかなかった街に僕はいた。
 駅前にまずまずの大きさの商店街があった。わざわざ他所から出かけていくような店はないが、ここに住んでいる人々にとっては、必要なものは一通り間に合うというレベルの商店街だ。風が強い朝だった。公園でゲートボールを眺めながら仕事をするのに適した日とは言えなかった。この風では、せっかくの桜も散ってしまうに違いない。

 《ネットカフェ・マンガ喫茶》という看板がみえた。1階がゲームセンターになっている雑居ビルの2階にあるらしい。ここでゲラを読もうと思った。腕時計を見る。9時を少し回ったところ。会社では僕がいなくても、いつもの日常が始まっている頃だ。
 店内は思っていたよりも広かった。リクライニングシートのあるボックス席も用意されていた。マンガや雑誌の品揃えもまずまずだ。
 受付で「インターネットのご利用ですか?」と聞かれ「マンガの方で、なるべくゆったりしたシートがいいんだけど」と答える。一番奥のリクライニング付きのスペースに案内された。
 インターネットコーナーにはウインドウズのデスクトップパソコンが10台ほど用意されていて、ほぼ埋まっていた。朝の9時に! ほとんどがカジュアルな服装の若者だ。
 忙しい時期に休んでしまったという罪悪感で、リクライニングシートに座ってすぐ、鞄からゲラを取り出したが、どうも集中できない。もともと仕事でなければ喜んで読みたい原稿ではないのだ。マンガや雑誌に囲まれているという環境が目に毒だった。
 数ページだけ読み進め、誘惑に負け仕事を放り出した。どうせ今週は捨てたと決めたんだ。週末もある。
 少年ジャンプとニューズウィークを雑誌の棚から取った。ジャンプは「Onepiece」と「テニスの王子様」だけを読み、ニューズウイークに取り掛かる。「ブログは新聞を滅ぼすか」というレポートが特集タイトルになっていた。アメリカでは、若者を中心にインターネットが情報収集の手段として主流になってきており、新聞が読まれなくなっているという。人気ブロガーを多数抱えるポータルサイトが《市民メディア》として力を持っているいるので、いずれは新聞は老人しか読まなくなってしまうのでは、と記事は結ばれていた。

 中国は経済成長率が高水準で推移する一方で、共産党がいまだに言論統制を敷いている。新聞も政府に都合のいい記事しか掲載を認めない。そうした中、市民がブログを《ペン》として情報操作の壁に風穴を開けようとしている。記事はそう伝えていた。
 結局、夕方までマンガ喫茶にいた。滞在時間は7時間。料金は2千800円。仕事は控えめに言って、ほとんど進まなかった。

黒の記号「女」


 智子の彼氏の宮本君に礼を言わなければいけないと思いついた。智子のケータイに電話をしてその旨を伝えると、「店に行くつもりだったからそこで合流しよう」という話に落ち着いた。宮本君が働いている居酒屋は渋谷にある。繁華街で飲むのには抵抗があったが、「変な女にからまれないよう私がガードしてあげる」と智子に押し切られ、6時に渋谷で待ち合わせることになった。




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ネット恋愛 ブログラバー26 【バッドタイミング☆】

《桃:文》

 翌日の勤務は早番で3時半に終わり、多恵の仕事が終わる時間に合わせて6時に待ち合わせとした。
 多恵の会社は新宿にあったが、待ち合わせは、西東京駅から新宿へ向かって快速で2つ戻った街にした。そこがお互いの家からすれば、乗り換えの都合も考えると最も適当と思われたからだった。もし真梨子も来るとしても、真梨子の家も、聞くところによると多恵と同じ沿線で、多恵の家からもさほど遠くない街だから問題は無いだろう。
 それまで時間があるので、少しブラブラとウィンドショッピングをした後、予約してあったVANOでレッスンを受けるために西東京駅へと向かう。

 VANOのレッスンが終わるのが5時半。次の予約を取る時間は、混み合っている場合も想定して10分も見込んでおけばいいだろう。駅までは歩いて5分、5時45分の快速に乗って駅を降りてから歩く時間も入れたらギリギリ6時には待ち合わせの場所に着く……そういう目算だったのだけど、レッスンが終わってから凄くトイレに行きたくなってしまった。
 ところがそういう時に限って、ビルのトイレは込んでいて、急がねば!
 一目散に再びVANOの受付へと向かう。
 VANO扉前で時計を見ると5時38分。後7分のうちに予約を素早く済ませて快速に乗り込まないと次の快速が来るのは、その9分も後だから、確実に待ち合わせに遅れてしまう。
 友達の事だから多少は待ってもらったとしても謝れば、笑って許してはもらえるだろうけど、出来れば8年ぶりに会う友人には時間にルーズなヤツとは思われたくなかった。
 急いでガラス扉を開けようとした私の手は止まってしまった。……おや?誰かが受付嬢と話し込んでいる。馴れ馴れしい雰囲気から察すると、どうも予約ではなさそうだと感じて側に近寄り難い。髪をケバイ茶色に染めている男だ。こんな生徒いたっけか? 後ろから見ているので年齢はよくわからないが、まぁ、そんな事はどうでも良い。早く話が終わってくれないものかと扉の前で暫し待つ。
 ところが、ずいぶん和やかにまったりと、話し込んでいる様子で、「コイツ、図々しく受付嬢を口説いているのかもしれないな」 と思うやいなや、私は扉を開けて、その男の後ろへと進んで行った。
 『口説くなら人に迷惑の掛からない時間にしたらどうなんだ!このスカポンタンが!』
 心の中で、そう呟きながら、「すいません、急いでるんですけど、予約いいですか?」と中にいる少々ハーフっぽい顔をしたいつもの受付のお姉さんに声を掛けてから、振り向いた男の顔を見た。
 どうでもいいけど……見るからにチャラチャラした派手目な男が、訝しげに冷めたような視線を、こちらへ向けていた。




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ネット恋愛 ブログラバー25 【脱出?!】

《文:桃》


 「すいませんけど、友達から電話がかかる予定になっているので、今は切らせて頂きますね!」ちょっと迷惑そうな口調で言ってみた。
 それでも、あまり怒らせて逆切れされてもマズいだろうからと、敬語は崩さない。『小心者だから』とも言えるが、自分なりにはそう実践すべき”合理性を持った考え”であるとも思っている。
 これまでの人生は常に、理由もわからず他人から嫌がらせされたり、虐められたりという事の連続だったから、普段は、めったに怒らないようにしている。

私は、他人というものをあまり信用していない。
他人とは、とかく煩わしいもの。
他人との揉め事で消耗するのも嫌い
 だから、基本的には、よく知らない人と、自分から積極的に深く関わらないようにと、気を付けてやってきたつもりだった。
 にも関わらず今回、こんなものわかりの悪い男と関わり合いを持ってしまったのは自分の不注意が招いた事と、たった今切った携帯を見つめながら深く物悲しい気持ちで反省していた。

 そんな私の沈んだ気持ちを余所に、電話を切って30秒もしないうちに、また楠田の番号からかかっていたのだが、即切りして、こちらから多恵の番号にかける事にした。
 多恵との電話はすぐに繋がった。
 彼女は今日は休日出勤の代休で、家でゆっくりしているそうであった。多恵は比較的真面目で成績も良かったが、その反面、性格はお笑い向きで、私とは砕けた冗談を飛ばし合う仲で、お互いの笑いのツボが被るところから、気心が知れ仲良くなった。
 同窓会とは、また別に明日の夜、お互いの仕事帰りに食事に行こうという話になり、それまでに、もう一人、同級生で二人の共通の友人だった真梨子にも声を掛けておくからと、多恵は言ってくれていた。
 真梨子は、既に結婚していて2歳の女の子のママになっているそうである。真梨子の方は、高校時代から常に私達よりも、先駆けて貪欲に、さまざまな大人の経験値を積んでいた。
 彼女の場合、初体験はもう16歳で済ませていたようだったし、気取らず誰とでもすぐに打ち解けて話す明るいキャラでクラスの人気者ではあったが、髪を染めたり授業中に広げた教科書の陰で化粧やマニキュアをしていたりと、いつも何かと先生に目を付けられるような事ばかりしでかして、私の友人の中ではなかなか異色のユニークキャラでもあった。
 『あの真梨子が、もうお母さんなんだ……』そう思うとけっこう感慨深いものがある。
 そして、今、なかなか心易く話せる友達の一人も出来にくいこの職場で働く私にとっては、久しぶりに高校時代の懐かしい友人らに会えるのは、思いがけずにやって来たとても大きな楽しみの機会である。
 多恵との話が終わると私は携帯の電源をOFFにした。
 5時から、もう一度エレベーターに乗務すると6時半には、もう上がっても良い。けれど、そんな勤務シフトの詳しい話は楠田には話していない。
 6時半に仕事を終えるとロッカールームでサッサと着替えを済まして、いつもは駅のトイレで取るロングヘアーのウイッグ(昨日は取る時間がなかったので付けたままでVANOに行ったんだけど、それにしては……何故受付のお姉さんは何も言わなかったんだろう?。テーチャーは急に髪が伸びたようだねと英語で言ってたみたい・笑)をロッカーで取り勤務時間以外のボーイッシュなショートの私に戻り、ウイッグをロッカーに常備しているペーパーバックに放り込むと、そそくさとデパートの従業員通用口へ向かう。万一、楠田に退社の際に出くわしてもヘアースタイルが違うので、私だと気付かれずに済むかもしれないと思った。
 授業員通用口へ行くまでに女子・男子それぞれの休憩室の前を通らないといけないのだ。
 ギクッ!案の定……楠田が女子休憩室と男子休憩室の境目の壁の前で文庫本に目を落としながら待っているではないか! ちょっとひるんだが……ちょうどそこへ、通用口の方から、宅配便業者の人が大きな荷物を担ぎながらこちらへ向かって歩いて来るので、楠田の前を通過する時に、その荷物の陰に隠れるように歩幅を調節しながら歩いた。
 やった!無事に気づかれずに通用口に辿り着き脱出成功! 何故、こんなにスパイのようにコソコソしなければいけないのか?自分でもよくわからないが、取りあえず今日は、早く帰ってお風呂でも入って、のんびりしようと思った。




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ネット恋愛 ブログラバー24 【かおり】

《文:シナモン》

 第1章 エコロジストは邪教者か?


 日本に限らず、古代より農耕を主体としていた民族は、大地を神格化して崇拝する《地母神》信仰を持っていた。それが、時の権力者の覇権争いが熾烈になるとともに、神々の栄枯盛衰が始まった。国と国が戦争をし、負けた国の神は“邪神”として淘汰されるか、または、勝者が信仰する神々の序列に下級の神として組み込まれた。農耕民族が信仰していた地母神は、外からやってきた狩猟民族が崇拝する《荒ぶる男の神》に凌辱された。ここから数多くの《男根信仰》が生まれた。

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 しかし、中には支配を逃れ、または支配されたという演技をしながらも古代から続く信仰を持ち続ける人々もいた。それが現代においても《民間信仰》という形で継承されていることが少なくない。
 現代の日本で《神を信じる》というとどことなくあやしさが漂ってしまうが、《大地の恵みに感謝する》人々を気持ち悪いと感じることはあまりないだろう。それと同じように人が自然を求め、親しむような感覚で古代の人々は《神》と関わってきたのではないだろうか………。

 あーあ、疲れた。
 「日本の民間信仰」という単行本の編集作業は淡々と進められていった。去年の夏頃に企画が持ちあがり、執筆者の選定から打合せ、民俗学の研究者ら数名に執筆依頼、原稿受け取りと整理、DTPスタッフへの入稿、校正…と少しずつ本が完成イメージに近づいていく。このプロセスは辛くもあり、それなりに楽しいものでもあったが、自分の企画ではなく、ただ作業を請負っているだけの本作りは、あまり心躍るものとは言えなかった。
 それでも、檻に入っていた空白を埋めるためベストを尽くした。今朝の女子高生の「信じらんない」という声が何度も頭の中に蘇ってきて、ゲラを読む作業を中断しなくてはならなかったが。

 しばらくは深夜までの残業はしないと決めていた。原稿を家に持ち帰ることにして、ほぼ定時に社を出た。痺れている頭をスッキリさせるため、ほんの少しアルコールを注入したかったが、その誘惑を断ち切った。
 それに、今日はVANOに寄りたいと思っていた。レッスンの予定は入れてなかったが、長瀬かおりに礼を言いたかった。ついでに口止めも。

 混雑している電車には乗りたくなかったので、各駅電車でいつもは25分の道のりを45分かけて行った。車内は乗車率50%程度の混み具合。幸い、朝のような凶暴な気分は襲ってこなかった。
 自宅がある1つの前の西東京駅で降りた。駅前通りをまっすぐ進むと、左側にVANOが入っているビルがある。6階建ての3階。

黒の記号「女」


 エレベーターを降りると、受付にかおりが座っていた。ちょうどレッスンが終わったところだ。レッスンとレッスンの間にはさまれた10分間の休憩時間は、次の予約をする生徒で受付が混雑する。
 かおりは、パソコン画面で予約状況を確認しながら、てきぱきと仕事をこなしていた。平日夜のクラスは専業主婦や学生は比較的少なく、仕事帰りのビジネスマンが中心だ。手を忙しく動かしながらも、笑顔を忘れない彼女は、中年の生徒の間でも人気があった。
 受付の後で待っている僕の存在に気づくと、一瞬だけ顔を向け、にっこり微笑んでくれた。取ってつけた営業スマイルではなかった。《犯罪者》を見るような視線を向けられなかったので救われる思いがした。
 「筒井さん、お待たせしました」
 受付前の人の列がなくなり、かおりが改めて会釈してくれた。
 「ご予約…しますか?」と聞いてくる。
 「ああ…今日は予約はいいです」と断り、声をひそめて「いえにお電話いただいたそうで、ありがとうございました」と礼を言った。
 それに答える前に彼女は周りを見回し、日本語がまったく分からない外国人講師しかいないのを確認してから、「もう大丈夫なんですか?」と尋ねてきた。
 「おかげさまで、もう大丈夫だと思います。長瀬さんにお電話いただいたことで助かりました」
 かおりはただ黙って頷き返す。それ以上詮索してこない態度が僕にはありがたかった。職場の同僚ではこうはいかないだろう。
 一瞬の沈黙のあと、かおりは少し言いにくそうに言葉を継いだ。
 「あの…ですね、ひとつ素朴な疑問があって、聞いてもいいですか?」
 「はい?」
 かおりの口調に少し緊張する。
 「やっぱり…しましまの囚人服を着たんですか?」
 ぶぶっ。ずっこけそうになった。刑務所と混同しているようだ。
 「そんなの着ないですよ。マンガの読みすぎですよ、かおりさん!」
 「あっ、そーいうものじゃないんですか?」
 2人で笑い合った。彼女を《かおりさん》と呼んだのは初めてだった。

 その時。
 「すいません、急いでるんですけど、予約いいですか?」と尖った声がした。
 かおりは営業用の声に戻って「ああ…ごめんなさい、宮沢さん」と頭を下げた。
 神経質そうな女がこちらをにらんでいた。




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ネット恋愛 ブログラバー 23【負けたくない】

《文:シナモン》


 いつもなら30分の行程を3倍かけて駅にたどり着いた時、僕はすっかり消耗してしまっていた。既に11時に近くなっていた。
 ミスタードーナツから覚悟を決めて電車に乗り込んだものの、2駅めで再び途中下車。駅のトイレに籠っても、出るものはない。ただ、げんなりするばかりだった。6年間特別意識することなしに見てきた風景が、突然悪意を持って迫ってくるような錯覚に陥った。再度電車に乗り込むまでに、何本か混んでる電車を見送らなければならなかった。
 「恭平が2日休むなんて珍しいな」
 ボヨヨンボルグこと榊原からは、責める言葉は聞かれなかった。仕事で煮詰まると感情的になることはあったが、基本的に榊原は公正ないい上司なのだ。27歳でこの会社に転職して6年。一貫して不健康でワーカホリックの生活を続けてきた。仕事を振られても「できません」と言ったことはなかった。責任感とか、組織への忠誠心とかではなく、単に編集の仕事をし続けることが僕には苦痛ではなかったというだけだったのだが、コツコツやってきたことをこの上司は認めてくれていた。
 通勤電車には打ちのめされてしまったが、自分の席に座ると仕事モードに切り替えることができた。職業人として完全に使い物にならなくなったわけではないようだった。
 机の上には校正待ちのゲラが積み上げられていた。いま手がけているのは、経営不振で大手新聞社の系列に入り再スタートを切った中堅クラスの出版社から委託された新しい新書のシリーズだ。「雑学解体新書」と題されたこのシリーズは、第一回配本7タイトルのうち、3冊をうちの編プロで請け負うことになっていた。
 内容は、クライアントが選び取った文化や社会現象について、各分野の専門家が一般向けに解説するというものだ。僕は「日本の民間信仰」という本のメインスタッフになっていた。歴史に埋もれた日本各地の伝承や宗教的風習を、マニアックになり過ぎないレベルで編集するのが僕の仕事だ。ほかに「東京の都市伝説」「切ない花の神話」の2冊をボルグがメイン、僕がサブで作業を進めていた。
 
 信仰心が著しく欠如している僕は、「民間信仰」を担当する時、ささやかな抵抗を試みた(僕には珍しいことだった)。ボルグはボルグで「恭平のようなスクエアな人間が担当した方がいい」とかなり強権的な態度で僕を担当に据えた。

宗教アイコン


 ボルグの考えも分からないわけではなかった。
 うちの会社のオーナーが某仏教系宗教団体の熱心な信者で、そのコネで入社してきた社員には同じ団体の信者が多かった。書籍を担当する編集部8名のうち、信者でないのはボルグと僕だけだった。確かに、特定の信仰に傾倒している人間に「信仰本」を任せるのは危険なように思えた。担当編集者と執筆者がトラブルでも起こしたら目が当てられない。

 後で聞いた話だが、実はオーナーとしては「民間信仰」の仕事は断りたかったらしい。しかし、クライアントの発注は3冊がパッケージになったものだった。版元はこの「雑学解体新書」に社運をかけるというほどの力の入れようで、第一回配本が軌道に乗れば、年内に20冊を出版する意向を持っていた。経営陣としても、その中の1冊が個人的な信仰心に合わないという理由であきらめることはできなかったのだ。
 オーナーのイエスマンである常務と販売部長はこの決断を「冷静で的確な経営判断」と持ち上げたが、現場の人間からすれば、当たり前のことだった。上の人間の趣味で仕事をえり好みされてはたまらない。

 僕は、自分のデスクでゲラを読み始めた。




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ネット恋愛 ブログラバー22 【またも…】

《文:シナモン》


 悪夢のような檻の中の生活が明け、日常生活が帰ってきたかに見えた。
 手帳を確認すると、今日は出版社から委託されている単行本の校正が戻ってくる予定になっていた。ボヨヨンボルグと僕の共同作業で7冊を刊行する契約だ。遅れた分を取り返すため、今日は忙しい1日になりそうだった。
 一度は失ってしまったと思っていた仕事だけに、またできると思うと愛しさすら感じている。
 昨夜は留置所の夢をみて、よく眠れなかった。まだ身体の芯が重い。でも今日と明日を乗り切れば週末がやってくる。
 きのうの雨はすっかり上がり、晴天だった。駅まで徒歩で10分の道のりをボルグへの休んだ説明と謝罪の言葉を反芻して歩いた。智子のとっさに言ってくれた言葉と矛盾がないようにしなくてはならない。
 駅の印象は夜と朝では一変する。あんな事件に巻き込まれたなんて嘘みたいだ。
 階段を上る。改札を通る。ホームに下りる。人の流れに乗りながら。10年の勤め人生活で、こうした一連の動作はほとんど無意識に行なっている。
 8時10分の新宿行き急行電車がホームに滑り込んできた。

 最近、僕が住む沿線は再開発が活発で、マンションが続々と建てられていた。当然人口が増え、電車も混んできている。来た電車の乗車率は120%というところだった。
 ドアが開くと何人かが降り、僕といっしょにその倍ほどの人間が乗り込んだ。身体を押し込めるのにある程度の力が必要になる。

通勤途中の風景


 ドアが閉まったとたん、突然胃の辺りが締め付けられる気がした。混んでいる車内で若いOL風の女性と向かい合う格好になった。フローラ系の香水が香った。だからと言ってロマンチックな気分にはならなかった。
 背中に悪寒が走って、息苦しくなった。トイレに行きたい。この衝動は突発的で暴力的なものだったので、次の駅まで我慢できる自信がなかった。意識をできるだけ他に向けるようにして、次の駅に着くと、ドア付近に立っている乗客を押しのけてホームに降り、トイレを探した。
 朝のトイレは予想以上に混んでいた。個室の前に3人の先客が並んでいるのをみて絶望的な気分になった。トイレの床に座り込んでしまいたかった。
 僕の顔色を察知したのか、清掃係のおばさんが僕を手招きした。
 「今…隣あいてるからやってきなよ」
 隣って…女子トイレ?
 「い、いや、せっかくだけど大丈夫だから」
 「大丈夫って顔してないよ。床に漏らされたらこっちも困るし。いいから、いいから」とおいでおいでをしながら、おばさんは女子トイレの方に歩いていった。
 仕方ない。実のところ我慢も限界にきていた。おばさんに導かれるまま、女子トイレの個室に入った。
 便器に腰掛けると、あれほど切迫していた感覚がうそのように消えていた。今度は出そうと思っても出ない。

 扉の向こうで若い女の子の話し声が聞こえた。なんてこった。
 会話の内容からすると女子高生のようだった。ドアをノックする音がした。あわてて叩き返す。あきらめて去っていく気配はない。出るに出られなくなってしまった。
 女子高生は僕が入っているドアの前でたわいない会話をしていたが、「遅いなぁ」という声がして、先ほどよりイラついたノックの音がした。
 仕方ない。ここで待機していても進展はなさそうだ。既に始業時間には間に合わない時間になっていたが、せめて遅れると電話を入れなくてはならない。
 《せーの》でドアを開け、顔を下げたまま早足で出口に向かった。
 コギャルたちは「わっ!?」と短い悲鳴をあげた。僕の背中に「信じらんない」「変態」という声が追いかけてきた。
 そのまま改札を抜け、駅ビルの1階にあるミスタードーナツに入った。コーヒーをオーダーし、外から見えない奥の席に座った。さっきの女の子たちがもし追いかけてきたらどうしようかと考えた。打ちひしがれていた。
 腕時計を見た。もうすぐ9時になるところだった。
 留置所に入る時、これと同じ動作をした記憶が蘇った。トラブルに遭った時、いつも僕は時間を気にしている。
 そのまま10分間落ち込んでから、ケータイを取り出し職場に連絡を入れた。
 「まだ体調がすぐれないので午前中休む」と。




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ネット恋愛 ブログラバー21 【リリーフ】

《文:シナモン》


 「昨日の朝は焦っちゃったよー」
 智子が言った。
 「10時頃にさー、ボヨヨンボルグから家に電話があって、『まだ出社してない。連絡もない。ケータイに電話してもつかまらない』と言うのさー」

 解説しよう。ボヨヨンボルグとは、僕の上司の榊原のことだ。テニスフリークで80年代のウインブルドンチャンピオン、ビヨルン・ボルグを崇拝している。職場のPCの脇に昔のテニス雑誌から切り抜いたボルグの写真を貼っているほどの傾倒振りだった。実際の腕前のほどはさだかではないが、職場の女性アルバイトや派遣社員に「今度の休みにテニスやらない?」とマメに声をかけていた。45歳の妻子持ちにしては大したバイタリティだ。

 智子はデザインの専門学校を卒業してから就職せずにフリーターをしていた。それを気にかけていた両親から「何とか面倒みてくれ」と頼まれ、うちの会社で1年ほど制作助手のアルバイトをしていた。だから、榊原のこともよく知っている。
 《ボヨヨンボルグ》とは、榊原の体型をみて智子が命名したニックネームだった。
 「わたしと違ってお兄ちゃんは小市民だから、無断欠勤はただごとじゃないと思った。とっさに『前の晩から具合が悪くて病院行ってます。会社に連絡するよう兄から頼まれてたのに忘れてました』って言っといた」
 機転がきく妹に心から感謝した。智子が職場の事情を分かっていたことも良かった。
 「それから、何とか連絡取ろうとしたんだけど、ケータイはつながらないし…。ボヨヨンからは『本人からの連絡を待ってる』って言われてたからどーしよって思った。そしたらお昼頃に電話があったの」
 「誰から?」
 「VANOの長瀬さん」

 《貞子》につかまった時、駅の改札で長瀬かおりとばったり出くわしたことを思い出した。
 「どうしてだか知らないけど『昨日は筒井さん家にお帰りになりましたか?』と聞かれたから、いいえ、会社も休んでいるようですって答えたの。そしたら、ゆうべ駅で大変だったみたいですって教えてくれたの」
 それから智子は駅に問合せをし、僕が事件に巻き込まれたことを知ったという。

 長瀬かおりが僕の身を案じて電話をくれた。静かな感動で胸がいっぱいになった。
 「すっかりパニクって、宮本さんにすぐ電話をしたら、知り合いの弁護士さんに連絡してくれて…。ボヨヨンには『意識が混沌としていて本人は電話に出られない様子です。入院することになるかも知れません』って電話しといた」
 そう言って智子は思い出し笑いを漏らした。
 「ボヨヨンの奴に『どこの病院ですか? お見舞いにいかなくては』って追求されかけたんだけど、『状況がよく分かりませんので詳しい話は落ち着いてから』って一方的に切っちゃった。電話の向こうであわあわしてたわ」
 小さな編集部がどんな騒ぎになってるかと想像するとめまいがしたが、とりあえず、まだ職場に僕の居場所は残っているようだ。


おどける影




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お下劣

ネタとしてはありがちなんだけど、なかなか実際に目にするチャンスはないもので…。

? 出張で偶然見かけて、あわててカバンからデジカメを出しました。夜のタクシーの車内から撮ったのでピントはいまいちでしたが…。 場所は…う~ん、東北方面だったと思ったが、北関東だったかもしれない。タクシーの運転手に「すいません、停まって」と言いたかったが、小心者のため言えなかった。

日の丸チンコ

「パチンコ」の看板で「パ」の部分の電気が切れてしまったら…というやつですね。


(撮影:シナモン)





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ネット恋愛 ブログラバー20 【脇が甘いと・・・】 

<桃:文>

 昨日の夜から何も食べていなかったので、行きがけのコンビニでサンドイッチを買って、駅のベンチで電車を待っている間に楠田へ電話をした。
 仕事中だろうと思い、取りあえず「もしもし、宮澤です。お仕事中にすみません」と前置きしたが、店は暇だったようで「全然かまいやせんよ~」とはにかんだような声で話しているので背筋に寒気が走ったが、ひるまずに言葉を続ける。
 「あのう……待たないで下さい」
 「えっ!……」聞こえにくかったのか意外だったのか、言葉が途切れて、その後少し沈黙が流れたので、もう一度言う。
 「今夜、私の仕事が終わるのを待ってるってさっき言ってたでしょう。待たれても困るんです」
 まだ沈黙「…………」
 「あのぅ……この際ハッキリ言いますけど、お付き合いするつもりはありませんから」その時ホームに電車が滑り込んで来た。
 電話の向こうの楠田の声は「えっ、ええー?!ええっーーー?」と1オクターブ上がってひきつつていた。
 「じゃ、電車が来たんで切りますね」
 「あ!ちょっと待って、宮澤さん。後でまた電話~~」最後の方の声は聞き取れなかったが、私は電話を切った。

 3時から2時間エレベータに乗ると5時に休憩になる。その事は、さきほど電話で話した時に多恵に伝えてあり、もう一度電話をすると言ってくれていたので電源を切るわけにもいかず、休憩室で雑誌を読んでいると着メロが鳴った。
(ちなみに私の携帯の着メロは今☆夜桜お七☆)
 また楠田からだった。イヤイヤ出る。
 「もしもし」
 「もしもし、宮澤さん、楠田だけど、さっきは一体どうしたの?僕、なんか気に障るような事、言ったっけかなぁ?」
 「いえ、そういう事じゃなくて、ハナから勘違いしてらっしゃると思うんですよね」
 なかなかわかってくれない人にはハッキリ言うのが一番だろうと思い、そう告げる。
 「勘違いって?僕とつき合う気持ちがあるから昨日会ってくれたんじゃないの」
 「あ、違います!違います!」と早口で2回否定。
 「ナンなんだよーそれは……まいったって言うか、俺、からかわれただけって事?」
 口調がだんだん悲痛になってきた。
 はぁ~ダルイっていうか……こっちの方がまいるわ。
 「どうして一度一緒に出掛けたら、つき合う事になるんですか? あなたが鎌倉の話を、あまりにも熱心にされたんでまだ行った事なかったから1度行ってみてもいいと思っただけですよ」
 『しかも行ったのは縁切り寺だったし』と心の中で言葉を続けた。
 「はぁ……」受話器の向こうで溜息をついているのが聞こえるが、もうこれで伝えるべき事は伝えたなと思ったので「それじゃあ、どうも。電話切りますね」と言うと。
 「そんな事、言わないでさぁ~昨日はあんなこともしたじゃない……ね、もっと僕の事もよく知って欲しいし考え直してよ」
 『あんな事って……アンタが勝手にしたんだろうが』と内心ムッとする。
 やはり、しつこい!モテない君はヒツコイ。これだから脇が甘いと墓穴を掘る。でも……身から出た錆なのかな?下手を打った。

あああああああああああああああああああああ覆水盆に返らず。




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ネット恋愛 ブログラバー19 【楽と苦】

《桃:文》


 英会話スクールの帰りの電車の中で、英会話テキストを開いていても『楠田をどうやって遠ざけようか……』などと要らぬ想念が頭をよぎるので、どうも今ひとつ勉強に身が入らない。
 最寄り駅の改札を出て家へ向かう。
 先ほどから細く煙るように降り出した春雨が3月にしては寒い今夜の気温をよりいっそう下げているようだった。
 私は身震いしてコートの襟元をギュと利き手で掴んだ。
 『うう~寒い!』足早に家路を急ぐ。
 国道の側の川沿いに並ぶ桜がもう七部咲きになっていた。
 ああ……また春が巡って来たんだな。そう思うと何故か少し気持ちが明るくなった。
 翌日は午後からの勤務だったのだが、携帯の着メロで起こされた。
 「はいはいはい」寝ぼけた心の中で返事をしながら電話に出ると、母からだった。
 母は高校時代の友達の多恵から実家に同窓会の電話があったのを知らせて来たのだった。
 多恵とはもう卒業以来8年も会っていない。どうも正式な高校の同窓会というわけでは無くて「仲の良かった数人で同窓会をやらないか」という相談でかけてきたらしかった。
 母は私の携帯の番号を、すぐさま多恵に教えたそうなのだが、「掛からない」とまた多恵から母へ電話が来たので、母も何度か携帯へ電話をくれていたらしい。
 そう言えば……昨夜は英会話スクールに到着した時点で電話の電源を切り、それから再び電源を入れて充電器に置いたのは、もう真夜中の事だった。
 楠田の事もあるので携帯の電源を暫く切っておこうかとも思ったのだが、一人住まいのマンションには自宅電話を置いていなかったので、携帯の電源を落としっぱなしというわけにもいかず、そんな思案の結果、夕べ再び電源をONにしたのが真夜中だったのだ。
 母から聞いた多恵の携帯番号に早速掛け直してみる。呼び出し音を聞きながら『ええっ……と今日は月曜日だから、仕事中かもしれないな』などと考えていると、意外にも5回目のコール音で出た。
 お互いに懐かしい相手なのでお喋りが楽しくて止めどなく弾み、気が付くと、電話持っている左手が痺れきっていた。やっと電話を切って時計を見て驚いた。もう出勤しないと間に合わない。時間は午後2時前である。急がないと午後3時からのシフトに間に合わない。
バタバタと出勤準備を始めたとたんに再び着メロが流れる。
 慌てて出ると楠田だった。ア痛っ!と思いながら仕方が無いので「はぁ~こんにちは……昨日はごちそう様でした」と心と裏腹に普通に応対していまっている。
 今、急いでいるという事を告げて、どうにか手早く電話を終える事は出来たのだが
 「今日君のの仕事が終わるのを待っている」とか有り難くない事を言っていた。
 「それは、けっこうです!」という一言を言いそびれてしまった。
 今時間が無くて急いでいるので、それは仕方が無いだろう。
 後ほど電車の待ち時間にでももう一度電話をして、ちゃんと断らないと……。
 しかし、楽しい時間を過ごした後は何故このように必ずと言ってよいほど、困り事や苦痛な時間が訪れるのであろうか……?




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ネット恋愛 ブログラバー18 【煙草1本分のリセットタイム】

《文:シナモン》
罠2



 智子は彼氏の宮本君と、もう一人見知らぬ初老の男性といっしょにベンチに座っていた。
 僕の姿を認めると初老の男性は「それでは、私はこれで」と僕に頷いて帰っていった。
 「弁護士さんだよ」
 怒ったように智子が言った。
 「宮本さんのお父さんのお友だち。きのうの夜遅くに連絡したんだけど、今日は朝早くからいろいろ助けてくれたんだ」
 宮本君は妹より2歳年上の28歳。渋谷の居酒屋チェーンで働いている。
 「そう…いろいろお世話になりました。ありがとう」

 宮本君に頭を下げた。智子の顔はまともに見られなかった。
 「とりあえず家に帰りましょう。車で来たんで…」
 宮本君に促され、署の外に出た。赤のミツビシのステーションワゴン。智子が助手席に乗り込み、僕は後部シートに滑り込んだ。

留置所イメージ


 車内では誰も口を聞かなかった。気まずい沈黙が流れていたが、僕が話の口火をきるわけにはいかなかった。あと数分で家に着くという頃になって、智子が「止めて」と言った。
 宮本君は車を脇に寄せ、ウイザードランプを点滅させて路上駐車した。
 「言っとくけど…」
 妹が口を開く。
 「私らの誰も、お兄ちゃんが犯罪者だなんて思ってないから!」
 語尾は涙声になっていた。
 「悔しい…」と言葉を搾り出して、智子は声を出さずに泣き始めた。
 僕も涙が滲んで車内の風景がぼやけた。
 宮本君は智子の肩をポンポンと2度叩き、顔を僕の方に向け言った。
 「恭平さん、大変でしたね。智子から連絡もらった時は俺も驚きましたよ。そんなわけねーだろって思いました。痴漢なんてできる人じゃないことは知ってたから。ご両親もそう言ってました。俺ら全員、恭平さんを訴えた女にマジギレしてました」
 「あ、ありがとう。もう人生終わったと思ってたから嬉しいよ」
 頭を下げた。顔を上げられなかった。
 「もうちょっとだけ、ここに停まってくれていいかな? 親に泣き顔を見せたくないから」
 「もちろん」と宮本君は言って、シャツの胸ポケットから「ピースライト」を取り出し、僕に勧めてくれた。1本もらうと火をつけてくれた。彼も1本くわえ、火をつける。深く吸い込み、窓を開けながら煙を吐き出した。
 「私にも1本」と智子が手を伸ばす。
 「仕方ねーな。じゃあ特別に1本だけ」
 宮本君は渋い顔をして、ピースの箱を差し出す。彼は煙草を吸う女が好きではなかった。
 「火はつけてやらねーからな」
 煙草1本分のインターバルの後、僕は智子に尋ねた。
 「どうして俺が警察にいたのを知ったんだ?」




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