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裏リアルバーチャルストーリー 第2話【ずるい男テロル】その5

平日の午後の遊園地は人影もまばらだった。
彼氏いない歴23年の桜子は、ふと気付くと俯きながら、おずおずと後を付いて来るようにするので、
テロルは肩を抱き寄せてゆっくりと園内を歩いた。
「どうする?バニッシュにでも乗ってみる?水中の中へ急降下する世界初のダイビングコースターなんだってよ」
「私ジェットコースターなんて怖いのは乗れません!イヤです、イヤです!」そう言って桜子が大きくかぶりを振るので、
大観覧車に乗ったり、お化け屋敷に入ったりしながら時間を潰した。
遊園地へ来るなんていうのはテロルにとっては3年ぶりくらいのことであったが、
親を早くに亡くしている桜子にとっては、なんと初めての事だったらしい。
あまり感情を外に表さない女性であったが、すっかり陽も落ちた頃には、
笑顔も見え、それなりに楽しんでもらえたような感触を掴んでいた。
別に好きな子と一緒に過ごしている訳ではないので楽しいという事もないのだが、
女を落とす時には、その前段階としてこういう時間は必要なものだとテロルは考えていた。

時刻は夜の8時を少し回っていた。
「家までちゃんと送り届けるからね」駐車場で車に乗り込みながら、助手席の桜子の方を向いて真顔で、
そうつぶやくと
「はい」と小さく頷いて、
「今日はとっても楽しかったです。ありがとうございました」と言葉を継いだ。

車が走り出して暫くの間、沈黙が続いた。
通常のデートならば、こういう時間には、次に会う日時の相談でもするのだろうが、
テロルにとってはこれはデートでは無いので、この後、どう上手く目的のシュチエーションに持って行こうかと考えていた。
そう!テロルは、ただちょっと風俗では無くて、素人女性と遊んでみたかっただけ。
出会い系を利用する男の少なくとも半数は、それくらいの軽い気持ちだろう。
最初から彼は、そういう考えでこの面会に挑んでいる。
出来るならば一期一会が望ましい。
『あ・・・そうだ、園内で買い食いはしたものの夕食がまだだったな。じゃあどっか近場のシティホテルででも夕食を取って、
もしなんだったら、そのまま宿泊してもいいけど、まぁ、それは相手の様子を窺いつつ・・・」などと考えていると、
「私テロルさんのこと好きになっていいですか?」と桜子が、いきなり大胆な発言をした。
「えっ!大胆だね。俺なんて、たいした男じゃないよ。いいのかなぁ?俺なんかで」後々の事を考えると
あんまり、女の方からグイグイ来られて面倒臭い事になるのもマズイという気持ちが走り、
そんな、ちょっと引いた言葉を吐いた。

裏リアルバーチャルストーリー 第2話【ずるい男テロル】その4

「待ち合わせの場所で真後ろから声をかけられて、もう逃げるに逃げられなかったんですけどね」
桜子の目の前に現れたその男の容貌は事前に聞いていたものとは掛け離れていたそうだ。
ド近眼の彼女であるが、その時は先方の顔を写真で未確認という事もあって眼鏡を掛けて行ったと言う。
桜子:「うわーっ騙されたっ~(>_<)!って思いました。○○には似ても似つかないばかりか、40過ぎてて
どことなく脂ぎっているっていうんですかねぇ~目なんてウツボみたいに小さいし、私、頭にきちゃって・・・」

テロル:「ははは~やっぱり一応、写真交換はしておくべきだろうね~」

その男、桜子に『本当にジャニニーズの○○に似ていると言われるの?』と追求されると『いや本当のところは○○じゃなくて
△△だけれども、君、若いからその人は知らないだろうし、
そう言ったら来てくれないかと思って』と桜子の知らない名前を出して来たらしい。
その出して来た名前は、聞いてみると、まだ桜子が生まれるより前の古いジャニニーズの5人組のグループの人で、
もうとっくの昔に芸能界を引退している人だった。
桜子は知らない人なので「似ている」と言われても、なんのこっちゃらわからないだろう。
テロルにしても幼稚園の年中さんの頃の超古い記憶であった。
まぁ、いずれにせよ今時の二枚目というのとは全然タイプが違う。

桜子のLOVEへの期待は木っ端微塵に打ち砕かれたハートブレイクという事であるが、会ってしまったものはもう仕方が無いので、
取り合えずお茶をしようという事になって桜子にしてみれば、ハートマークのランプは付かずとも、
「仕事を紹介してくれるらしい目」とう方面でまだ期待を残していた。
(テロルから見れば、桜子は、ユーモアやウイットがあるというわけでもなく、ごくフツウの話し言葉でメールしてくる人であって、どこらへんに文才があったのかはさっぱりわからなかった。いや・・・待てよ~時々ポエムめいた数行の文章が書かれていた事があったっけかな?)

ところが男は、何処のテレビ局の仕事をしているのかとか、
これまでどんなドラマの脚本を書いてきたのかとかいう桜子の質問は、ことごとく適当にはぐらかして
そそくさと切り上げ、聞いてもいないのに、自分がしているもう一つの仕事とやらの話を、やおらし始め、
熱心にそのサイドビジネスを勧め出した。
ものの40分ほどのうちに、目の前の灰皿が吸殻で溢れそうになるくらいに絶え間なく煙草を吸いながら
どう聞いてもマルチ商法まがいの物売り話を展開してゆく男の目は完全に逝ってしまっていたと言う。
『ハッキリ言って儲かって儲かって仕方がない!やる、やらないは君の自由だけど、
このチャンスを逃したら君はきっと後悔する事になると思うよ』
男の喋りっぷりは立て板に水と言った感じで一方的にまくし立てるように喋り続け、
桜子には口を差し挟むスキを与えずに唖然としてしまったそうだ。
容姿の件で嘘を付いていただけでも信用を落としてしまっているのに、
そんな男に会っていきなりマルチまがいの商売を進められるとは、そりゃあ不愉快には違いないが・・・
自分の目的や欲があったからこそ、よく相手の人柄を確認もせずに会ってしまっている桜子にも、
あまり同情する気にはなれなかった。

洗剤や化粧品、宝飾品などのネズミ講ネットワークビジネスは世の中にいくらでもあるが、
そういうものに手を出した人間は必ず行き詰まって、ありとあらゆるところへ販売ルートを求める。
出会い系などに、そういった人間が紛れ込んで来る事も、そう考えれば不思議ではない。
テロルも内心では、今、助手席に乗せている桜子がそういう類の女ではなくて、とりあえずホッとしているのだった。

欲望一寸法師 第2話

来るべき未来の食糧難に備えて、
我が国の食物自給率を高めるというのが本来ならば、
最も取られるべき国策でなければならぬ筈なのだが、
とことん輸入に頼って来た事と自然破壊による生態系の破壊の結果、
西暦2100年、日本の食糧事情はたいへんな危機的状況下にあった。

現在町中に出回っている食料品はギリギリのラインである。
僅かでも土地を持っているものは皆、農作物の栽培を始めた。

21世紀の初め頃に趣味としてのガーデニングが流行ったような悠長な時代とは異なり、
今は生き残る為のガーデニングを全国民が始めている。
米栽培まではいかずとも野菜や果物を作るのは今やもう常識である。
インターネットでも農業・作物の栽培方法に関するサイトに人気が集中しており、
国中にサバイバルな暗雲が立ちこめている事は否めない。

もしも人間がちっちゃければ、
ミニトマトも 巨大トマト
みんなの お腹が 満腹に~♪

しかしながら・・・子供の数は減り続けている。
1組の夫婦に子供の数が1人に満たなかった21世紀初頭よりも
少子化は更に進み、現在は1組の夫婦に子供の数は0.5人。
やがてこの地球から日本人がいなくなるかもしれない。
生涯を独身で終える人々の数も増えている。

食糧難と少子化という、この二つの裏腹な問題を同時に解決するには
遺伝子操作により人類をミニチュア化するのがイイ(?∀?)!!
そんな総理大臣の鶴の一声で2070年に秘密裏に始まった
このプロジェクトに、漸く完全な形でのミニチュア人間第1号が誕生したのは
2083年の事。

ミニチュア人間のアダム・・・それがジュンだ。

ジュンは今年の夏で満17歳になる。
ジュンは最近イライラする事が多い。
だってそうでしょう?!アダムだけではどうしようもない。
どうして早くイブを作ってくれないのだ!
そんな不満が心の中で、だんだんと大きく膨らんで行くのであった。

欲望一寸法師 第1話

真夜中の午前3時・・・いつもの様にジュンは杏奈とライブチャットをしていた。
「やあ~杏奈 おはこんばんは」
「おはこんばんは~ジュン!」画面に向かって杏奈はニコニコ笑い両手を振っている。

杏奈は京都に住む大富豪の娘だと言っているが
髪はブロンドに染めたクルクルの内巻きカールで、いつもミニで派手目の服装だし
あまり、お嬢様っぽくは見えない。
J:「今日も、とっても可愛いね杏奈」
A:「おおきに~ジュンかてカッコええよ~タッキーにかて負けへんくらいに」
J:「ははは・・・杏奈はいつもそう言ってくれるけどさ、俺の世界はタッキーよりもずっと狭いんだって」
A:「なぁなぁ~杏奈ジュンに早う会いたいねん!いつ会える?」
J:「杏奈またその話かい・・・俺は杏奈には会えないよ。申し訳ないとは思うけど」
唇を尖らせながら頬を膨らませる恨めしそうな顔の杏奈。
J:「そんな顔するな」
A:「そやかてえージュン、会われへん理由を言うてくれはらへんねんもん」
J:「・・・・・・俺だって会えるもんなら今すぐにでも会いたいさ」
A:「ほんなら、会おうよ~ね、ね、杏奈がジュンの側まで行くから、それやったらええでしょ?」
J:「杏奈~」困惑した顔のジュン。
最近はずっと、こんな堂々巡りの会話をしている二人だった。

二人がパソコンでお互いを知り合ったキッカケはジュンの家の造りにある。
ジュンの家はシルバニアファミリーの「あかりの灯る大きなお家」にそっくりなのだ。
「自分の住んでいる家が既成のドールハウスと同じだったら著作権にひっかかるんでしょうか?」
そんな疑問をつぶやきながら「あかりの灯る大きなお家」を背景に微笑むジュンの
ブログにドールハウスマニアの杏奈が目を留めたのは半年前の事だった。
外装ばかりか内装までもがそっくりであったがカーテンや壁紙などは流石に男っぽいものに変えてあった。

これがジュンの住んでいる家にそっくりの家
silbania.jpg


「不倫のルール」って言葉としておかしいです

不倫という事自体が婚姻制度という人類のルールという事から外れたところにあるんですから、
「不倫のルール」っていうセンテンスは言葉として、どう考えてもおかしいと思います。
肯定とか否定とかそんな問題ではなくて
「日本語(国語)としておかしい!むかっ
私は言いたい。


家田 荘子さん、小説家なんだから、もう少し言葉の使い方をちゃんとして下さいな。



裏リアルバーチャルストーリー 第2話【ずるい男テロル】その3

前に会った男は酷く感じが悪かったという桜子の言葉に、
「えっ?!そうだったの?まぁ、場所柄が場所柄だからね。
確かにいい人に出会える可能性って、俺自身もあんまり期待はしてなかったけど」
言いながら、桜子の気持ちを察するに補足が必要な事に気付き
「いや、でも、桜子ちゃんみたいに純粋な感じの子に出会えるなんて、俺ってラッキー!って気がしてるんだ」
とテロルは言葉を繋いだ。

「そんな風に言ってもらえて有難いです。出会い系って白い目で見てる人が多いじゃないですか。私も使ってみる前は、
もしかしたら、とんでもなく恐ろしい目に遭わされるかもしれないってビクビクだったんだけど、友達があのサイトで出会った人と
けっこう上手くいってるって言うんで、そんなに悪い男の人ばっかりでもないのかもしれないっておっかなびっくりで
申し込んでみたんですけど・・・」

その後、話はその前に桜子が会ったという酷い男の話へ。
その男はテレビ局の放送作家をしていると名乗ったらしい。
出会い系などで女性をひっかけやすくする場合の定番として、女性の気を引きやすい職業や肩書きを名乗ると言うのは
基本中の基本だとテロルのある遊び人の友人が言っていた。
女はとかく男の肩書きやステイタスに弱いものらしい。
もっとも、その男が本当に放送作家をやっていたのか否かは定かでは無い話だが・・・。
その男は桜子に
「君の自己紹介文には他の女性のそれには見当たら無い心の琴線に触れる何かキラキラしたものを感じた」と書いて
一番最初のメールをして来たらしいのだが、よくそんなベタな誉め言葉に乗せられたものだと内心呆れつつ、
やっぱ、顔のわからない出会いというものは取り合えず、まず文章のセンスなんかを誉めれば糸口になるのかと、
今後の参考にすべく心の中でメモを取るテロルであった。
どうも話を聞いていると結局、桜子がその男と出会った一番の動機とは
「君とこうして暫くメールのやり取りをさせて頂いた上で思ったんだけど・・・君は、どうも、とてつもない文才を
秘めている人のような気がする。いや、まだまだ荒削りなものだけど、もし本格的に文筆業をやってみる気が少しでもあるんならば
僕は協力を惜しまないからね」みたいな話の展開で煽てられて乗せられての事だったようだ。
転職を希望していた桜子にとっては魅力的な話に聞こえたのだろうが・・・そんな甘い言葉に乗せられてマンマとおびき出されるとは、
なんとも世間知らずな娘である。

桜子は、やはり会う前に写真の交換を申し出たらしいのだが、なんだかんだと理由を付けては、
写真を送って来ないので、相当のブ男なのかもしれないと予想した彼女は
「やっぱり事前に顔を全然、知る事の出来ない人に会うのは不安が大き過ぎるんで無理です」と書き送ったそうだ。
すると「僕はジャニ系って言われるんだけど君ジャニ系はあんまり趣味じゃないのかな?」と来て、
ジャニ系ったってもう少し詳しくわからない事にはと追求する桜子に、
彼はジャニで今もっとも売れているタレントの名前を書いて来た。そんな事で「それならば」と会う気になったそうだ。
やれやれ・・・この子相当な面食いの上にだいぶバカらしいとテロルは内心思った。
プロフィール

桃

Author:桃
文学と映画の好きな主婦。
神戸に住んでいます。

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