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色恋熟知の恋愛知らずからの手紙

甘苦上海〈1〉夏から秋へ/高樹 のぶ子

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昨日の事…
偶然、この本の作者である高樹のぶ子さんがTVで恋愛について語っておられるのを見た。

私はここ数年、恋愛に関しては、とんと考えてこなかったが、
最近も、ある人の口から「自分は恋愛体質ではないから…」という言葉が出るのを聞いて、
折しも「恋愛体質って何だろう?」と脳味噌をグルグルさせていたところだった。

高樹のぶ子さんは仰った。
欧米で言うところの恋愛と日本人が言う恋愛は違います。

「源氏物語なんていうのは、あれは、まさに色恋の世界なんですよね」

oh!まさにその通り!
源氏物語は色恋の世界である。
色恋と恋愛の区別がつかなくなっている人は相当数おられるんだろうなというところに思いが至り、
私は、この瞬間、目からウロコが落ち、すべての事が理解出来た気がした。

光源氏は次々に、さまざまな女性と恋に落ちてゆくのだが、
どなたとの恋の始まりの時も、相手の方の事をよく知らない。
相手の方も光の君の事を噂で漏れ聞こえてくる事くらいにしか存じ上げない。

でも、恋の始まりとは皆、そういうものであるし、
相手の事をよくは知らないという事自体が恋の弊害になるものでもない。

恋の始まりはトキメキと共に訪れるので、恋に落ちたばかりの人の気持ちは高揚し、得も言われぬ歓びに満たされる。
だが、時が経過するにつれ、やがて二人は必ずやお互いの中に噛み合わぬ部分を発見する。
その時に互いに、きちんと相手と向き合えるか向き合えぬか…?
そこにこそ、色恋と恋愛のターニングポイントがあるのだろう。

自分の考えや感性と違う人と向き合うのは辛い。
辛い事はついつい避けて通ろうとしてしまうのが本来の人の持つ弱さなのかもしれないが、
そこで相手に背を向けて閉じてしまえば、恋もそこで終わる。
そこで終わってしまって、またまた新しいトキメキを他の女性へ求めて行ったであろう光の君は、
色恋上手の恋愛知らずと言えるんだろう。

恋の上澄みの楽しい部分だけを求めてゆけば、誰もが光の君となる。
それが悪いとか良いとかの倫理観念にさえ囚われなければ、多くの男性は、
光の君のような生き方を羨ましいと思うのだろう。
でも、それはきっと恋愛ではなくて延々と続く色恋の絵巻物なのだから、
この種の男性に色恋ではなく恋愛を理解するのは無理なのかもしれない。
絵巻は続くよ何処までも…野を越え山越え谷越えて…

さて、野を越え山越え谷越えて行った殿方に、別れのハンカチを振り終わったら、
色恋ではなく恋愛について再び考えてみる事にしよう。

恋人と、食い違いスレ違っても逃げない背を向けない閉じない。
ゆっくりでも、少しずつでもいいから、
花びらが開くように、相手にじっくりと、心を開き向き合ってゆく努力を捨てない。
恋愛がよくわからないという人はまずそういうスタンスを持つところから、
本当の意味の恋愛が始まるのだという事を理解した上で、恋愛を成就する道を選ぶも良し、
色恋道を突き進むも良し、
あなたの人生はあなたが選ぶものだから。
人生はあなたのフリーダムだから。

辛い部分からも逃げない大人のニュアンスを持ち真に育んでゆけるもの。
そういった恋愛が出来たらいいですね。
いい年して恥ずかしながら未だ恋愛知らずの私が言うのもなんですが。






プロフィール

桃

Author:桃
文学と映画の好きな主婦。
神戸に住んでいます。

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