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【新連載】パティシェの原価計算 ~1

×一で45歳のフミヤは、都内で小さいが「美味しい!」と評判のケーキ屋を経営するパティシェだ。
フミヤの店は開店して2年になるが、両親を早くに亡くして頼る者のいないフミヤにとって、この店はありったけの貯金に
借金を足して購入したかけがえの無いものだった。

ケーキの味の素晴らしさを常に追及する一方で、店を繁盛させて、なんとか借金を早く返済し、
もっと、もっと店の知名度を上げてパティシェの名を日本中に轟かせ、店を大きくしたいと願っていた。
ケーキ職人ならば誰もが持つ野望ではあるが、半端ない借金に追われる身のフミヤとしては、
ケーキ材料の原価を少しでも安く抑えつつも他店よりも秀でた上質のケーキを作りたいと日夜ケーキ作り以外に、
ケーキ材料の安い仕入れルートの開拓にも気を抜けないところであった。

ケーキ屋に欠かせないフルーツとしての代表は、やはり苺であるが『ケーキに最適な苺』として最近有名になりつつある、とある宮崎県産の品種があり、
先頃、農家とパティシェの親睦会で、その品種の生産農家の人と懇意になったフミヤは、まだ今は知名度のないその苺を安く買い付ける事に成功していた。

苺を使ったショートケーキは今でもケーキ屋の一番の売れ筋だ。
ビニールハウス栽培によって年中、味の良い苺ショートが店のウィンドウに並ぶ。

苺以外には生クリームやチーズなどの乳製品も欠かせないのだが、こちらの方は最近、品薄で、やはり契約農家とのしっかりとした太いパイプ作りが欠かせない。
品薄なので、どうしても高値になってしまうが、少しでも安く売ってもらう為に、時には牛のお産や農産物の収穫期には店を閉めて数日間手伝いに行く事さえあった。
信頼作りあっての商売である。

そんなフミヤだから自分の体を休める為に取れる休暇など年に1日とて無いという有様だった。

 しかし、そんなフミヤにも開業前から付き合っている恋人がいた。
実はこの女とは、まだ離婚が成立していない時からの縁だった。

 玉緒という名のその女は、フミヤよりも2歳年下の43歳で、やはりフミヤと同じく×一だった。
二人は夏の避暑地で知り合い、瞬く間に恋に落ちた。
お互いに娘が一人づついて、娘同士はすくに打ち解けた。
今はフミヤの娘は彼の元妻である母親のところにいる。

 玉緒の住まいはフミヤとは離れて遠く、初めて出会った軽井沢は、親戚の別荘を訪ねて、たまたま遊びに来ていたそうだ。
その時以来、東京と滋賀での遠距離恋愛という形になった。

 40歳という年齢には似つかわしくなく玉緒の肌は、それはそれはキメが細かく白く絶品の生クリームのようにしっとりとして、
この年齢にして、こんなにも肌の美しい女は千人に一人もいるまいと感動しつつ、いつもフミヤは玉緒を抱いた。

 あれから3年…今や、一日もプライベートな休みの取れないフミヤと玉緒のデートは、もっぱら二か月に一度ほどのペースで、
 玉緒が、こちらを訪ねてくれるか、それとも、彼のフルーツや乳製品の買い付け先の農家のある土地で待ち合わせて、
現地で、あるいは互いの家路への帰り道で、ほんの僅か、ひとときの二人だけの時間を過ごした。

 玉緒は、あまり会えないという事に関して愚痴を零した事がなかった。
大学時代に付き合った女はこうはいかなかったな――とフミヤは古い記憶を呼び覚ます。
大学時代にも、親のいないフミヤは学費を自分の力で捻出しなくてはいけないが為にアルバイトを幾つも掛けもちしていて、
なかなか当時の彼女に会う時間が作れずにいたのだが、その時の彼女は、たった10日間ほど会えない日が続いただけでも、
ヒステリーを起こして電話口で喚き立てられて、ほとほと手を焼かされた記憶がある。

 さて、そんな忙しい日々を過ごすフミヤのケーキ店に、昨年一人の新入り従業員が現れた。
パティシエールを目指している彼女の名は園宮舞子と言って、秋田出身の23歳。
秋田には美人が多いとはよく言うが、一目見て目を引くのは、やはりその肌のきめ細かな美しさだ。
粉雪のような美しい肌というばかりではなく若いだけあって内側から突き上げるような弾力があるのが、そのふっくらとハリのある頬に見て取れた。

 《上質だな》
生クリームを選別する時と同じ目で女を見てしまっているパティシェ・フミヤ。
 《おっと、いけない。これは従業員の面接なのだ》

面接と言っても、この忙しさの中、ケーキ職人の面接に際しては、簡単に経歴を聞いてみて使い物になりそうか否かの判断は早々に付けている。





パティシェの原価計算 ~2へつづく








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コグリア国物語 第3章 第36話  「雨の括約筋」

グラスに半分のワインが入っています。ある人は「まだ半分も入っている」と思い、ある人は「もう半分しか入っていない」と思います。
 さて、あなたは?

 初めての名古屋の夜は明けていった。
 自らの下半身に魔法をかけたコグレーンはかろうじてヒナリーナとの《約束》を果たす事が出来た。
 もっとも男と女の間には暗くて長い川がある。
 最後の一線は越えなかった事は確かでも、最後の一線以外は結構超え越えた。
 括約筋にかけた魔法は、コグレーンの指や舌にまでは届かなかったので、彼の行動が紳士的だったか否かの判断は読者に委ねたいと思う。

 翌日は朝から雨が降っていた。予定していたバラ園のデートを諦め、プラネタリウムと美術館周りに切り替える。
 プラネタリウムには人が少なかった。
 球体のバーチャルに輝く四角い星を見ながら、解放されなかったコグレーンの欲望が暗闇の中で再び頭をもたげる。

 『ナルニア国物語』に登場するたタスナムさんは人間の上半身に山羊の下半身を持つ半人半獣だが、この時のコグレーンは人間の下半身に猿の脳みそを持っていた。
 霊長類の進化のプロセスを逆走するかのごとく、築30年の中古住宅のごとく、暗い場所では自制心のブレーカーが落ちる。
 歩く煩悩と化していた。

 雨はますます強くなる一方。軽蔑されないうちに今日は切り上げた方が良いだろう。 
 タクシーを拾って駅に向かった。


 新幹線の名古屋駅は、まずまずの混雑だった。
 右に行けば東京方面、左は大阪方面のプラットホーム。
 発車時間はほんの数分コグレーンの方が早い。
 軽く抱擁して右と左に別れていった。
 前の晩、ほとんど寝ていないにもかかわらず二人の時は疲れを感じなかったコグレーンは、ヒナリーナと別れると急に睡魔が襲ってきた。
 ホームで朦朧とした状態になりながら、ホームに滑り込んできた新幹線に乗り込もうと思った。

 ヒナリーナが反対側のホームで手を振っているのが見えた。
 慌てて手を振り返すが、彼女に見えていたかどうかはわからなかった。

 ほぼ満席の車内。コグレーンは自分の座席に座るやいなや携帯電話を取り出しメールを打ち始めた。
 「今日はありがとう。楽しかった」
 
 電車が動き出す。反対側のホームにも電車が入ってきて、もう彼女の姿は見えない。

 彼女からの返信がコグレーンの携帯に入ったのは静岡に入った時だった。


〔終わり〕

コグリア国物語 第3章 第35話  「眠らせて」

恋の雫は全室個室型の本当に変わった店でした。
 
金の時計台の前で会ってすぐに手を繋いでからというもの二人は歩く時はずっと手を繋ぎ続け、その店に入る時も出る時も、ずっと手を繋ぎ歩きました。
 初めて二人で入った店が個室であったという事にヒナリーナは驚きを隠せません。
 コグレーンは昨日の夜に接客した名古屋でのお得意さんから情報を仕入れたんだと言っていましたが、ヒナリーナはその人がどんな人なんだか全く知りませんでした。
 二人が案内された個室は、店の非常に奥まった所にあり、障子張りの引き戸を開けて靴を脱いで上がる畳二畳分くらいの場所で、並んで座ると、正面に設けられた格子の窓越しに、外に人工的に作られている川や他の個室に入っている人達の姿がチラチラと見えるのでした。
 
 適当にお料理をオーダーしました。
 せっかく名古屋に来たのだからとコグレーンが名古屋名物の手羽先を注文したのですが、その手羽先の小ささに驚いた事をヒナリーナは一年後の今もよく覚えています。
 オーダーしたお料理がすべて運ばれ終わり、それらにそこそこに箸を伸ばしながら何でもないような話をしているうちに、二人並んで座っていたから、それが自然なのかもしれないですがコグレーンは寛いだ様子でヒナリーナの肩の手を回してきて何度も何度も二の腕や髪を撫でてキスをし、まるで「お障りバーで働いているのか?」と錯覚を起こしそうになりました。
 いきなりここまでの大サービスをしていいのだろうか?
 いつまでも、いつまでも二の腕を撫でながら「どうしてこんなにスベスベなの?何か特別なお手入れをしているの?」と聞きました。
 そのうちだんだん大胆になってきて「ここはどうなっているの?」とヒナリーナの胸の安全ピンを見つけました。
 谷間を露出するタイプの服なのですが、普段はあんまりそういうタイプの服を着なれていないので、身に付けてみたはいいけれど大胆過ぎるのが恥ずかしくて、
谷間に接するV字型のフリル部分を安全ピンで留めてあったのでした。
 例えブラが少々見えても構わないようにその下には見せタイプのブラを付けていました。
 安全ピンを外すとコグレーンは「ちょっとだけ… …」と言ってブラのカップと胸の隙間に手を差し入れてきました。
 コグレーンが部屋の奥にあたる右側に座っていたので左胸です。
 自分がこんな服を着ているから悪いんだろうしと思って俯いてされるがままになっているとコグレーンの指は、やがてヒナリーナの乳房の最も敏感な部分に辿り着き、指で挟まれたり摘ままれたりしたものですから恥ずかしさのあまり身を捩りながら「あぁ… …」と甘い声が漏れました。
 先ほど初めて会ったばかりの人に、もうこんな事を許している私って、ふしだらな女だったんだろうか… …。
 そんな事を思っているうちにもコグレーンの手はますます大胆になり乳房を揉みしだきながら今にもブラの中から引っ張り出そうとしていました。
 「あ!イヤ!止めて!」慌てて両手で胸を覆うと「ごめん。ちょっとやり過ぎた。ごめんね。もうエッチな事しないから」となだめるように謝って、
まるで小さい女の子にするようにヒナリーナの頭を撫でてその後はまた二の腕を上下に摩りながら「このスベスベにハマった」と言いました。
 
 もし今地震になったら生き埋めに間違いなし!という構造の店だったので、それが不安で、ヒナリーナは、そこの店から一刻も早く出たいと思いました。
 やっと店から出た時は「ほっ」として、お部屋を二つ取って下さっているし、もう夜も遅いから、後はホテルに戻ってシャワーを浴びて、ゆっくり体を休められると思っていました。
 けれどホテルの戻ると「このまま眠ってしまうのはもったいないから、もう少し話そう」と言ってコグレーンは自分の部屋にヒナリーナを誘いました。
 しかし先ほどの居酒屋の様子から考えて同じ部屋に入る事は体を許す事を了解したと受けとめられると考えて、
ヒナリーナは少々頑なに辞退しようとしましたが、コグレーンもなかなか引き下がりません。
 繰り返し何度も「約束は守るから信用して!」と言うので、あんまりキッパリと拒絶してしまうのも、まるで信用していないようで失礼かと思い
「そんなら少しだけ」と言って一緒に部屋に入りました。
 ハンドバックを置くと「おいで」と言ってすぐに抱き寄せられてその瞬間からはもうずっ~~~~~~~とくっつきぱなしで抱きついたままです。
 気が付くとお布団の中でショーツ型のガードル以外は裸でキツク抱きしめられて頬、首筋、両方の乳房と全身を愛撫されていました。
 「これでは全く約束が違うよ」と思いましたが、もうここまで来るとどうでもいいように思いキツクお腹を締め付けているガードルも脱ぎ去って解放されたくなりました。

 コグレーンの体は熱くて興奮しているようでした。
 コグレーンのあの部分はもう早くに大きく逞しくなっているのを感じましたがパンツだけは履いたままでした。
 
 その時には、もうすっかり彼を信用していたからでしたが「してもいいよ… …」と小声で囁いても、そんな状態でも
「約束だから最後の一線は越えないから」と繰り返し言うのでした。

 そんなギリギリのところまで行って最後は越えないって、もの凄い自制心だとヒナリーナは感心しました。
 真夜中の2時くらいになってもコグレーンはヒナリーナにピッタリと抱きついたまま離れないのでヒナリーナは流石に疲れてきました。
 「自分の部屋に戻って寝たい」とコグレーンに告げました。
 するとコグレーンは「ここでこのまま僕に抱かれながら眠ってもいいよ」と言うのですが「それでは何の為に部屋を2つ予約したかわからないし勿体ないですから」と言うと「それもそうだね。じゃあ君の部屋まで送って行こう」と言って服を着ると、ヒナリーナの部屋へ来てそのままヒナリーナについて部屋に入り、
さっきと同じように片時もヒナリーナから離れようとせずに、ベットの上で、いつまでもずっと抱きつきっぱなしで体力のないヒナリーナはコグレーンよりも先にヘトヘトになりました。
 「前夜も前前夜も仕事が忙しくてロクに寝ていない」と聞いていたヒナリーナは、何故そんなに眠らないのかと不思議に思い尋ねると
 「君と一緒に過ごせる貴重な時間を眠ったりしては勿体ないから眠りたくない」と言ってヒナリーナを唖然とさせたのでした。
 
 午前四時頃、コグレーンが「ひつこいと思ってる?」と聞くので疲れていたヒナリーナは申し訳ないと思いながらも「うん、ちょっと… …」と、
コックリと頷いてしまいました。
 自分から聞いたくせにヒナリーナが頷くと「ええっ~そんなぁ~」と、とても悲しそうな顔をした後コグレーンが自分の部屋に引きあげて行ったのは午前四時半くらいの事でした。

つづく
第36話へ

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コグリア国物語 第2章 第29話 「シャカボン」

コグレーン王とヒナリーナが交わしていたメールの中身はたいへん微妙なものでした。
 思い返せば、もうずっと早い時期から、そう… …コグレーン王が初めてラクテーン地方でコッカラーノへ(今はヒナリーナへ)
熱心なファンである事を伝え続けて下さいました。
 Eメールをやり取りするようになってからは、コッカラーノが出していたプロフィールの写真が美的に若干の評価を得ていた事も親睦の気持ちと共に伝えても下さいました。
 もっとも写真を作品と見たならば、それはコッカラーノよりもむしろその写真を撮ったカメラマンが評価されたのでしょうが。

 「では僕と会いませんか?」
メール上でそうコグレーン王から申し出があったちょうどその頃、コグレーン王がヒナリーナや共通の友人のコメント欄に書く文章には
 「煩悩も性欲もある普通の男です」と訴えたい気持ちと「紳士的な男です」との相反する主張の両方が見え隠れし、結局どう思われたいのかわからないと言うヒナリーナにとってはヘンテコリンでおかしな光景でした。
 コグレーン王は、ヒナリーナがメールで面白がって「お釈迦様」と呼びかけるのを「そんな神様みたいなもんじゃないです」と拒否る一方で、
ヒナリーナが、いつか色恋解体新書という個人的エッセイ集の中で書いた一遍『性獣よこんにちは』での性獣のような人と誤解されるのも不本意であったようでした。
 そりゃあ、そんなものに間違われては実も蓋もなく異性との人間関係は破綻しますものね。
 等身大の自分をヒナリーナだけには何としても知ってもらいたいという気持ちと、必要以上に警戒されては困るという気持ちが混在していたから、そんな風だったのでしょう――と後になってからヒナリーナは、その時のことをそう思い返すのでした。
 メールの中でコグレーン王がいくら隠そうとしてもヒナリーナの巧みな誘導尋問によって、どんどん明らかにされてゆく淡い恋心。

 ひよこがね お庭でぴょこぴょこかくれんぼ

 どんなに上手に隠れても黄色いあんよが見えてるよ。

 ヒナリーナは黙っていただけで見えていました。
 コグレーン王はさまざまに言い繕おうとしておられましたが何の思い入れもない相手とこれほどの夥しい数のメールのやりとりなどする殿方なんて考えられはしません。
 親愛と恋愛と言うならば、とっくの昔に親愛という名の堤防を乗り越えて恋愛の津波がやってくる海鳴りの音へと変わっておりました。

 さて、ここまでトントントンと書いてきて、いきなりここで告知は恐縮ですが、このままゆけば恋愛になる予感があっても、一つ問題がありました。
 コグレーン王にはご家庭がおありになったのです。お嬢様もお二人おられました。

 不倫をする人は仏教の教えによると死んでから、色情地獄に堕ちると言われております。
 別にヒナリーナは仏教徒ではありませんでしたが「不倫をして何が悪いの?!」と開き直る気もありませんでした。
 不倫に関してはビギナーではなく何度かの経験はあるもののピザ屋の店員が電話でピザの配達を承るように二つ返事とは行かず、何度もしてきた悪事と言えども
 また今回も躊躇いもせずお受けするわけにもいきません。
 それなりに、よくよくコグレーン王のご家庭の事情もお伺いした上で考えようと思いました。

つづく
第30話へ

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コグリア国物語 第2章 第25話 「いつか二人で温泉卓球芸者」

 写真の交換に続いて、携帯電話の番号を教え合った。
 「わたし、電話だと甘えているような声だと言われるんです」
 ピーチーズの言葉でコグレーンの想像力は刺激された。
 「それは楽しみですね。お話できるのを楽しみにしています」

 恋愛に対して、よく言えば慎重、悪く言えば臆病なコグレーンは、初めて電話をかけるタイムテーブルを事前にメールで予告していた。
 思えば、子供のころから、夏休みが始まる前に勉強のスケジュール表を作るのが大好きだった。それで安心してしまうのが問題だったが。
 
 「今日の夜9時頃電話します」
 我ながら堅苦しいと思ったが、最初は自分の慣れたやり方でやりたかった。
 これに対してピーチーズは最初から、コグレーンよりずっと自然体だった。
 あと一時間で電話する時間とコグレーンが時計と睨めっこしていると携帯にメールの着信があった。

 「早めにご飯を食べたら眠気を感じております」
 ピーチーズからだった。
 車を運転中だったコグレーンは「それじゃあ、少し早めに電話します」と携帯に入力した。
 
 送信メールのボタンを押す前に電話の着信音が鳴った。
 ディスプレイには《桃》の表示。

 は、はやっ。少し動揺じてハンドル操作を誤り、車は蛇行した。
 立て直して受話器を取る。
 「こんばんは」
 おっとりした京言葉が受話器から流れてきた。
 「運転中だから掛け直してもいい?」
 車を止めて近くの公園から掛け直した。

 「甘えたような声?そうかな?」
 「あと、京言葉みたいとか言われます」
 「ああ、そんな感じですね」
 関西出身の女性らしく、彼女は話好きだった。
 コグレーンもリラックスしていた。
 彼女だったら、会っても、気まずくならない気がした。

 「やっぱり会いませんか?」
 「会って何しましょうか?」
 「え、卓球とか… …どう?」
 「え、卓球? 温泉でも行くんですか?」
 「それも… …いいかも」
 噛み合っているような、いないようなやり取りだったが、この夜以来、二人は2,3日置きに電話で話すようになった。

 初めて会う日が数週間後に迫っていた。

つづく
第26話へ

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コグリア国物語 第2章~第18話 「RYOとナツコ」

 コッカラーノがラクテーン地方からいなくなってしばらくの間、コグレーンは寂しさを紛らわすように自らの王宮の手入れに力を注いだ。

 記録(メールの送信受信歴)を確認すると、ここまでの二人の交流は僅か一ヶ月程度、メールのやりとりは僅か3回程度に過ぎない。
 「他にやりたい事があるので休むだけ。またご訪問させて頂きます」というコッカラーノの言葉を信じ、あまり深追いはしない事にした。

 それに・・・彼女は新しい恋を始めたばかり。むやみに追い回して何になるのか――という気持ちもあった。

 その間コグレーンは、同盟国の中で一人の女性と親しくなった。
  
  《わたし、時々変な子になるけど許してね》
  《変な子ってどんな風になるの?》
  《自分でもわからないの。でも驚かないでね》
 彼女のブログは日常の細かいことを丹念に綴っているものだった。

 今、起きました。朝ごはんには納豆を食べました。お母さんは買い物に出かけています・・・・・・このような記述が夜まで続く。
  《では、PCの電源を切ります。おやすみなさい》という言葉でいつもブログは締めくくられていた。
 ブログをこのように日記として使っている人に初めて会った。
 このような内容の日記が半年以上、1日も休まず更新されていた。

 コグレーンは初め、もっと幼い女の子が大人の女性に成りすましているのかもしれないと思った。
 彼女とブログを通じた交流を続けてゆくうちに、何かの病気で自宅療養しているという事が分かってきた。
 コグレーンは時おりガラスのような脆さを垣間見せる彼女の事がだんだん気になるようになっていった。
 彼の悪い癖だった。
 リアルワールドでもこのような経験を何度かしている彼には、言葉の限界が頭ではわかっていた。
 RYOに必要なのは、百の言葉よりも黙って傍にいてやる事の出来る存在だった。
 それでも彼女のブログを訪れる事がコグレーンの日課になっていった。
 この時の態度についてコグレーンは、後日コッカラーノから厳しい指摘を受ける事になるのだが・・・。
 コグレーンと同じようなパーソナリティを持った男は他にも数名いて、三人から四人がRYOのブログの常連になっていた。

  《私はどこにもいけずに、一人で死んでいくのかもしれない》
 ある時、RYOはブログにこう綴っていた。
  《一人じゃないよ》
 コグレーンは迷いながらキーボードを叩いた。
  《たとえネットを通じた関係かもしれないけど、君の事を見守っている人がいる》

  何人かがコグレーンに続いた。
  《オレもいるよ。他のみんあだっている。みんな応援しているから》
  《笑ってごらん。辛い時こそ笑ってごらん》
 RYOは答えなかった。
  《寂しい。辛いよ。こんな気持ちでいるなら死んでしまいたい》
 という文字がモニターに躍って、彼女のブログは静かになった。


 翌日、彼女のブログは更新されなかった。
 半年で初めての事だ。
  《まさか・・・》
 最悪の事態を思って、コグレーンは彼女のブログの「私書箱」にメッセージを送った。

  《力になれるかわからないけど、聞いてあげる事は出来るから》
 短いメッセージに携帯電話のアドレスを添えた。

 その日の夜、コグレーンの携帯に一通のメールが届いた。
  《RYOです。本名はナツコっていいます。つらい時メールします》

つづく
第19話へ

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主な短編 一覧


浦島太郎の恋・目次


 ※著作権侵害されて困っています。
以下はこの小説を勝手に盗用して勝手に変な写真と組み合わせて公開しているサイトです。
この小説の作者である私とは何ら関係ありませんのでお気を付け下さい。
 

http://bccks.jp/viewer/10961/1/A/VIEW#

                 10


その他短編

ブログ王         冒涜のコント  アワビさん

ミスに纏わるエトセトラ



ホスピスの桜の話

ホスピスでボランティアをしている知り合いから聞いた話。

ホスピスには末期癌の患者さんが沢山入院しています。

病院の庭には立派な桜の木があって、毎年、見事な花をつけるけど、
病状が重くもう歩けない患者さんの為に、
その桜の木から一枝切って病院の中に花を活けるのだそうです。

「本来ならば、桜の枝を切るのは馬鹿野郎なのだが、庭に花見に出れない患者さんの為には仕方がない」
と、その知り合いは言いました。

だけど私は、その話にはとても違和感を感じました。

切り取られた桜の枝は花器の中でやがて枯れてゆきますね。

そりゃあ桜の木の枝でそのまま花を咲かせていても散るのは同じなんだけど、
根っこがしっかり大地と繋がっているのと、切り離されてしまったのでは大違いです。

死を前にした患者さんが、枝ごと朽ちてゆく運命の、その活花を見て本当に喜んでいるとは、
私にはどうしても思えない。
例え口で「綺麗ね」と言って涙を流したとしても、
患者さんは切り取られ離され朽ちてゆく、
その桜の枝の運命と命尽きようとしている自分の身の上をきっと、重ねてしまうのではないでしょうか?

それは私の考え過ぎでしょうか?

私という人間は、そのホスピスをしている知り合いから言わせれば、
人の胸の内に対して想像力や思いやりに欠ける人間なのだそうです。
だから彼の思う一枝の活花の桜の方が正しいのかな?

私にはわからない。

でも私が死に行く身ならば、大地にしっかり根を張って咲いている桜の花が見たいです。
最後に見る桜ならば尚更。
例えストレッチャーの上から横たわってであったとしても…。

たかがメル友、されどメル友

心理学の本の紹介を頼まれているという事もあり、
私は今、自分の心のみならず、色々な人の心を見つめたいと思っています。

こんな事を書いてしまうと今、私と交流のある人は
「見つめられたくないわ!」と思って逃げ出してしまいやしないかと、ちょっと心配(笑)
でも、別に悪口とかは一切書かないつもりだし、
もちろん、それが誰なのか特定出来るような形では絶対に書かないから、
どうか誰も逃げ出さないようにと切に祈っています。

せちがい昨今の世の中をグルリと見渡してみれば、心がヒリヒリと痛む事ばかり。
就職難、リストラ、家庭不和、イジメ、失恋、学校崩壊と、ストレスが絶えまなく襲ってくるこの現代社会で、
「ストレスとどう付き合うか?」というようなハウツー本も出回っていますが、
何事もなかなかマニュアル通りにはゆかないものです。

それに、私はあまりマニュアル本には頼らない種類の人間なのですが、
読まなくても、おそらく、そういった類の本には☆気持ちの持ち方などの精神論や
「★日々の暮らしの中に癒しを求めましょう」的な事が書かれてあるような気がしてなりませぬ。

もし、私のこの推理が間違っていたら「出版社さんごめんなさい」という事を予めお伝えした上で書きますが、

ハウツー本に書かれてある事の幾つかの項目がもし「☆何事も気の持ち方一つ。メジャー志向で行きましょう」的な精神論であるならば、
心の傷を負った人々は、たぶん、そんな精神論などは、あまり求めてはいないと思うのです。
メジャー志向である事は大事な事だとは思いますが、読んでもすぐに忘れてしまうし、
どんなに自分がメジャー志向で生きていたとしても世の中万事、人と人との繋がりやシガラミで動いていますから、
周囲の人との関係性と上手く連動して行かない限りどうにも好転してゆきませんので。

けれど「★日々の暮らしの中に癒しを求めましょう」の方なら、わかる気がします。

ただ、これも性格的に器用でマメでサッサと自分自身で、
日々の暮らしの中にささやかな喜びを見つけられる人は良いのですが、
現実には、そんな気力も湧かないほど落ち込んでいる人、心が壊れかけていて、
季節が変った事にも気付かないほど内向的になっている人には難しい事柄です。

しかし本当はそういう人にこそ、日々の暮らしの中に、何気ない癒しが必要なんだと思いますよ。

深く心が傷ついている時と言うのは、本やテレビやラジオなんかじゃだめですね。
そういったメディアを点けていても、心が萎えている人というのは度々放心状態になり
「何の話だったか?どういったストーリーだったか?」とちょいちょいわからなくなっています。

そんな時に励みになってくれるのが、今時であれば、友達からのメールや電話であったりするものですが、
それも関係性の浅い友達じゃ意味をなしません。

人は「友達」という言葉を、とても安易に使いますが、ただ単に同じクラスで、ちょっと波長が合うとか、
ご近所さんで園芸仲間というだけでは…ね!ダメでしょう?
お互いに何でも素直に話せる友達~言いかえれば親友と言えるくらいの人でないと。
だから親友を持っている人は幸せ者だと思います。

親友を持っていなくて、励みになるメールや電話を受け取る事の出来ない人がもっとも深刻なのです。
そう言う私も、その深刻な人のうちの一人なのですが(苦笑)

そんな心理的背景があるから、
そのうちのある人はカウンセラーの扉を叩き、
またある人はメル友を探したりするのだと思います。
ネット慣れしていると無意識のうちに、そんな癒し系メル友を求めている事があるかもしれません。

「メル友の一人や二人簡単に見つかるだろう」
そう思われますか?
そりゃそうですよ。
ネット慣れしてれば特にね、ネットの上のさまざまな場所で自然に人と接点持てますからね。
だけど前述のように、
友達というものはサラリと「友達」と言ってみたところで、
互いに何でも話せる心地のいい関係でないと、励みや癒しにはならないものです。

自分ばかりが励まされ癒される事を考えていてもダメでしょう。
ヒフティ・ヒフティに与えあえなければ。
これはもう相手と自分のバランス感覚に掛かっているのですが、簡単そうで、なかなか成立しませんね。
互いのバランス感覚が良くて、何気ない言葉かけで励まし合える相手って、
本当に、なかなか出会えないものです。

たかがメル友、されどメル友ですよ。

そんなメル友さえ見つかれば、生き方マニュアルを読むよりも、
カウンセラーの門を叩くよりも、
ずっと明るくなれるかもしれないのにね…。

出会いに奇跡が起こる事を祈りましょう。
貴方に運命の神様の祝福があらん事を祈ります。





スカボロフェアー~愛について考えながらハーブを育てる

庭でレモンバームがあまりよく茂るものだから欲が出てきて、
今日はローズマリーを株で買って来た。
それにルッコラやスィートバジルやパセリ、青しその種も。

Are you going to Scarborough Fair.

Parsley sage, rosemary and thyme.

Remember me to one who lives there.

For once she was a true love of mine.


君がスカボロフェアーに行くのならば

パセリ、セージ、ローズマリー、タイム

いや・・・

そこに住んでいるただ一人の人に

僕がかつて心より愛した人に

僕の事を思い出してよと そう伝えておくれ

桃訳桃


なんだか、やたらにせつない歌詞ですね。

《補足説明》
loveは「愛」のほかに、男から見た場合恋人の意味がある。Ask辞書参照

loverは女から見た恋人もしくは愛人(ただしそれは古風な言い回しであり現代ではそういう言い方は通常されない)
男であれば one's boyfriend,one's boy,女であれば one's girlfriend,one's girl というのが一般的。
Ask辞書参照

「スカボロフェアー」とは
イギリスにあるスカボロという市の祭りの事。
イギリス民謡のタイトルでもある。

Youtubeで訳詞付きスカボロフェアーを今すぐ聴く
(と言うか2番以降で、男の我儘・無理難題にムカつきますよ~)
こんなにイイ女を捨てるなんておまえは馬鹿だよ~バーカ!






↓携帯からの人はこっちバニーo(_ _*)o
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お忙しいところ恐れ入ります。(その代わりGOODはいりませんので
あなたの1クリックが励みになります。
いつも、すいませんm(_ _ )m

過去記事を整理していたら、こんな小説が出て来ました

懐かしいです。

「この頃は、まだ私といっしょに何か作ろうとしてくれてたんだな」って、そう思います。

シナモンさんの事を記事に書いたら怒られる事はわかっているんですが…もうシナモンさん、
ネットに接続自体してないし、ましてや、このサイトを覗く事はもうないみたいなので、
悪口じゃなく書いています。

シナモンさんは、どんどん、どんどんお仕事が忙しくなっていって、
それと並行するように会った時の桃と会わない時の桃を分けて考えるようになって、
会った時の桃には優しくしてくれたのですが、会わない時の桃の事は放っておくようになりました。

もちろん「会わない時のコミュニケーションも大切」って桃は何度も言いましたが、
この二人の組み合わせでは活字のメールでのコミュニケーションって、
正直あまり上手に出来なかったんですよ。

だから電話で直接話すようにしていたんですが、シナモンさんがお仕事で凹んでる時に
桃に掛けてきた電話で、桃が上手に対応できなかったのをキッカケに、
電話までしなくなってしまいました。

そして最後には、会える時の少し前にシナモンさんから桃へ連絡が入って会うだけで、
後は1~2か月に1回、シナモンさんの気持ちが安定している時に電話で話すくらいでした。

逆に言えば、そこまでコミュニケーションが取れていないのに、
関係が切れずに続いていたのが奇跡なくらいなんですが、
でも見えないところで気持ちは確実に離れていっているわけで…
もっと、もっと、お仕事に埋没していかれる中で、
シナモンさんは桃なんかより、もっともっと素敵なものを見つけられたそうです。

それでシナモンさんが幸せならば、桃はいんですよ。
色々な気持ちが交差しましたが、最後にはやはり、
好きだった人には幸せになって欲しく思います。

゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚


ぬり絵をみて閃いた“夏の思い出” 架空の恋

文 シナモン&絵 桃
「いつか汚れてしまう前に……」
 そう呟いてひよこと少年はカメラの前でポーズをとりました。卒業式を二日後に控えた初めてのデート。行き先を決めずに切符を買って、電車の窓から海がみえたので降りてみました。
 誰もいない海。ひよこはいつもより大胆になって、少年の唇に軽くキスをしました。
 これ以上はひよこも少年も望むことはなく、浜辺で貝殻を拾って持ち帰りました。
ロックスター

 少年は高校生活に馴染むことができませんでした。小さなすれ違いが重なって、ある朝、少年は学校を休んでしまいました。一日が二日、三日になり、一週間になると、学校に行かないのが日常になりました。世間でよく言われる“引きこもり少年”の一人として一括りされるようになりました。

 そのまま一年が経つと、少年の父親は強硬手段に出ました。
 家を建て替える勢いで、少年が引きこもっていた部屋をブルドーザーで粉砕し、個室がない大きな1LDKの家を建てました。プライベートのスペースを奪われた少年は、宝物のデジタルカメラとパソコン、取り貯めた画像のデータを持って家を出ました。

 生きていくために収入の道を探さなくてはなりません。少年はパパラッチになりました。唯一の趣味だったカメラを持って夜の公園を彷徨っている時、やけに存在感のあるカップルを何の気なしに撮影したのがきっかけでした。公園を根城にしていたホームレスの一人が、そのカップルがさる大物男優とアイドルであると告げました。
 スキャンダルを売り物にしていた出版社にメールを送ると、思わぬ高額で買い取ってくれました。
「これからもいい写真が撮れたら買ってあげる」と目付きの鋭い編集長に言われ、少年は夜の街を歩き回るようになりました。ホームレスの仲間も手伝ってくれたので、少年はコンスタントに成果をあげることができました。
 人と視線を合わせることができない少年も、デジカメのモニターを通せば怖さを感じずにすみました。デジカメのモニターが、少年が社会をみる目になりました。

 その頃、ひよこの生活も大きく変わろうとしていました。友人のオーディションに付き添ったところをスカウトされ、とんとん拍子に歌手としてのデビューが決まりました。美空ぴばりの芸名で、ひよこの歌はヒットチャートをぐんぐん昇っていきました。
 ひよこは、うわべだけ華やかな芸能界になど興味はなかったのですが、押しの強いマネージャーにNoと言えず、流される日々を送るようになりました。
 深夜、プロダクションが用意した都心のマンションの部屋に帰る時、ひよこは少年と海に行った時のことを懐かしく思い出すことがありました。

 パパラッチとして悪名を馳せた少年に、スキャンダル雑誌の編集長から厳命が下りました。
「来週号の締め切りまでに、美空ぴばりのあっという瞬間を撮ってこい」

 少年はホームレスたちとぴばりの周辺を張り込みましたが、編集長の望むような写真は取れませんでした。
 少年はぴばりの出演しているテレビ番組をすべてチェックしていました。ある時、画面いっぱいにぴばりのアップが映し出されました。首元に下がっていた貝殻のネックレスが、少年のいつの間にか遠くになっていた記憶を呼び起こしました。撮りためた写真の中から、二人で海に行った時の写真を探し出し、少年は涙を流しました。

かもめ

 編集長から催促の電話がかかってきた時、少年は震え上がりました。
「ぴばりの写真が撮れなければ、もうお前は使わない」と脅されました。
 仲間のホームレスたちにとっても、少年が写真で得るギャラは必要なものになっていました。
 悪夢の中にいるような感覚で、少年は大切な思い出を編集長に差し出しました。三年前の夏。だれもいない海でキスしている写真を。
「ちょっと色気がないけど、修正すれば使えるか……」
 その写真は、次の週に発売された雑誌のグラビアを飾りました。殺到する取材陣に、オーディションに落ちた友人のコメントが火に油を注ぎます。
「しばらく身を潜めていろ」とプロダクションの社長に言われたひよこは、これ幸いと、誰にも行方を告げずに姿を消しました。

「ぴばり失踪?」
 テレビや雑誌に踊った文字に少年は深く傷つき、公園を後にします。駅のホームから線路に飛び降りてしまおうかと思いましたが、踏み切れず、そのまま電車に乗りました。いつの間にか、人けのない海岸にたどり着いていました。そこは、少年がひよこと一度だけデートした場所でした。

麦藁帽子 小

 遠くから歩いてくる人影がみえました。この三年間思い出さないことはなかった、愛しい女性でした。手で触れられる距離まで近づくと、ひよこは「わたし、ぴばりにはなれなかった」と舌を出しました。
「思い出はきれいなままにしておきたかった」
 少年は呟いて、俯きました。ひよこは少し首を傾げて、
「思い出はこれからだって、作れると思わない?」といいました。

美空ひばり


 桃さんの絵をみて、なぜか直感的に頭に浮かんだストーリーの断片です。作者の意図とはほとんど合っていないのですけど。
 ペンギンの話を書こうと思った時も、なぜか「このペンギンは実は宇宙人なのかも」と閃いたのです。結局、設定は少し変えましたが……。
 桃さんの絵を小説の題材にする時は、はじめに設定の断片を思いつき、メモしておきます。上のような文章のスケッチを小さなノートに書き留めておくんです。そのうち、キャラクターの会話が聞こえてくるようになります。それを元に前後をつなげていくのです。どういうわけか、メタボ&リックはかなり暴走したストーリーになる予感です。これは桃さんのせいではなく、不思議な化学反応としかいいようのない現象なのですが。

 この話をきちんとした小説に仕上げるかは未定です。



アイスクリーム

桃色の話

色には、さまざまにイメージがあるようだが、
とりわけ性に絡めてイメージされる事が多いのが桃色。

一体、桃色は、いつ頃からエッチを連想させる色になったのだろう?

もう既に、私が幼い頃にはエッチな映画の事を父が「ピンク映画」と言っていた。
映画ピンクリボン公式サイト
うちの父は、しょっちゅう「ピンク映画」という言葉を発していたが、
それは別に父が色情魔だったせいではない(たぶん・・・)


その昔
、映画の看板屋というのが父の仕事で、父は真面目に
日活ロマンポルノの看板を描いていたに過ぎない。

そんな父だったから、父は私が生まれた時、桃と名づけた・・・




・・・ちゃうって!
桃はハンドルやねん(●´ω`●)ゞ

私が自分のハンドルを桃にしたのは、別にエロな意味を込めたかったからではない。

だが男性の中にはエロな意味に見たがる人もいた。
そんな男の気を引きやすいせいなのか?
可愛い響きのせいなのか?
桃というハンドルにしている女性は、けっこう多い。

アメブロ内では、私以外の桃さんは、今のところまだ見かけた事はないのだが、
他の場所へ行くと、
たちまちのうちに同じ桃というハンドルネームで何人かの人と被ってしまう。

そんな場合、私はサッサと他の人に気を遣って自分のハンドルを
桃から栗に変更する。

そして栗というハンドルに馴染みだした頃、
また栗をエロい意味に解釈したがる人が出てきて、

最終的に柿にしてしまった事もあった。

桃→栗→柿とハンドルを変えてみてわかったのだが、
その色も、もちろん色気に関係あるのだが、
水分が多いものは色っぽく、水分が減るに従い色気も感じられなくなる。
芋などは色気もそっけもない。

同じ水分の多いものでもスイカなどはなんとなく、
熟女の色気という感じがするのは、
やはり色的に見ても真っ赤で熟しきっているからかもしれない。

そう思うと、
私のハンドルは西瓜の方がふさわしいのかな?

この世で最もピュアな人は詩人

ネット上の文学というと、あなたは何が思い浮かぶだろうか?
私が一番よく目にするのは詩(ポエム)である。

詩と詞は違うのだが、
作詞家という職業は実在するが、作詩家という職業は果たして実在するのか?
そこで「作詩家」を検索→作詩家 の検索結果 約 15,400 件

TOPに来たのは「社団法人日本作詩家協会」
HPの扉を開くといきなり含蓄のある言葉が登場。

作詩というのは、一篇の掌編小説のようなものです。

安易な詞(ことば)で、時代の断面を削ったり、

人の生き様を書いたりする大変な仕事です。

然し、うまくゆきますと、皆に唄える点で、

純粋詩の作者より楽しい目に逢えます。(後略)

・・・どうも様子がおかしい。だって右側には有名(らしい)歌謡曲の作詞の先生のお写真が掲げられ、
その下には
なみだ船  兄弟仁義  風雪ながれ旅  北の大地
(北島 三郎)

アンコ椿は恋の花
(都 はるみ)

涙を抱いた渡り鳥  三百六十五歩のマーチ
(水前 寺清子)

昔の名前で出ています
(小林 旭)

みだれ髪
(美空 ひばり)

とある・・・ん・・・(-_-;?)これって作詞やん。

あ(゚o゚;・・・この写真の人は星野哲朗という有名な作詞の先生なのね。

言葉の定義が曖昧だ。
どうして日本作詞家協会としないのだろう?

もう一度検索のページへ戻り、星野哲朗さんと歌謡曲絡みのページは抜かして
探す。
しかし2ページ目に進んでも作詞と作詩の境界線が見えて来ない。

目当てのページは見つからないが公募ガイドのサイトをみっけ。
公募ガイド目玉コンテンツ「着メロ聴いて作詩をしよう!」というものがあった。
オモロそうや~ん(´∀`)
ここでも星野哲朗が選考するんだって。
作詩界のドンやね~星野はん。
しかーし!目玉コンテンツは載ってるのに応募方法は載ってないのだ。
おそらく
「身銭を切って公募ガイドを買えば、応募方法がわかるよ。だから買いなさい」と言いたいのだろう。

その手には載らん!(笑)
『Web公募ガイド』というものもあった。
やはりお金がかかる。
その手には乗らん!(笑)

しまった!すっかり脱線してしもた。

私はただ作詩家という職業が存在するのかどうかを調べていただけなの。

言い方を変えて「詩人」で検索。→詩人 の検索結果 約 12,300,000

TOPに出てきたのは詩人の定義

ここには
「詩人(しじん) とは一般に詩の作者のことを指す。
歌の歌詞の作者のことは一般に作詞家と呼ばれる」とあるが、
これは先ほどの「社団法人日本作詩家協会」のネーミングとはなはだ矛盾する。

どうも作詞と作詩の対立の構図が垣間見えた気がしてならないのであるが、思い過ごしだろうか・・・?
華道家とフラワーデザイナーのように明確な分類が出来ない世界なのか?
言い分が真っ二つに分断されているのは何故だろう?

日本詩人愛唱歌集というサイトを見ると
文学である詩と音楽との昔からの深い関わり合いがわかる。

サイト管理人さんが
「ゲーテの詩「野ばら」にはなんと100曲以上もの楽譜があるそうです」と語っておられる。
愛される言葉は、多くの人がメロディに載せたくなる衝動に駆られるのであろうか?
「いい詩だから、有名な詩だからと言って必ずしも多くの人に作曲されるわけでは無い」という考察には同感。
「君が世」は有名だが後にも先にも一曲しかない。

やはり歴史的に見れば、
現在の「社団法人日本作詩家協会」の見解がどうあろうと、
文学としての詩というものを紡ぎ出す文学者としての詩人を
作詩家の世界から締め出す事は出来ない。
作詞家と詩人(作詩家とは呼ばずあえてこう呼ぼう)
もし両者の間に某かの亀裂があったとしても・・・。

詩とは元よりメシの種に紡がれるものではない。
なぜならば詩とは心の叫びを形にしたものだから。
もし詩人が詩を紡ぐ事で収入を得るようになったとすれば、
それはたまたま結果がそうなっただけなのだろう。

やはり詩と詞はあきらかに違う。
詞とは詩を商業的意図を持ち加工したものである。
だからと言って私は詞が詩に劣るとはけして思わない。
魂のほどばしりを、そのまま紙に写し取ったような詩。
字数を揃えなければならない詞。

それは食べ物に例えれば素材に拘った一品料理と
箱に閉じこめた上で表現しなければならないお弁当の違いである。
しかしお弁当も多くの人に愛されてやまない。
いや・・・料理人に例えるのはいささか不謹慎であったのだろう。
料理人はどのような流儀でも職業人として存在するが
詩人という職業はやはり明確には存在しない。

それは魂の叫びというものの生まれいずる理由が
けして「メシの種に」などという万人共通の画一的な側面からではない故。
それは個の中にある核。

人が生きた証に人が考えた証に人が感じた証に、人は言葉を紡ぐ。
人が生き続け人が考え続け人が感じ続け人が叫び続けた時
飛び立つ白い鳩のようなもの
空を切り裂く稲妻のようなもの
深海を漂うクラゲのようなもの
極めて人間の核なるもの・・・そういったものは
狙いをつけて生まれいずる事はない。

だからもし君が詩人になりたいのなら、
君は命の限りに生き続け
命の限りに考え続け
命の限りに感じ続け
命の限りに叫び続けるがいい。
そうすれば君は詩人だ。
人から詩人と呼ばれなくても人から尊敬されなくても
お金が稼げなくて飢え死にしそうになっていても
君は立派な詩人だ。
詩人とはそういうものだと思う。
逆に言えば名声や富を求めた時、人は生活人になり果て詩人ではなくなる。

芸術はピュアで美しい。
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お忙しいところ恐れ入ります。
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スクリーン

あなたは心にスクリーンを持ち
絵空事を映しだそうとする

幻影

わたしは あなたのスクリーンに映し出されたフィルムの一部に過ぎない

そんな物悲しい夢物語と気づいたのは
あなたに会って間もない頃

キャラ弁当と著作権

以前から疑問に思っていたキャラ弁と著作権のQ&A
   ↓↓↓

キャラ弁当と著作権

いつか行く筈だったお花見

私は天国へ旅立ってしまったあの人とお花見へ行った事が無い。

待ち合わせは私の住まいから新幹線で西へ2時間弱の広島駅が多かった。
広島や岡山の観光名所などもいくつか行ったけれど考えてみれば
二人で桜を見た事はなかったっけ。

いつだったかの春、彼は自分のHPを桜のフラッシュで飾っていた事がある。
のどかな桜並木の土手にのんびりと寝そべる人や佇む男女の後姿。
50代半ばまで生きた彼にとってはお花見など繰り返し、
さまざまな人と行った思い出があっただろうけれど、
それでもまた春を迎える度に、柔らかな日差しと、舞い散る薄桃色の優し気な花びらを体に浴びて
大好きな日本のその代表的な情景の中にいたかったのでしょうね。
ダジャレばかりの陽気なおじさん。
お父さんのようで、お爺ちゃんでもあったのに男である事に最後まで拘り続けた人。

貴方と一度だけでも薄桃色の光景の中で微笑みながらカメラに納まりたかったよ。



プロフィール

桃

Author:桃
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