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映画 ヴィジット ネタバレ・あらすじ・感想

ホラー映画のご紹介です。

映画 ヴィジット ネタバレ・あらすじ・感想



映画 ヴィジット 概要



2015年制作のアメリカ映画。
監督:M・ナイト・シャマラン
脚本:M・ナイト・シャマラン
製作協力:ジェイソン・ブラム
主演:オリビア・デヨング&エド・オクセンボールド
ジャンル:ホラー映画
上映時間:94分



映画 ヴィジット ネタバレ ネタバレ・あらすじ



《映画 ヴィジット ネタバレ 起》
19歳で家出をして以来、15年間も両親と断絶したままのシングルマザーのロレッタ( キャスリン・ハーン)。
その母、ロレッタと母子家庭で暮らす姉のベッカ(オリビア・デヨング)と弟のタイラー(エド・オクセンボールド )

ある日、ロレッタのもとへ、インターネットで所在を知ったと、断絶していた両親から連絡が入り、
「是非とも孫たちに会いたい。」との希望を言ってきます。
そこで冬の休暇を利用して、ベッカとタイラーの姉弟は、初めて会う祖父母の待つペンシルバニア州、メイソンビルへと訪ねて行きました。

都会の喧騒を離れ、田舎で楽しい一週間を過ごす予定でした。

祖父母が駅前まで出迎えてくれての初対面では、穏やかで優しい祖父と料理上手な祖母という、けっして悪くない印象でした。

ベッカは映画監督志望で、到着直後からドキュメンタリー映画風にビデオカメラを回し続けていました。

就寝前、3つのルールが言い渡されます。

第一の約束 楽しい時間を過ごすこと。
第二の約束 好きなものは遠慮なく食べること。
第三の約束 夜9時半以降は部屋から絶対に出ないこと。
それと…地下室はカビだらけだから行かないようにと言われます。

1日目の月曜日は何事もなく過ぎるかと思われましたが、夜、吐きながら家の中をうろつき回る祖母の姿を目撃したベッカは、病気なのかと心配します。


《映画 ヴィジット ネタバレ 承》
翌日の火曜日の朝、祖父に、祖母の事を訪ねると
「昨日は消化不良気味だった。年寄りなので、何かと具合の悪くなる事も多い。」と言われて、一応、納得するベッカ。

ところが、この日、姉弟がかくれんぼをして遊んでいると、祖母が床下で、奇妙な声を上げながら四つん這いの俊足で追いかけて来る姿に恐怖を覚えます。
けれど、姉弟が床下から飛び出してしまうと、祖母も、まるで冗談でハメを外していたかのように笑いながら立ち上がり「クッキーを作るわ。」と言って、
家の中へと戻って行きました。

この日、祖父母がボランティアをしているという病院の医師が訪ねて来ましたが、あいにく祖父母はその時、散歩に出ていたので、医師は会えないまま帰って行きました。
この時、医師は「先日、ボランティアを無断欠席したので気になって訪ねてみた。」と言っていました。

タイラーが、この日、祖父が出入りしている小屋の中に入ると、中は異臭が立ち込めて、その源は祖父が机の上に積み上げていたウンチ付きの紙おむつの山である事が判明します。
驚いて小屋からタイラーが飛び出して来たところに、ちょうど祖母がやって来たので「あれなんなの?」と尋ねると
「おじいちゃんは失禁症なの。オムツを小屋に隠して、おそらく、後で燃やすんだわ。男らしい人だから恥じている。」と説明されます。
「こんな祖父母で失望した?ごめんなさいね。頑張っているの。」と、気にしている様子で言われたので、納得します。

ベッカはこの日もカメラを手放さずに撮影しながら過ごしました。
この日、祖父の運転する車に乗り込み、ベッカとタイラーは町へ連れて行ってもらいます。

赤いレンガの建物が車窓から見えて来ると、祖父が「メイプル・シェード病院だ。」と言い、ベツカの「そこで相談員を?」の質問に
「火曜と木曜にな。」と答えました。
患者の世話をするのに人手が足りないのだそうです。

しかし、母ロレッタの母校まで来た時に祖父が、見ず知らずの男性に「ずっと後を付けている。」と誤解して殴り掛かり、
やはり何だか様子がおかしいと感じるベッカとタイラー。

この夜、二人が就寝した後、奇妙な叫び声が部屋の外から聞えてきて目覚めます。
時計を見ると10時45分。
扉を開けると、祖母が素っ裸で向かい側の部屋のドアを引っ掻いていました。


明けて水曜日の朝、今度は祖父にベッカが祖母の様子がおかしい事を尋ねると「日没症候群という病気なんだ。」と説明されました。
そういう祖父も予定を間違えていたりと、どこかしら調子っ外れです。

ベッカは祖母の台所仕事をよく手伝います。
その時、祖母はやたらと、体がすっぽりと収まる収容面積の広いオーブンの奥をベッカに掃除させたがります。
全身を入れて奥を拭いている時に、万一蓋を閉められてしまったら出る事が出来なくなるので、
ベッカはあまり気が進まなかったのですが、祖母があんまりひつこく言うので、従って奥の方まで拭き掃除します。

水曜日の夜にはタイラーは「もう限界だ。」と音を上げますが、ベッカはまだ「加齢と病気のせいだから。」と庇おうとしていました。


木曜日の朝、姉弟が祖父母と散歩に行くと、祖父母はなぜか井戸を覗きこんでいました。

この日、また相談員仲間のステイシーという女性が訪ねて来ましたが、この時も祖父母は不在のために、彼女とも会えないままでした。
この時にステイシーは「病院の噂は聞いてる?」とベッカに尋ねましたが、具体的な内容は話しませんでした。

色々と怪しげで不可思議な祖父母と過ごす日々の中、ベッカは、ビデオカメラを回し続け、インタビューと称して度々、祖母に母の事を話して欲しがりますが、
その度に祖母が情緒不安定になるので、話を逸らしてその場を収めます。

次第に不信感を募らせた木曜日が暮れて、ベッカは昨日には抵抗があった“タイラー提案の隠しカメラ”を居間に仕掛けて寝ます。
その夜、祖母は獣のような唸り声を上げると包丁を持って、姉弟の部屋へ侵入しようとしますが、鍵が掛かっていたので諦めたようで、
幸い何事もなく金曜日の朝を迎えました。
前夜の映像をPCで確認したベッカは、流石に危険性を感じて
「滞在も今夜一晩で終わるから、なるべく2人を避けて過ごすのよ。」と弟に言います。
けれど、弟にはそう言ったものの、両親との仲直りを望んでいる母ロレッタの気持ちを思うベッカは、
最終日となるこの日も、祖父母にインタビューを続けます。
祖父母から「娘を許す。」という言葉を引き出したかったからです。


《映画 ヴィジット ネタバレ 転》
この日、ベッカはステイシーが再びやって来て、祖父母と庭で何かを話して怒っている様子を見ます。
昨日来た時は、お世話になったお礼だと言って、手作りのお菓子まで持ってきていた人なのに、どうも不思議です。
ステイシーは、いつの間にか姿を消していました。

この後、姉弟はPCでスカイプの撮影機能を使って母、ロレッタと話し、祖父母の様子がおかしいからすぐに向かえに来て欲しいと言います。
そこで、やっとタイラーが窓の外にいる祖父母にPCの画面を向けて2人の映像を母に見せました。

すると母は深刻な顔になり「あれは両親ではない。」と告げました。
本当の両親が何処に行ったかもわからないし、これはただ事ではないと思ったロレッタは慌てて、
メイソンビル警察に電話しますが、この田舎町の警察官はマトモに出勤しないので全く電話が通じません。

仕方なくロレッタは、すぐに車で現地へと向かいます。


「夕食後、最後の夜だから家族でゲームをしよう!」とニセ祖父が言い出して、ベッカとタイラーが「その前に家の映像を外からビデオで撮影して来る。」と言っても、
ニセ祖母はまた急に「オーブンを掃除して!」と言い出して2人を足止めします。

オーブンの掃除をサッサと済ませると、ベッカとタイラーは慌てて階段を駆け下りて玄関を開けて外へ出ようとしましたが、
玄関を開けたとたんに目に入ったのは、家の前の大木に殺害された様子で吊り下げられたステイシーでした。
ニセ祖父が、その扉をバタンと閉めて「決めた!若者対老人だ。」と言います。

ニセ祖父母がゲームに興じている間にベッカは「ビデオカメラのバッテリーの残量が少ないので交換してすぐ戻るから。」と言い残して席を立ちます。
そのままベッカは地下室へと向かいます。
その間に、ニセ祖母の様子がまたおかしくなり、その後、ニセ祖父はベッカの行方を探し出します。


《映画 ヴィジット ネタバレ 結》
本物の祖父母がいるかもと思って開けた地下室の部屋に、メイプル・シェイド精神病院のロゴの入った入院着が脱ぎ捨てられてあり、その傍には血の付いた金槌もありました。
そして…ついにベッカは、遺棄された本物の祖父母の遺体を見つけてしまいます。

悲鳴を上げたその次の瞬間にはニセ祖父が後ろに立っていて、本名を告げると、本物の祖父母から孫の訪問と再会の話を聞いていたと打ち明けました。
それはニセ祖母のクレアにとっては望ましい話題だった事も。
クレアは子供を鞄に詰めて池へ沈めるクセがあったそうです。
そうすれば、ニセ祖母は、子供達を、シンモフィテリアという星に送れるという妄想を信じているのです。
「お前たちもシンモフィテリアへ行け!」と言ってニセ祖父はベッカに襲いかかって来ました。
そして捕まったベッカは二階のニセ祖母クレアの部屋に閉じ込められます。

それからニセ祖父は、ニセ祖母に額を殴られて倒れていたタイラーを無理やり起こして立ち上がらせて台所へと連れて行きます。
タイラーは台所で、恐怖で棒立ちになったまま動けませんでした。
するとニセ祖父は、おもむろに脱糞したオムツをタイラーの顔にベチャと貼り付けました。

その頃、ベッカもまた異常なニセ祖母に襲われて噛みつかれていましたが、
頭を鏡に打ちつけられて落ちた鏡の破片で、ニセ祖母を、めった刺しにして息の根を止めました。

その後、椅子か何か大きな家具をドアノブに叩きつけて壊すと、部屋を脱出したベッカは、台所に行き背後からニセ祖父に突撃して行きました。
しかし、あえなくニセ祖父に反撃されて床に倒されます。
ベッカが「タイラー逃げて!」と声を上げた次の瞬間、それまで棒立ちだったタイラーは、急にニセ祖父にタックルをかませて倒し、
その後も何度も何度も冷蔵庫のドアを開閉して彼の首を挟み込んで死なせました。

それから、二人が外へ出ると、やっとパトカーが駆けつけた所で、母がそのパトカーから降りて来て、二人に駆け寄り抱き合って生存を喜びました。

事件収束から3週間後。
ベッカ制作の自主制作ドキュメンタリー映画は、タイラーの今回の体験を元に作ったラッフで締めくくられて終わりです。


映画 ヴィジット 感想



日本での評価はさほど高くないようですが、私は結構、面白かったです。

ふいを突いて怖がらせるのがとてもお上手です。
視終るまでに4~5回ほど悲鳴を上げてしまいました。

この映画で、祖父の事をパパと呼んでいたのは何故なんでしょう?

なかなかしっかりした頼もしい子供達です!

大人びたタイラー坊やは、いい味出してました。
それにしても、タイラーは潔癖症なのに、よくウンチを顔に貼り付けられて失神しませんでしたね。

テーマ : ホラー映画
ジャンル : 映画

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テーマ : 映画
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韓国映画 リターン(WIDE AWAKE) ネタバレ・あらすじ・感想

韓国映画のご紹介です。

韓国映画 リターン(WIDE AWAKE) ネタバレ・あらすじ・感想



韓国映画 リターン 概要



2007年制作の韓国映画。
監督:イ・ギュマン
脚本:イ・ギュマン/イ・ヒョンジン
主演: キム・ミョンミン
ジャンル:サスペンス映画
上映時間:113分

同名の韓国ドラマがあるので紛らわしい。

原題の「WIDE AWAKE」は、ハッキリとした覚醒を意味する。

手術中覚醒のトラウマが生んだソシオパスによる復讐劇をベースに犯人を伏せたままストーリーが展開するサスペンス映画。

映画ジャンルを「サイコサスペンス」と紹介している人がいるが、環境によって形勢された反社会性人格はサイコパスではなくソシオパスなのでそれは間違い。


韓国映画 リターン ネタバレ・あらすじ



《韓国映画 リターン ネタバレ 起》
1982年、常緑樹病院。

医療器メーカーの社長の子息である心臓病の10歳の少年ナ・サンウが全身麻酔で手術を受ける。

彼の命を救うために必要な手術であったが、見た目には麻酔が効いているようなのに、手術中の本人には意識がある、手術中覚醒という現象が水面下で展開していた。
身動きは取れず話す事も出来ない憐れな彼は、訴える事が出来ず、執刀した医師らの誰一人、その事に気付かないまま手術は最後まで続行された。
手術の間中、本人の意識はハッキリとしていたので、サンウは、手術によるさまざまな、すさまじい刺激や苦痛と恐怖に耐え続けなければならなかった。
術後、すべての記憶がある事をサンウは執刀医らを前に懸命に訴えたのに「子供だから想像力が鋭敏で現実と混同したのでしょう。」と誤魔化されてしまった。
唯一、サンウの訴えを信じてくれたのは母だけであった。

その後、そんな彼にとっては、この手術の記憶が計り知れないトラウマとなって心に傷を残し、そのために猟奇的な性格へと変貌してしまう。

変化はまず小動物の虐待から始まった。
そしてついには同級生の女の子をくみ取り式のトイレに突き落として殺害してしまう。

ナ・サンウは、その犯人と見られるものの心神喪失状態と診断されて、罪を問われる事はなかった。
この時の担当精神科医の名は、ハン・ボムチャンである。

罪には問われなかったとは言えど、サンウの母は壊れてしまった我が子の心に絶望して、屋上からサンウを抱きかかえて身を投げて自殺してしまった。
サウンは、母の体の上になって落ちたので命は助かった。
残されたサンウの事を心配した父は、担当精神科医にすがり、催眠療法を用いて、彼の痛ましい記憶と攻撃的な嗜好を封印してもらった。
その後、父と少年サンウが、どのような人生を辿ったのかは、精神科医ハン・ボムチャンも知らなかった。

ただ、最近になって気掛かりで消息を調べてもらうと、アメリカで暮らしていた父と子は、会社を売却してその後の消息はわからないと言う。


《韓国映画 リターン ネタバレ 承》
25年後、外科医リュ・ジェウ(キム・ミョンミン)が、ビルの屋上でピストルを手に、自分の腕や足などを撃って、最後に銃口を自分の首筋に向けていた。

ここで話は数週間前に巻き戻る。
リュ・ジェウは度々、悪夢にうなされて目覚めた。
そんな彼をいつも慰めてくれたのは愛する妻のヒジン(キム・ユミ)だった。

リュ・ジェウは此の頃、イ・ミョンソク(キム・レハ)という男から脅迫電話を受け続けていた。

医師は、すべての患者の命を救えるわけではない。
どんなに助けたくても病気の進行具合によっては救えずに、死に至る患者が出る場合もある。

ミョンソクは、リュ・ジェウが執刀した手術後に死んだ自分の妻を、医療ミスのせいで死んだと思い込み、訴訟まで起こした男だった。
だが結局、裁判で負けた。
それでも尚、未だにリュ・ジェウに恨みを抱き続けていた。
その日、ミョンソクは電話越しに言った。
「本当の辛さを教えてやろうか?おまえも女房が死ねば本当に辛いと感じるぞ。」

リュ・ジェウはミョンソクが思っているようないい加減な医者ではなく、
むしろ、ほとんど望みのない患者であっても医師としての最前を尽くすタイプの医者であった。
だが、同僚の麻酔医チャン・ソクホ(チョン・ユソク)の考えは少し違った。
リュ・ジェウとは親しい間柄であったが、親しいゆえの本音で、しぶしぶ、リュ・ジェウの困難な手術に付き合わされていると愚痴を零す事もあった。

正体の見えない男から、妻ヒジンに対する殺害未遂がある中で、リュ・ジェウの幼馴染と名乗る男、カン・ウックァン(ユ・ジュンサン)が、突然にリュ・ジェウの自宅を訪ねて来る。
その時、自宅に一人でいたヒジンは、彼を怪しみながらも、家に招き入れてしまう。
夫からウックァンに関する話を何一つ聞いておらず、ついさっきも、家に帰る途中で、危険な目にあったばかりなので、
心の中は警戒心で一杯だったが、ほどなくして帰宅した夫の様子から、その男が本当に幼馴染であったとわかり、一気に警戒心もほどけた。

帰宅したリュ・ジェウはヒジンと共に、ウックァンをもてなして昔話に花を咲かせた。
ただ、ウックァンが話した昔話の中に、ウックァンにすれば、とても真剣に受け止め未だに覚えていたのに、
リュ・ジェウはきれいさっぱり忘れてしまっている血の兄弟の契りの話があった。
お互いの手首を切って、2人の血を混ぜて飲んだら、二人は兄弟のように親しい仲になるという趣旨のものであったのだが、
言い出した本人が忘れている事にウックァンは、かなり気を落としたような寂しい表情を浮かべた。
そしてその直後「ホテルを取ってあるから。」と言って腰を上げると帰って行った。


《韓国映画 リターン ネタバレ 転》
ホテルの部屋でシャワーを浴びるカン・ウックァンの背中には醜いヤケドの傷があった。
明らかに何か目的を持って突然、アメリカから帰国したようなのだが、その目的とは何なのか観客に向けても、まだ伏せられたままである。

あの小学生女児のトイレ殺害事件後も、25年前のナ・サンウの手術の関係者が5~6年の間隔を空けながら次々に謎の死を遂げていた。
それは1989年を発端に、1995年、2000年、2006年と続いた。
火災、爆発事故、墜落死だったが、いずれも、事故か殺人かわからぬまま現在に至っている。


リュは、麻酔の影響によって、手術中に悪性高体温症になってしまい患部の切除が出来ない腫瘍患者のために、麻酔なしで手術する方法を模索していた。
そこで、顔見知りの精神科医、オ・チフンに協力を求めた。
「『催眠麻酔』によって手術を無痛で行う事は出来ないだろうか?」というリュの打診に、オ・チフンは「可能である。」と答える。

リュから「オ・チフンの協力により、催眠麻酔によって手術を行う。」と聞き、チャン・ソクホは激しく反対をした。
オ・チフンと飲み会で同席した時に、怪しげな催眠術をかけられた事があり、彼に不信感を抱いていたからだ。
チャン・ソクホは「それ以来、何度も悪夢を見る。」とリュに打ち明ける。

催眠麻酔による手術がベストな方法であったか否かはわからないが、他に患者を救う方法がない事から、リュは、その手段での手術を決行すると決める。
チャン・ソクホは、オ・チフンのサポートをリュから頼まれたが断る。

オ・チフンとカン・ウックァンは面識がなかったが、催眠麻酔による手術の打ち合わせ中に初めて、病院内のリュの部屋で出会う。

催眠麻酔による手術の当日。
麻酔医としてのプライドを傷つけられたチャン・ソクホだったが、それでも、一応、手術の時には来てくれた。
途中でインターンが手術器具をひっくり返して大きな音を立てるというアクシデントはあったものの、それでも麻酔医の出番は無く、
催眠麻酔のみで手術は最後までやり遂げられた。
この日、気分を害したチャン・ソクホはリュに「今あるものを大事にしろ。後悔しないように。」という謎の言葉を残して、早々に手術室を出て行った。

この頃、また25年前のナ・サンウの手術の関係者や家族の不審死や事故死が相次いでいた。
手術を終えて家へ帰ったリュに、妻が「コ・チャンス先生の娘さんが亡くなったという電話が昼間あったわよ。」と伝えた。
コ・チャンス先生もリュの父親も昔、常緑樹病院で同僚であったが、なぜ自分の所にだけ連絡が来るのかと、リュは少し不思議に感じた。

自宅にはイ・ミョンソクから嫌がらせの電話が続いていた。
標的をヒジンにしているのが、リュにとっても気掛かりであった。


カン・ウックァンもまだアメリカへ帰らずに、リュの周辺をうろついていた。
この日はコインロッカーを開けて何かが入った分厚い封筒を取り出して、それをリュックにしまっていた。
その夜の帰宅前、自宅へと走らせていたリュの携帯に、イ・ミョンソクから「女房が浮気をしているぞ。」という電話が入る。
リュは、そんな事は信じず「妻に近づくなと言っただろう!」とイ・ミョンソクを怒鳴りつけた。
そして、この日、ヒジンが毎日、昼間に訪れている近所の公園で何者かに襲われていた。
本人は蜂に刺されたのだろうと思っていたので、その後、家へと帰り、どうも具合が悪いと、リュか帰宅した夜までベットで横になっていた。
ヒジンの様子を見たリュは、顔色は悪いものの、少しお腹が痛いくらいで、目立った症状があるわけではなかったので、よく体を休めるようにと寝させた。
ところが夜中になって容態が急変したヒジンは救急車で運ばれる。
MRI検査の結果、腹部に何か固形物の塊が見える。
一刻も早い手術が必要だったが、あいにく今すぐ手術出来る医者がいない。
リュはインターンに手術を頼もうと考えたが、チャン・ソクホの激しい反対にあい、やむなく自分が執刀するとの決断を下した。
けれど…チャン・ソクホに麻酔を任せて、この時行われた手術は失敗に終わり、ヒジンは帰らぬ人となった。


ヒジンが亡くなる前から何度も脅迫の電話を掛けていたイ・ミョンソクは疑われて一旦は警察に拘束されていたが、物証がないので、ほどなくして釈放される。
科捜研もロクな働きをせずに、ヒジンに異物が混入した形跡はないとまで言われたリュは到底、納得がゆかず、疑いはミョンソクへ向かうばかりだった。
その後、仕事が手に付かず、家で酒に溺れていると、誰かからミョンソクが死んだとの電話が留守電に入った。
「君の病院から飛び降りたんだ。」という言葉からすると、病院の同僚からの電話ではない。

リュは、ミョンソクがヒジン殺しの犯人だったのか否かを確かめるために、遺体から血液サンプルを取りに行く。
この頃になると、あれほど捜査に乗り気ではなかった警察もようやく動き出した。
そして、ヒジンの身体から検出した成分はPMMAだと伝えてきた。
それはアクリルの事である。

リュはヒジンが座っていた公園のベンチに腰かけて、犯人がどうやってPMMAを彼女の腹部に注入したのかを考えてみた。
蜂に刺されたとヒジンが言っていた首筋は全く腫れていなかった事を思うと蜂ではない。
本人も気付かぬ間に腹部に異物を注入されたとすると、もしかしたら首筋に感じた痛みは注射針による麻酔だったのかもしれない。
そして意識を失くしたヒジンの腹部に、傍目には自然な感じで異物を注入するならば、ベンチに寄り添って座るのが一番だろう。
ベンチに男女が寄り添って座っている姿を第三者が見たらカップルに見えるかもしれない。
この姿を、もしイ・ミョンソクが後ろから見たとしたら、ヒジンが、よその男と浮気しているように見えたかもしれない。
だとすると、イ・ミョンソク以外の誰かが犯人という事になる。

ミョンソクの遺体から採った血液の分析結果が出た。
エピネフリンという薬剤を使って麻酔をした痕跡があり、自殺ではなく他殺であるとわかる。

病院でエピネフリンを入手した人物を調べると、オ・チフンの名前が浮上した。
しかも、オ・チフンは、ミョンソク転落時の死亡確認医師でもある。
これは事故が起きた時に傍にいた事を意味している。

オ・チフンの行動にも不審点はあるものの、共通の知人が知らせてくれた事によると、カン・ウックァンもまた非常に怪しい。
「誰かを殺しに行く。」と言い残して、アメリカから韓国へと旅立ったと言うのだ。
それにカン・ウックァンは、いつもリュ・ジェウの事を話していたと言う。
リュ・ジェウは、カン・ウックァンが宿泊しているホテルへ出向くと、彼の留守中に手荷物の中を開けて見る。
すると、その中から、例の一連の常緑樹病院関係者の不審死の切り抜き記事が見つかった。
更に、手荷物の中にはピストルまであり、リュ・ジェウは、カン・ウックァンこそが連続殺人鬼であり、ヒジンの事も殺害したに違いないと考えてしまう。
そこへカン・ウックァンが帰って来て、リュは思わずウックァンへピストルを向ける。
そして「なぜ韓国へ戻って来た?」と尋ねるが、ウックァンは答えずに「銃を下せ。誤解だ。」としか言わない。
それで取っ組み合いになるが、リュは捻じ伏せられてしまう。

落ち着いてから、ウックァンに事情を話してもらうと、
過去にウックァンと父親が乗った乗用車が不審な爆発事故を起し、そのせいで、彼の父親は亡くなったとの事だった。
あの切り抜き記事は、亡くなった父親が集めていたもので遺書も残していた。
だから、あの記事にある数々の事件の犯人が、父親を殺したとウックァンは思っている。

この時、リュの方からは、ヒジンの事件の犯人像は、医療に詳しい事、死んだイ・ミョンソクとオ・チフンは関係がある事を話した。
リュの病院を訪ねて行った折りに、オ・チフンに会っているウックァンは「俺がヤツの後を追う。」と告げ、リュに護身用にと先ほどのピストルを渡す。


病院のチャン・ソクホの部屋に忍び込んで、勝手に引き出しを開けて何かしているオ・チフン。
その現場を、後から入って来たウックァンに押さえられる。
オ・チフンは「医者のくせに手癖が悪いな。泥棒か?」と言われて無視して去ろうとするが、たちまちのうちにウックァンに捕まる。
首を絞めつけられてチフンは「チャン・ソクホなんだ!」と叫んだ。
チフンは話した。
チャン・ソクホは飲み会で催眠術をかけた時に、子供の頃に冒した少女くみ取り式トイレ殺害事件の様子を話して笑ったと。
だが、その時はソクホの冗談だと思っていたとチフンは言った。
その後、その時の事が気になって、事件の記録を調べてナ・サウンに辿り着いたが、数年後には事件を起こした少年もその家族も消えていたとのチフンの話を聞き、
ウックァンはチャン・ソクホ=ナ・サウンの可能性を植え付けられる。
更にチフンの話は手術中覚醒の詳細に及び、あたかもチャン・ソクホが、それを経験したナ・サウン本人であるかのように言う。
そしてチフンは、ヒジンの手術の際の録画映像をウックァンに見せる。
その映像にはチャン・ソクホが手術中、ヒジンの足の裏を擦っているのが映っていた。
その後、映像の中のチャン・ソクホはカメラを見ていたが、これでヒジンは意図的に覚醒させられたのだと言うチフン。
そんな事が可能なのか否かは不明だが麻酔医ならば、その辺りの事は詳しいと思われる。
チフンが、麻酔は最初から施されておらず、そのためにヒジンは激しい痛みによりショック死したのだろうと話すと、ウックァンの猜疑心は一気にチャン・ソクホへと向かった。

チャン・ソクホが犯人に違いないと確信したウックァンは、その事をリュに電話で知らせる。
ウックァンの父とリュの父は昔、常緑樹病院でナ・サウンの心臓手術を行ったチームメンバーで、尚且つ2人とも不審な死を遂げていた。
ナ・サウンが犯人だと言うのだが、ナ・サウンが誰なのかまでは話す前に電波状況が悪く電話は切れてしまい、ちょうどその時、亡くなったミョンソクの名前で
「犯人は屋上」というメールが届く。

リュが屋上へと向かう頃、チャン・ソクホはチフンの診察室を訪ねていた。

リュが屋上へ行くと、なんとそこには、ヒジンのお骨が入った箱が置かれており、その上にはヒジンの肩を抱く誰かの手の写真。
それはあの公園で撮影したものだろう。
骨箱を開けると一通の手紙がお骨の容器の上に乗せられており、そこには「そうだ。ヒジンにPMMAを打ったのは俺だ。」と書かれていた。
手紙はこう続く「だが殺したのはおまえだ。あの日はおまえしか執刀出来ないようにした。ヒジンに麻酔をする時、苦痛を感じるようにしておいた。」
それはチャン・ソクホからの手紙だったが、リュは自分自身の手で愛する妻に壮絶な痛みと苦しみを与えて死なせた事に耐えられず、
慟哭の末、持っていたピストルで自身の手足を撃ち抜く。
手紙には「ウックァンがアメリカから来て、親しそうに傍にいたのは、俺を待っていたからだ。」との分析の後に
「ターゲットの順番は実はヒジンではなくウックァンが先だったところを変更した。」とも書かれていた。
その事で、リュは、韓国へ来た理由を早く打ち明けてくれなかったウックァンを恨んだ。
そのウックァンはリュのピストルの銃口が喉元に当てられた時に屋上へと駆けつけて、リュの自殺を阻止した。


《韓国映画 リターン ネタバレ 結》
リュが病院に搬送されて、ホッとしたウックァンの携帯にチフンから電話があり、チャン・ソクホに誘拐されたと泣き声で言う。
場所を聞き、駆けつけた廃工場で、ウックァンは隠れていたチャン・ソクホに襲われる。
格闘の末、ピストルをチャン・ソクホに奪われたが、ウックァンはトタン屋根の上に逃げのびた。
しかしチャン・ソクホはピストルを乱射しながら追って来る。
終いには追い詰められて、あわやウックァンが撃ち殺されるかと思われた。
だが、咄嗟の機転でピストルを持った手首を押さえると銃口を逸らして腰にしがみつくウックァン。
それでバランスを崩したチャン・ソクホは傷んで脆くなったトタン屋根の破れ目から落下してしまった。

こうしてチャン・ソクホは命を落としたが、警察が来てウックァンは逮捕されてしまう。
連続殺人魔の死亡で、すべては終わったかのように思われたが…。

ウックァンが「チャン・ソクホが連続殺人犯です。」という証言は簡単に覆されてしまう。
証拠として提出するようにとチフンから預かっていたヒジンの手術の時のビデオは消されていた。
しかもチフンは、ウックァンが、チフンとソクホを誘拐したという嘘まで警察で供述したと刑事から聞かされた。
そこでようやく、すべてがチフンによって仕組まれた事だったと気付くウックァン。

その頃、リュの病室に親切そうに寄り添うチフンが、とうとうその正体を現す。
チフンは麻酔で、リュの意識を朦朧とさせてから、毒物を点滴に混入して殺害しようとする。
その直前「ミョンソクは俺が奥さんと浮気している事をバラすと言って脅迫して来たんだ。」と明かす。
更に「ソクホには前々から催眠術を掛けて、それが醒めないように毎晩電話をしてその状態をキープした。手術の時も、そうやって行動を操った。」とも。
そして「最近では影を潜めていた殺人欲求が現れたのは、酒の席で、ソクホが自分に対して行った催眠術で、ナ・サンウを呼び覚ましたからだ。」と語り、
あのウックァンに話した“催眠術でナ・サンウの記憶を呼び覚まされた”…というのも、本当はソクホではなく、自分がされた話だったと告白する。
ソクホに対しては、予め麻酔で眠らせておいてあの廃屋へと運び、目覚めると「ウックァンがリュを殺して俺達を誘拐した。」と嘘をついたとも。

このままリュが毒殺されてしまえば、ウックァンに連続殺人鬼の濡れ衣を着せてチフンは真相を闇に葬ったまま罪を逃れるだろう。
だが、ここで留置所へとパトカーで護送されて行く途中のウックァンがもう一頑張りして、パトカーの運転を邪魔して事故らせ、車を脱出してリュの病室へ向かう。
一方、意識が朦朧となるリュも、手に握っていた万年筆のペン先でチフンを撃退する。
だが麻酔が効いて来てそれ以上の抵抗が出来ず、もう少しで猛毒を注射されようとしていた時、病室へ飛び込んできたウックァンとチフンが格闘となり、
力比べの末、注射針の先はチフンに向けられて…ウックァンに毒薬を注射されてしまうチフン。
リュを救う事が出来たので、リュの証言により、その後、ウックァンの無実と正当防衛が証明される。

実家へと届けられたチフンの骨壺。
残された父親が回すビデオフィルムの中には、遠い日の、まだ心臓手術をする前の穢れなきサンウ少年の幸せな笑顔があった。


韓国映画 リターン 感想



手術中覚醒のトラウマから来る恨みが動機の復讐をテーマに掲げているだけに、成長したナ・サンウが犯人であるだろう事は視聴者にも察しがつく。
そして、そうなると、同じくらいの年頃の登場人物が多数出てくる中で、誰が成長したナ・サンウであるのかが、焦点になってくる。
誰がサンウなのか?作り手側は、その点でミスリードを仕掛けてくる。

しかし、説明が少なく人間関係が分かりにくいので、
ストーリーが進むにつれて、何人もに仕掛けられたミスリードにより、視聴者の「えっ?!もしかしたら、この人がナ・サンウか?」との思いは、
その都度、小出しにされる新事実により覆される。

最初から、現在の人間関係を、キチンと視聴者に伝えないで成り立たせているミスリードなのだが、
こういうミスリードの仕方って何だか、
本来ならば伏線になり得ない事を、説明不足の描き方によって強引に伏線を捏造しているように感じられ、
無理やり感が否めない。

手術中覚醒のトラウマからシリアルキラーになるという発想自体は目新しいが、その発想をゴリ押しするために脚本的に無理をして、要所要所で、
犯人以外の犯人候補の登場人物の動きが不自然になってしまっている。
特に、カン・ウックァンの言動が不自然で、リュ・ジェウだけに会いに来た理由も今一つ不明だし、
彼が拘ってた血を混ぜて飲んだから兄弟っていう友情話は一体何だったんだろう?
そんなストーリーに全く関係ない思い出話を挟みこんだり、
韓国に来た目的をリュにさえ秘密にしていたりなどの、今一説明がつかない彼の行動を思うと、
とてもじゃないが「綿密に張られた見事な伏線!」とは言い難い。


合間合間に挿入される25年前の過去映像で出てくる数人の子供達のうちで、ハッキリと誰かがわかるのはナ・サンウだけだ。
視聴者はカン・ウックァンの「幼馴染」という言葉に引っ掛かるので、25年前のスクリーンに登場するナ・サンウと、その他の子供達も、
現在のリュ・ジェウやその周辺の誰かなのか?という疑問を持つのだが、その点は最後まで観ても特に説明はなかった。
とは言え、ナ・サンウはナイフのように尖って人を寄せ付けない少年時代を送っていたので、
その頃にクラスメイトであり、大人になってからも友情が続いているなんて関係は成立しないから、
消去法から、現在のリュ・ジェウとカン・ウックァンである線は早々に消える。

2人が消えたら残りは、チフンかソクホのどちらかという事になるが、
どちらも過去については最初から全く明かされていないので、どんでん返しを仕込まれたところで、どっちが真犯人であっても特に驚きはない。

後、ウックァンにしろ、リュ・ジェウにしろ、チフンのエピネフリン入手という不審な行動を掴んでいながら、彼が言った言葉を確かめもせずに鵜呑みにしてしまってるけど、
飲み会での催眠術の話の真相などは同席していたメンバーに聞けば確認出来たのにしてない。
おっちょこちょいですか?
さもなくば伏線の組み立て方が錯綜してるんでしょうか?
このあまり上手ではなく張られた伏線上のソシオパス探しに、好奇心が萎え白けてしまいました。
脚本が悪いのかな?もうちょっと研究して下さい。

でもラストは、手術中覚醒により人生を奪われたサンウもまた憐れに思えて、哀しみの滲む綺麗な終わり方に目頭が熱くなりました。

テーマ : 韓国映画
ジャンル : 映画

ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・最終回・感想 まとめ

ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・最終回・感想 まとめ



ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 1話・2話・3話・4話

ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 5話・6話・7話

ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 8話

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テーマ : 懐かしのドラマ
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ドラマ 銭ゲバ 最終回 ネタバレ・あらすじ・感想

ドラマ 銭ゲバ 最終回 ネタバレ・あらすじ・感想



ドラマ 銭ゲバ 概要



放送期間:2009年1月17日~3月14日の毎週土曜日。
局:日本テレビ系列
脚本: 岡田惠和
主演:松山ケンイチ
ジャンル:ピカレスク(悪人を主人公にした物語。)
放送時間と話数:夜9時00分~9時54分 全9話

策略と陰謀で人をたらしこんで、何もかも奪うソシオパスのドラマ。
不幸な生い立ちゆえ金に執着する「銭ゲバ」となった青年の、非情な成り上がり人生の果てに待ち受ける末路までを描く壮絶なピカレスクドラマ。

相反する「愛」と「悪」をスリリングに描き、視る者に「幸福とは何か?」を問いかける。

ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 8話の続き。

ドラマ 銭ゲバ 最終回 ネタバレ・あらすじ



風太郎は死に場所に選んだ思い出の漁師小屋へ入る前に、緑に向かってこう言った。
「緑さん、絶対に途中で止めようとかしないで下さいよ。」
「止めないわよ。」とクールに答える緑。

薄笑いを浮かべ「ありがとう。」と言うと、風太郎は一人で小屋の扉を開いて中へ入って行った。

緑は小屋の傍を離れ、車を止めてある小高い場所から、その漁師小屋を見下ろす。

死を決意した風太郎は、椅子に腰を下ろすと、微笑みながらダイナマイトの導火線に火を点けた。
それから自分の両手を、自分自身でロープを使い後手に縛り付ける。
そして、木端微塵に吹き飛ぶ時を待った。

刻一刻と迫る死の瞬間までの間、彼の脳裏には、非情な過去の回想(現実)と理想の空想が交互に交差する。
もし貧乏ではなくて極一般的な家庭に生まれ育っていたら──それは、茜が言い残した言葉「もし別の人生で風太郎さんに出会えていたら…。」が、ずっと心に引っ掛かっていたからだろう。
本当にそうだったら、どれほど幸せだっただろうかと思い巡らせた夢想であった。

時間にすれば、ほんの数十分の間の事であったが、幸せであったかもしれない“もう一つの人生”の夢想が、風太郎の心を死への恐怖から遠い所へと誘った。

その夢想の中では、極一般的な暮らしを営んでいるサラリーマン家庭の、母と自分と父がいて、母は風太郎に、しっかりした金銭感覚を持つための適切な教育を施してくれていた。
その上、あの父でさえ、お小遣いに纏わる風太郎の子供らしい我儘を叱るという愛情を示してくれていたが…やはり、そこは、あの性格なので、自分は新しいゴルフクラブを買うという無駄遣いをして、母に叱られていた。
けれど、それとて、どこの家庭にでもあるような、むしろ平和な家庭を象徴するような、ささやかな夫婦喧嘩であった。
その父は、会社をリストラなどされず、真面目に勤めていたので、母は普通に医者にかかる事も出来たし、薬だって服用する事が出来た。
そして暴れたりしない普通の父なので、風太郎の左目の傷も出来ずに、無傷なイケメン顔のままでの未来が開ける。
病状が悪化した時も躊躇いなく手術出来るくらいの蓄えもあり、一家は、母の手術という困難を乗り越えて、未来に向けて更に幸せを増幅して行く。

平穏無事な小学生時代を経て…やがて、人並みに勉強を頑張った風太郎は、人並みに大学受験をし、見事に受かった大学のキャンパスで、
お嬢様ではなく経済格差などなくて、顔にアザもない平凡な家庭に生まれ落ちた茜と出会い恋をする。
茜との出会いと並行して、風太郎は、枝野良夫と出会い親友になる。

これまで風太郎が殺害した人達との間にも経済格差のようなものは一切なくて、彼らとの間にあるのは和やかな親交ばかりである。
この穏やかな世界では、茜の愛情にも素直に応える事が出来た。

そして卒業後は、そこそこの会社に就職を果たし、茜と結婚も果たし、可愛い子供にも恵まれて、人生は順風満帆に進んで行った。

しかし…この理想的な人生の夢想の合間合間に過酷な人生の一幕に引き戻されるのであった。
そんな直後、リアルを意識した風太郎は、ダイナマイトの導線が、どんどんと短く燃え尽きている事に気付く。

「あぁ!もう間もなく、導線が腰に巻いたダイナマイトに届いてしまう!」
いよいよ死が目前に迫った時、固く決意した筈なのに、風太郎は恐ろしさのあまり、何とかして導線の先の火を消そうともがくが、時は既に遅く、
扉は緑に頼んで外から鍵を掛けてもらったのか?体当たりしても開かない。
自分で後手に縛った両手は解くに解けない。
風太郎は短くなった導線の先に見える火に何度も繰り返しツバを吐きかけて消そうとするが…何をしても最早、迫りくる火に対処する事は不可能だった。
死を目前にして不様に取り乱す風太郎。
それもまた人間の持つ真実の側面なのだろう。
このようにして、風太郎は爆死した。

爆風は緑が立っている場所にまで及び、小屋の材木の木片が舞い上がり落ちた。


その頃、伊豆屋に一つの宅配便の箱が届けられていた。
それは、あれほど毒づいていた風太郎からの一千万円であった。

最後まで見届けた緑の足元に、何処からか爆風が運んだのか?汚れた1円玉が落ちる。
金に毒された悪人が死んで、すべては終わったが、緑の心の悲しみが晴れる事はなかった。

残された人々は少しずつ平穏な生活を取り戻して行く。
健蔵は場末の飲み屋で、死んだ風太郎の写真を割り箸の隙間に立てて飾り向かい合うと、2つのグラスに酒を注いで「初めてだな。おまえと飲むのは。」と言った。


緑は、風太郎の墓前に、あの日の汚れた1円玉を備えると「銭ズラ。」と呟いて立ち去った。
風太郎の墓は、彼自身が建てた母、桃子のすぐ前に建てられていた。

カメラはここで風太郎の墓前に供えられた1円玉に寄り、そこから時間が風太郎がまだ爆死する前、導線に火を点けたばかりの時にまで巻き戻る。
「わかったよ。死んでやるさ。でもな、俺は間違ってたとは思わない。…」と、独り言を喋る風太郎。
そこには銭ゲバ風太郎の、銭ゲバなりの言い分があった。


ドラマ 銭ゲバ 最終回 感想



この最終回で出てくる茜が産んだ風太郎の赤ちゃんの顔が、生まれたてからとっても完成度が高くて整っています。
私事ですが、「だいたいの赤ちゃんは生まれた時はお猿さんみたいで、こんなに整った顔で生まれてくる赤ちゃんは珍しい。」と、
長男を産んだ時に、担当の産婦人科医に言われた言葉を思い出しました。

可愛い赤ちゃんと仲良しの妻…絵に描いたような幸せな人生ですが…それが全部、風太郎の死に際の夢想だなんて、なんて哀しいんでしょうか!

それにしても松ケン君の顔が、不幸で貧しい役柄では不気味でゲスな貧相で、満ち足りて幸せな役柄では整った上品な顔に見えますね。
それって彼の演技力ばかりじゃなくてメイクさんの腕も凄いのかな?
それともカメラマンさんの映し方が上手なんでしょうか?
そのあたり謎ですが、そういう面でも、他に類のない優れたドラマだったと思います。

テーマ : テレビドラマ
ジャンル : テレビ・ラジオ

ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 8話

ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 8話


ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 5話・6話・7話の続き。

ドラマ 銭ゲバ 概要



放送期間:2009年1月17日~3月14日の毎週土曜日。
局:日本テレビ系列
脚本: 岡田惠和
主演:松山ケンイチ
ジャンル:ピカレスク(悪人を主人公にした物語。)
放送時間と話数:夜9時00分~9時54分 全9話

策略と陰謀で人をたらしこんで、何もかも奪うソシオパスのドラマ。
不幸な生い立ちゆえ金に執着する「銭ゲバ」となった青年の、非情な成り上がり人生の果てに待ち受ける末路までを描く壮絶なピカレスクドラマ。

相反する「愛」と「悪」をスリリングに描き、視る者に「幸福とは何か?」を問いかける。


ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ 8話



運ばれた先の病院にて。
茜の亡骸を見つけての興奮状態から醒めると、次に激しい怒りの感情が押し寄せた緑。
「茜に一体、何をしたの?」と風太郎に詰め寄るも風太郎は、気が抜けたように無表情なまま首を振り「な~んにも。」と言う。

「そんな筈ないわ!」と濡れた目で叫ぶ緑に、風太郎が「おまえが生きていようが死んでいようが、どうでもいい。興味もないと言っただけ。」と答えると、
緑は、命を絶った茜の事が更に不憫になり「酷いわ!茜は…茜は、あなたを愛してたのよ。」とうなだれた。

「でも僕は、人を愛さないんですよ。」と茜の死に顔を覗き込みながら言って立ち去ろうとする風太郎に、緑は耐え切れず、傍にあったメスを握ると切りかかった。
その手を風太郎に捻じ伏せられて「だめですよ緑さん、例え僕でも殺したら、緑さん人殺しですよ。僕の仲間になっちゃいますね。地獄へ行ったら、お父さんや茜にも会えなくなりますよ。」と説教まがいの言葉を浴びせられる緑。
そして緑を力ずくで床に跳ね飛ばすと馬乗りになり「それに最後まで僕を見届けると言いましたよね!」と風太郎は叫ぶ。

それから風太郎が部屋を出て行った後も、緑は床に仰向けになったまま「茜、茜…ごめん!茜、ごめん!」と言って泣き続けた。

その夜以降も、風太郎は毎夜、安眠出来ずに、苦しい唸り声を上げ続けた。
そんな彼を緑は冷めた目で見ていた。
どんどんと狂気を帯びて行く風太郎は、パジャマ姿のまま外へ飛び出すと、会社まで走って行き、社長室の巨大な金庫を開けて、中の札束を見て、気持ちを静めようとする。
だが、やがて就業時間になると、朝のあの混乱状態の様子は影を潜め、いつもの理性的な様子に戻って社員と対応する。

その一方で緑とは、相変わらず皮肉なやりとりを冷ややかに交わした。

伊豆屋には、裏金融の取立人が押し掛けて、暴れたあげく、店主である野々村保彦に生命保険に入って借金を返せと言って、書類を押しつけて帰って行った。
保彦は頭を抱え、その他の家族も、なす術がなく考え込んでいた。
学校から帰って来た由香は、その様子を玄関扉の隙間から見て、申し訳なさで胸が一杯になる。

一方、荻野聡は、警察を辞めて、その後の風太郎の周辺で起きた茜の死にも無関心を装った。

風太郎は、緑に付き合ってもらい車を走らせて、とある場所に向かっていた。
その時に彼は、左目の怪我について、これまで誰にも語った事のなかった話を初めてした。
「この怪我をした時、医者にも診せず終いだったが、視神経を傷つけたのか、世界が歪んで見えるようになった。」と。

風太郎が訪ねて行きたかったのは、子供の頃に、父が家に女を連れ込んだ時に、母と二人で家を追い出されて、他に行くアテもなく身を寄せた海辺の漁師小屋だった。
雪が吹雪く寒い冬の日だったが、母が傍にいてくれただけで、幼い風太郎の心は勇気づけられた。
あの頃、風太郎には母の存在が世界のすべてだった。
あの日、この漁師小屋で古毛布に包まり風太郎は笑顔で言った。
「お母さん、今度から辛い事があったら、ここに来よう。だからもう大丈夫だね。」
「うん、そうしよう。」と母も笑顔で答えてくれた。

その母も失い、左側半分の世界は歪み…その不幸な経験から、金さえあれば、人は幸せになれるんだと思い込み執着した。
そのために、あんなに優しくしてくれた宏兄ちゃんを殺めてしまった風太郎は、あの日、あんなに幼くして落ちるところまで落ちた。
そうして、そんなあの日も、一人でこの小屋へ来て…そして柱に古釘で書いた。
「金持ちになって幸せになってやるズラ。」

そんな痛々しい思い出のある漁師小屋へ、風太郎はまるで凱旋するかのように、金持ちになった今、戻って来た。


再び三國家へ帰って来た風太郎と緑。
夜になって緑がリビングで起きていると、風太郎がやって来て言った。
「眠れないんですか?僕は眠るのが怖くて。」

物憂げに過ごす風太郎を見て緑は、直感的に、死ぬつもりではないかと思った。
だが「死ぬ事は絶対に許さない。」と泣きぬれた目で告げる。
《この家、終わったな》そんな二人の様子を見て、思った春子は「新しい仕事を探さなきゃ。」と独り言を呟く。

その頃、馬鹿オヤジの健蔵はホテルの一室に、出稼ぎフィリッピーナのホステスたちを呼びつけて豪遊をしていたが、いつの間にか寝てしまう。
翌日に目覚めると「トランクの中の金を奪われたのでは?!」と焦って確かめるが、意外にも彼女らのお行儀は良く、札束は手付かずのままで残されていた。


警察を辞めた荻野聡が風太郎を訪ねてきた。
彼は、自分の弟が殺されなければいけなかった理由だけ教えて欲しいと言った。
風太郎は答える。
「宏さんの事は大好きでした。」
実際、宏との思い出は温かいものばかりで、あの頃、辛い日々を送っていた風太郎の大きな心の支えとなっていた。
そして風太郎が、僅かな盗みの金を得るための殺害であったという話をすると、
荻野聡は「そうですか…。十何年、考え続けてきた答えがようやくわかりました。弟は悪い事をしたわけじゃなかったんですね。」と納得した。

そして、宏が死ぬ前日の話を、この時、風太郎は荻野聡から初めて聞いた。
前日、兄の聡に電話して来た宏は「このままでは、ちゃんとした大人になれないから風太郎を引き取ろうと思う。根はいい子なのに金のせいでお母さんが死んだと思っている。」と話していたと言う。
「そんな風太郎に、なんとかして、ちゃんとした人並みの幸せを教えてやりたいんだ。」と、そう宏の言葉は続いたそうだ。
その話を風太郎は瞬き一つせず平然とした様子で聞いていた。
金のために良心が麻痺しているかのようであった。


由香から電話があり、金で自分を買ってくれと言う。
由香なりに、叔父の保彦の命を救うために考えた事であったが、風太郎にしてみれば《それ見たことか。人間は金のために、いくらでも汚い方へと転ぶじゃないか。》と、
まるで自分の考えを肯定してくれているように思えた。
だが、それは同時に風太郎にとっては唯一の希望の光の崩壊でもあった。
心の何処かで、伊豆屋の人達だけは、金に負けないで生きて行って欲しい。
この世にそんな人間が存在していて欲しいと思っていたからだ。
唯一の希望の光であったからこそ、それに裏切られたという気持ちは、激しく嵐のように吹き荒れた。
風太郎は、その怒りを由香にぶつけたものの何もせずラブホテルから帰らせる。

その後、伊豆屋を、以前の紳士的な態度に戻って訪ねる風太郎。
借金の事は由香から聞いて知っていたが、知らないフリをしてベラ定食を食べ「やっぱり美味しいです。」と微笑む。
むろん伊豆屋の面々は元気がない様子だったが、妻の祥子に目で合図されても借金を切り出せない気弱な保彦に代わって祥子が風太郎に借金を申し出る。
祥子は風太郎に土下座してまで一千万を貸して欲しいと言う。
それに対して風太郎は意地悪く「返せるアテのない借金を申し込むのは僕がお金持ちだからですか?返してもらえなくても別にあいつなら困らないと思うからですか?」と言った。
そんな切り返しをされて困惑した保彦は口ごもり何も言えなかった。
けれど祥子の方は「そうです。その通りです。お願いします。」と頭を下げ続けた。
だが風太郎の意地悪な態度は続く。
「この前も言ってたじゃないですか。大事なのはお金じゃなく心だって。そういう計算するのも心なんですか?…お断りします。」
そして「笑顔で受け入れればいいじゃないですか。どんな事があろうとも。」との痛烈な皮肉を言うと立ち上がり店を去ろうとする風太郎を、終始おとなしかった保彦が
「待て!」と声を荒げて呼び止めた。

それから保彦は出刃包丁を持ち出すと風太郎に向け「畜生!馬鹿にしやがって!」と怒りを露わにした。
そして「おまえなんだろ?!真一にあんな事やらせたの、おまえなんだろ?!黙っててやるよ。警察には黙っててやる。だから…だから金、よこせ!」と脅迫に転じた。

風太郎は全く動じる事なく「そこまでやるか…で、それで幸せになれるんですか?」と尋ねた。
すると今度は祥子までもが包丁を持ち、それを風太郎に向けて「家族を…みんなを守るためだったら何だってやるわよ!」と泣き声で言った。
風太郎は両手を広げて、二人に近づいてゆき「どうぞ…大丈夫ですよ。僕なら殺しても、そんなたいした罪には問われない。」と言う。
その表情も声の調子も淡々としていた。
「どこ行っちゃったんですか?あれだけ大事だって言ってた心は?」と皮肉られても、最早、形振り構う余裕もない祥子は「そんな事、どうだっていいの!お金!」と手を差し伸べる。

風太郎は、そんな祥子に冷ややかな視線を向け「がっかりだなぁ…ガッカリだ。」と首を振ると言った。
「僕、賭けをしていたんですよ。自分でね。あなた達が、僕にどういう風にするのか?…その結果で決めようと思ってね。最悪の結果が出ちゃいましたけどね。ま、人間なんてくだらないって事ですよね。」
そんな風に言われて保彦は包丁を持ったまま風太郎に叫び声を上げて突っ込んで行ったが、あっさりと交わされる。
床の上に泣き崩れた彼らに「さよなら。あんたらみたいのがいるからこの世の中は腐るんだよ。」と、更なる罵りの言葉を浴びせて、風太郎は店を後にした。
風太郎はこうして、完膚なきまでに《金より心》と連呼していた連中を打ちのめすと、自分は間違っていなかったと確信して、にんまりと笑いが込み上げた。
だが…それと引き換えるように、どうしようもない虚無感に襲われる。


その夜、健蔵が再び、三國家の風太郎の前に現れた。
健蔵は10億を貰ったものの使い切れなかったと言って返しに来たのだった。
この時、初めて風太郎は亡くなった母がどんなに、この父を庇って「お父さんは本当はあんな人じゃないの。」と話していたかを語った。
そして「だから…お父さんを恨まないであげて。」と言っていた事も。
流石の健蔵の心にも、この話は響いたようで、健蔵は遠い目をすると「いい女だねぇ、桃子さんは。」とポツンと言った。

「どうぞ。生きて下さい。たった一人でお好きなように…。」無気力そうに言う風太郎に、健蔵が「おまえはどうするんだよ?」と聞くと
風太郎は「さようなら。お父さん、いつまでもお元気で。」と言って重そうに腰を上げた。
その風太郎がドアを出る前に健蔵は言った。
「風太郎、一つだけこの世界のルールを教えてあげちゃおうか。子供はさぁ、親より先に死んじゃあいけないんだぜ。知ってたか?」
ドアの前で振り向きもせず風太郎はその言葉を聞いていたが、ゆっくりと振り返ると「親によるでしょう。」と言った。

それを聞いて健蔵は「なかなかいい切り返しをするようになったな風太郎ちゃん!」と嬉しそうに言い、更に彼を引き止める言葉を口にしようとしたが、
もう風太郎は聞いておらず出て行った。
健蔵はこの時、死のうとしている風太郎の心に、真正面から訴えかける言葉も力も持たぬ己を、侘しく悔いた事だろう。

がらんどうの心でその夜は眠りについた風太郎。
いつものように罪の意識に苛まれて悪い夢に苦しめられる事もなく朝にすっきりとした気持ちで目覚めた。
この日は彼にとって最後の日となる。
風太郎の様子からその事を察していた緑が自家用車に乗って何処かへ行こうとしている風太郎の前に現れた。
勝手に助手席に乗り込む緑。
「どこ行くつもり?…死ぬの?」と単刀直入に緑が聞くと風太郎も簡単に「はい。」と答えた。
「罪の重さが辛くなった?捕まって死刑になるより自分で死ぬ方がいい?…どの道、破滅するから?」
緑が矢継ぎばやにいくつかの質問を投げ掛けた。

風太郎は「僕が間違ってなかったってわかったからですよ。」と答えた。
そんな事、百も承知の筈なのに、今更、この世界に幻滅したから死ぬというならば矛盾していたが、
そうではなく、この汚い世界に勝負を挑み勝ったから、もうそれで、何もする事が無くなったから死ぬとでも言うのだろうか?
それとも、金があっても幸せになれない事を知ったから死ぬのだろうか?
いずれにせよ答えは風太郎の中だけにある。

緑はシートベルトをすると言った。
「私が見届けてあげるわ。約束通り。」
「出来るかなぁ?緑お嬢様に。」そう言って姿勢を伸ばした風太郎の腰には何十本ものダイナマイトが巻かれていた。
「馬鹿な人間が一人、死ぬってだけの話でしょ。」サバサバと言い放つ緑。
「じゃ、行きますかぁ。」と言って風太郎はアクセルを踏む。
外車は滑らかに走り出した。
風太郎が心に描く死地に向けて…。

辿り着いたそこは、つい先日、来たばかりの風太郎の故郷の漁師小屋であった。
風太郎は、緑を土手の上の車の所へ残し、自分ひとりだけでその小屋の中へ、ダイナマイトの導火線とロープを持って入って行った。

柱には、あの日の「金持ちになって幸せになってやるズラ。」の文字が残っている。
風太郎は椅子に腰を下ろすと、微笑みながらダイナマイトの導火線に火を点けた。
それからロープで自分を縛り、木端微塵に吹き飛ぶ時を待った。

ドラマ 銭ゲバ 最終回 ネタバレ・あらすじ・感想へ続く。

ドラマ 銭ゲバ 感想 8話



風太郎の左目を通して見た映像が画面に流されて、その歪み方が、とても痛々しい。
これは、他のドラマにはない独特の演出であり、視聴者は、そこに込められた彼の悲運を追体験する。
このドラマ、ストーリーと言葉だけではなく、この映像手法でもまた、運命に翻弄され、心のみならず視覚まで歪められた男の、傷ついた片鱗を見せてくれた。
その歪んで見える世界が、心を更に蝕み歪めてしまうような影響があったとしたら、この悪は持って生まれた悪とは言い切れないと考えられ、実に気の毒である。
境遇により作り出された悪ならば、それはまさにソシオパスと言える。

漁師小屋で自殺を図るシーンについては、こんな死に方をする事が可能なのか?と不思議に思う。
自分で自分を両手の自由が利かないように縛る事なんてできるんだろうか?

テーマ : テレビドラマ
ジャンル : テレビ・ラジオ

ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 5話・6話・7話

ドラマ ネタバレ~過去ドラマ
ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 1話・2話・3話・4話の続き。

ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 5話・6話・7話



ドラマ 銭ゲバ 概要



放送期間:2009年1月17日~3月14日の毎週土曜日。
局:日本テレビ系列
脚本: 岡田惠和
主演:松山ケンイチ
ジャンル:ピカレスク(悪人を主人公にした物語。)
放送時間と話数:夜9時00分~9時54分 全9話

策略と陰謀で人をたらしこんで、何もかも奪うソシオパスのドラマ

不幸な生い立ちゆえ金に執着する「銭ゲバ」となった青年の、非情な成り上がり人生の果てに待ち受ける末路までを描く壮絶なピカレスクドラマ。
相反する「愛」と「悪」をスリリングに描き、視る者に「幸福とは何か?」を問いかける。


ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ



ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ 5話



刑事が、通報のあった場所を掘り返したものの遺体は発見されなかった。
だが、風太郎の様子が何だかおかしい。
それに風太郎を睨みつける刑事、荻野聡の恐ろしい目付きは何を意味するのか?
緑は、自分の知らない何かがこの裏に隠されているような気配を感じ取っていた。

次女の娘婿として、社長、三國譲次に付いて、会社経営を学びながら、風太郎は、営業職の一員として、時に、重役会議にも出席し、自分の意見を求められるようにもなった。
そんな時、なかなか鋭い意見を述べて、三國譲次は「優秀だろう。うちの娘婿は。」と鼻を高そうにしていた。
周囲の重役らの評判も上々であった。
そんな中、風太郎は謙虚さを装いつつ、既に腹の中では、自身が社長になるために、三國譲次を殺害する方法を考えていた。

三國家では茜が幸せそうにしていたが、片や、緑の心には、言い知れぬ疑惑が雨雲のように憂鬱に広がっていた。

譲次と風太郎が仕事を終えて家へ帰って来ると、表面的には、平和で幸せそうな家族団らんがあったが、家政婦の春子もまた垣間見た風太郎の悪魔のような表情を思い出して、
怯えていた。

茜は、メイドに対する態度が傲慢だと、風太郎に叱られる事すら嬉しくて、ますます風太郎にのめり込んで行った。
この頃はまだ風太郎も茜を愛している演技を続行中だったので、茜にとっては幸せの真っ只中であったのだろう。

緑は、荻野聡らに面会し、荻野の風太郎に対する見解を聞いていた。
荻野聡は、昔、弟の荻野宏が路上で撲殺された新聞記事のコピーを見せて「話はここから始まります。」と、
風太郎に対して、自分が感じている疑惑のすべてを話した。
「おそらくあの暴漢もヤツの仕込みでしょう。あなたの友達も殺されてるかもしれませんね。金ですよ。金、ヤツの原動力はすべて金。あなたの妹さんに近づいたのもそのためだ。」
こうした話を聞かされて、緑は体の震えが止まらなかった。

風太郎の父、蒲郡健蔵は風太郎から小遣いをせびり取るために度々、風太郎の傍に現れた。
健蔵は、死体を隠したのも、通報したのも自分だと聞かせて、それとなく、更に犯行を重ねるのを止めさせようと説得を試みていた。
風太郎はそんな父親が鬱陶しくて「いくら渡したら死んでくれるんだ?」と聞いた。
健蔵は「10億とか?」と言って笑ったが、風太郎は無表情なままで「わかった。その時は死ねよ。」と言った。
健蔵は内心では実の息子に「死ね。」と言われて、かなり堪えたが笑って誤魔化した。

翌日、緑は朝から、風太郎の事で深く悩み、食事すら喉を通らなかった。

くしくもこの日、風太郎の計画は実行された。
実行犯は、金持ちに恨みを抱く男、枝野良夫(柄本時生)。
枝野良夫は末期がんで天涯孤独であったため、親近感を抱く風太郎のために、譲次の殺害後、その罪をひとりで引き受けて自殺する事となる。

譲次は、この日、娘婿を紹介しようと、彼を連れて、亡き妻の墓参りをした。
その後、若い頃、好きだった庶民的な定食屋の味を求めて、風太郎に行きつけの「伊豆屋」へ連れて行ってもらう。
伊豆屋でベラ定食を食べながら、楽しく語らい食事をして店を出た。
その後、途中までは風太郎と肩を並べて話しながら歩いて来たのだが、風太郎が「店に忘れ物をしたので…。」と嘘を付いて引き返すフリをしたので、
そこから工場へ一人で歩いて向かった。
そして…計画通り、突然目の前に現れた枝野の銃弾に倒れたのだ。

決行する前日、枝野良夫が風太郎に話した事で一つ印象に残った事がある。
それは、枝野の死んだ母親が金のために何でもする人間を指して「銭ゲバ」と言っていたという話。──


譲次の殺害の翌日、風太郎はビルの屋上から大量の一万円札をばら撒く。
その金を我先に掴もうとして狂乱する道行く人々。
その醜い姿を見て、人間なんて所詮、金で転ぶんだ──自分は間違っていなかったんだと安心するために。
だが、そんな事をしても心は虚しくなるばかりだった。

緑は、父が殺されたショックのせいか、それ以降、魂の抜け殻のようになり、しゃべる事も歩く事も出来なくなった。

そして…風太郎はついに三國造船の社長に就任する。


ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ 6話



社長就任以来、外面こそは良かったが、風太郎の茜に対する家での態度は一変した。
ギスギスしていると言ってもいい。
緑と二人だけの時は、どうせもう壊れてしまっているので何を言ってもわからないと思い、本音を言いたい放題だった。


健蔵は相変わらず、小遣いの無心に来たが、風太郎が会わないので、家の方を訪ねて行き、茜から小遣いを貰っていた。

荻野聡と菅田純の刑事コンビも相変わらず、風太郎の周辺を嗅ぎまわっていた。

緑は、ずっと心神喪失状態。
けれど、そんな緑に向き合って茜は「たとえ騙されていたとしても、あの人の事を理解して愛しているのは世界で私ひとり。だから幸せ。」と言っていた。
「風太郎さんと私は同じ心に傷を持つ同士だからわかりあえる。」とも言った。
でも、それは茜の哀しいひとり相撲のようなもので、役目を終えたと思える茜に、風太郎が優しく接する事は最早なく、ましてや二人が気持ちを通わす事もなかった。


風太郎は、亡き母のために立派な墓を建てる。
「でも…せっかく金持ちになっても、生前してあげたかった事は何一つ出来ないし、それに正直言って、金の使い方がわからない。」
そう言って風太郎は、母の墓前で涙ぐんだ。

それに…母はきっと、自分が罪を重ねた事を怒っているだろうと思うと、とても悲しかった。
だが、その反面「仕方がなかったんだ!他にどうしたらいいかわからなかったんだ!」と言って、母に甘えたい気持ちもあった。
そして「僕は死んでも、お母さんがいる天国には行けないから、もう二度と会えない。」と言って更に泣いた。

風太郎は、母に瓜二つのホームレスの女に金を与えて助けようとして、逆に、それが原因で死なせてしまう。
この女は、風太郎が出会った中で唯一、最後まで金に翻弄されない人間であった。

その一方で、荻野聡の身辺調査を行い、妻の心臓手術が必要な事を知り、そのための費用諸々と渡米日などを援助すると申し出る。
口には出さなかったが、荻野の自分への執念に蓋をさせようという裏取り引きである。
妻の治療費を工面する事の出来ない荻野の気持ちは目の前に積まれた札束に大いに揺らいだが、怒りが込み上げて、札束を手で払いのけて帰ろうとした。
それを更に風太郎が「お金で助かる命を見殺しにするのならば人殺しだ。」と言って煽るので、我慢出来ずに殴り飛ばして馬事雑言を浴びせながら、警備員に追い出される。


「伊豆屋」では、屋上から金を蒔いたのを目撃した由香に、彼女が下で拾った1万円札を返されて怒られた。
一応、その場では「ごめんなさい。」と素直に謝り、その1万円を受け取ったが、内心ではどうでもいいと思っていた。
その後、初めて、自分にそっくりだという由香の兄、真一を見て、利用出来ると思いほくそえんだ。


風太郎は、すぐさま、真一を金で雇い、荻野聡の妻、加奈江(宮本裕子)が入院している病院へ行かせて、階段の上から突き飛ばして怪我をさせた。
今度は脅しである。
家の方でも家政婦の春子を、脅しと金の力と同郷のよしみで服従させた。

 このようにして、周囲の人間を着々と金と脅しで服従させてゆく事に余念がない風太郎は、ふと思い出して、父を呼びつけて、約束通りに10億円を渡して
「死ね。」と言った。
健蔵は最初、受け取りを躊躇うような様子を見せたが、風太郎に「受け取るのが怖いんですか?」と言われてムッとして10億入りのアルミトランクに手を出す。
だが、風太郎に「とんずらは出来ない。全財産を使っても見つけ出して殺してやる。約束を果たして死ぬか俺を殺すしかないぜ。」とウィンクをされて氷り付く。
しかし、それも一瞬の事で、健蔵はすぐにいつもの飄々とした様子に戻って「じゃあね、風太郎ちゃん。」と言ってキャスター付きのアルミトランクを押して出て行った。


特注のマカロンの大きなケーキが三國家に届けられた。
緑の前で昔、出会った頃の話をしながら、ふてぶてしくそのケーキを食べ散らかす風太郎。
「緑さんは、真っ直ぐで大人になっても、あの頃と全然、変わっていない。だから騙しやすかったよ。」と言って、ひとりでマカロンを食べ散らかして涙を流す。
毎晩、悪夢にうなされて眠れないし、ちっとも幸せではないのだ。
結局、そのケーキを、ぶっ潰して「くだらねぇ。」と呟く。
床に落ちたマカロンを幾つも重ねて握り潰し「緑さん、食べなよ、ほら。」と言って無理矢理に緑の口にねじ込もうとした時、緑が急に睨みつけて平手打ちをした。
激しく怒りに震えている。
そして緑は立ち上がると「可哀そう…。憐れな人ね。」と言った。
驚いて目を見開く風太郎。
心神喪失は緑の芝居だったのだ。
怒りに任せて緑は風太郎に馬乗りになると「あなたも騙しやすかったわよ。とっても。」と叫ぶ。
「父が死んだ時、私は確信した。全部、あなたがやったんだって。だから…自分の身を守るために頭がおかしくなったフリをしたの。」
殺す意味がなくなるように緑はそうした。
それに、そうする事で真実をもっと知りたかったのだ。
緑は風太郎を憐れみつつも本心をすべてぶちまけた。
最後に「お金に勝ったつもりでいても、あなたは、結局、お金のために人生を使って負けているんだ。私は、あなたが地獄に落ちてゆくのを見届ける。」と言った。
この時、風太郎は怯えていた。

その時、押し入って来たのは荻野聡と菅田純の刑事コンビだ。

菅田の手には逮捕状があった。
容疑は、荻野加奈江に対する傷害であった。

手錠を掛けられて連行される風太郎。

パトカーに乗せられて警察署に向かう車道から、風太郎は、母に似たホームレスの女の遺体が運ばれて行くのを見て「止めろ!なんでなんだよ!」と、泣き叫んだ。
罪を犯した自分はともかくも、母に似たその女が金で幸せになれなかった事が何よりもショックだったのだ。

これで風太郎も終わりかと思われたが…。



ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ 7話



荻野聡の妻、加奈江を病院の階段から突き落とした容疑で逮捕された風太郎は、荻野の厳しい取り調べを受けていた。

その頃、三國家では「何があっても風太郎を愛している。」と言う茜に対して、緑は「私は絶対にあの男を許さない。」と怒りに震えていた。


警察の檻の中で、過去を回想する風太郎。

荻野宏を殺して逃亡していたあの頃、行くあてもなく町を彷徨っている時に、親切にしてくれたホームレスのお爺さんがいた。
優しくされて、匿ってもくれて、風太郎は少しずつそのお爺さんに心を開いていったが、結局、最後には、その人も金のために、風太郎を警察に売ろうとしていたのだ。
そんな事があって風太郎は、人を信じられなくなるのと同時に、世の中は結局、金が支配しているのだと、ますます強く思い込んだ。
そんな回想を経て、風太郎は、再び、地獄行きの覚悟と引き換えに、世の中の人間は金で動く事を俺が証明してやる!と決意する。
「銭ズラ!」と何度も繰り返し叫びながら…。
そして再び、ふてぶてしい態度で、荻野刑事の取り調べに反論する。

進展の無さに荻野は苛立った。
当日の風太郎のアリバイは完璧であり、ほどなくして真犯人が自首して来て、風太郎は釈放される。
自首して来た犯人とは、むろん風太郎に金で雇われた真一である。

一方、キャスター付きのアルミトランクと共に、町をさすらう健蔵は、大金を持て余し、今後どうして生きたらいいのか思案していた。

家へ帰った風太郎は、一切の演技をやめて、緑と茜に、冷たく、ふてぶてしく接する。
そして最早、隠し立てする事もなく、これまでの殺人や演出はすべて自分がやった事だと話した。
茜には、三國家へ入り込むためのターゲットだった事。
その理由は、茜が醜いから騙しやすかったから…などを話した。

そんな風太郎を緑は睨みつけて「死ぬより辛い苦しみを味わうべき。」と言い放ったが、
風太郎は動じる事もなく「お好きにして下さい。どっち道、僕は地獄への片道切符しか持っていないんでね、怖いものなんかないんですよ。」と意に介する事もなく平然としていた。

この夜、もう一度だけ茜は風太郎の情けにすがろうとした。
しかし、風太郎に「おまえの事なんて最初から興味もない。おまえの役目は終わった。生きていようが死んでいようが、どうでもいい。」と言われて、深く傷ついていた。


それでも、最後に、こう言い残した。
「風太郎さんと違う人生で出会いたかったな。愛してる…愛はあるんだよ、風太郎さん。あなたと一緒にいられて幸せでした。ありがとう。」
愛しそうに風太郎の両頬を両手で挟み、語りかけられたこの言葉が実質、茜の遺書のようなものだった。
その言葉も、風太郎に疎ましがられたが…。


真一が罪を犯したのに、風太郎が誤認逮捕されていたと思い込んでいる伊豆屋の面々が、三國造船の社長室まで謝罪に来る。
しかし風太郎は、彼らが、かねてよりの「貧しくても大切なのはお金じゃなくて心だ。」と言う言い分を曲げない事が癪に障り、乱暴な言葉と態度で追い返す。
伊豆屋の面々は豹変した風太郎の態度に唖然としていた。


一方、金の力で罪を逃れようとする風太郎を絶対に許せないと思っていた荻野聡は、妻が再び心臓病の発作を起こした事に追い詰められていた。

その頃、緑は、風太郎の生まれ故郷である漁村を訪れて、出会った頃の彼の表情を思い出したり、貧しくても、母と懸命に生きていたのであろう借家を訪ねて、
彼の生きた足跡を辿っていた。
彼がどんな所で生まれて育ったのか?
自分にも悪い部分があったのか?
何が、素朴だった一人の少年を、あんな恐ろしい銭ゲバに変貌させてしまったのか知りたかったのだ。
ちゃんと憎むために納得したかったのだ。

そこで緑は健蔵に再会する。
健蔵は、風太郎から命と引き換えに10億円を貰った事、そのうちの1億円を、昔さんざん自分を馬鹿にしたこの町に寄付すると言ったら、掌を返すように態度が変わった事を話して
「やっぱり世の中、銭ズラっ~。」とおどけて見せた。
「俺たち親戚なんだから軽蔑したらダメだよ。」とも言ってみたが、
緑は冷めた気持ちでそれを聞いて「とってもくだらない人ですね。もちろん軽蔑します。心の底から。」と言った。
そして最後に「息子とした約束、一つくらいちゃんと守ったらどうですか?もうお会いする事もないと思います。死ぬんですものね。」と吐き捨てて立ち去った。

ちゃんと憎むつもりが、風太郎の不運な生まれと生い立ちを辿った緑は、何とも言えない暗い哀しみに襲われた。


一方、その頃、荻野聡は、妻の病状が悪化して「お母さん、死んじゃうの?」と心配して泣く息子を胸に抱き、悩みの只中にあった。
そして…追い詰められた末に、ついに風太郎と裏取り引きをする決意をして、三國造船へ風太郎を訪ねて行き、頭を下げて、手術費の援助を依頼した。
「結局、大事なのは金だ。」という言葉と引き換えに、荻野聡は自分を曲げて、目の前の大金を受け取って帰った。
あれほど、自分に抵抗していたこの男も、結局は金の力に転んだと、風太郎は満足だった。
荻野聡は、虚しさと悔しさに胸を潰されて、外へ出ると、金の入ったアルミのトランクを抱き締めながら、地面に両膝をついて泣いた。
泣き声は次第に大きくなり最後は正体もなく地面に突っ伏して泣いていた。

金に追い詰められていたのは、荻野聡ばかりではない。
急に、真一の作った借金の返済を、裏金融から迫られて、無理な取り立てに遭い、伊豆屋の面々も青ざめていた。
風太郎の手先となって貰った300万を支払済みなものの、それは利息に過ぎないと言われてしまった。


この日、風太郎が帰宅すると、茜が部屋で首を吊って死んでいた。
それを発見し、茜を殺すつもりはなかった風太郎は、そのまま、後ろにあった椅子の上にのけぞって腰を抜かすような形で大の字に腰掛けていた。
緑が帰宅したのはその直後で、発見後、驚きと悲しみの余りに、緑はパニックに陥った。

ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 8話へ続く。

ドラマ 銭ゲバ 5話~7話の感想



とてもよく出来た脚本で音楽の使い方も効果的。

お笑い出身の宮川大輔が、主役の松ケンと堂々と渡り合う素晴らしい演技をしていて驚いた。
でも唯一、1か所だけ、感情的に風太郎を怒鳴りつけるシーンで、イントネーションに関西弁なまりが出てしまってて惜しかったわ。


テーマ : テレビドラマ
ジャンル : テレビ・ラジオ

ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 1話・2話・3話・4話

ドラマ ネタバレ~過去ドラマ

ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 1話・2話・3話・4話



ドラマ 銭ゲバ 概要



放送期間:2009年1月17日~3月14日の毎週土曜日。
局:日本テレビ系列
脚本: 岡田惠和
主演:松山ケンイチ
ジャンル:ピカレスク(悪人を主人公にした物語。)
放送時間と話数:夜9時00分~9時54分 全9話

陰謀で人をたらしこんで、何もかも奪うソシオパスのドラマ

不幸な生い立ちゆえ金に執着する「銭ゲバ」となった青年の、非情な成り上がり人生の果てに待ち受ける末路までを描く壮絶なピカレスクドラマ。
相反する「愛」と「悪」をスリリングに描き、視る者に「幸福とは何か?」を問いかける。


ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ



ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ 1話~2話



工場で働く派遣労働者の蒲郡風太郎(松山ケンイチ)は、生産調整のため解雇される。

小学生の頃、酒浸りで暴力を振るうロクデナシの父親(椎名桔平)とは不仲であり、
貧しいながらも精一杯の愛情を注いでくれた母親(奥貫薫)桃子と母子家庭のごとく暮らしていた。
毎日カツカツの生活で、学校へ行けば「貧乏人」と嘲りを受けて虐められもしたが、それでも、近所に住む新聞配達の同僚の大学生のお兄さん荻野宏(近藤公園)の励ましもあり
希望を失う事なく生きていた。

ところが、そんな日々の中、医者にかかるお金がなかったゆえに、母は突然、命を落とした。

風太郎の左目の傷は、まだ母が生きていた頃、金の無心にフラリと帰って来た父親に抵抗して、投げ飛ばされた際に机の角にぶつけて出来た。

「金さえあれば、母は死なずに済んだのに!」と考えるようになった風太郎は異常に金に執着するようになる。

母の死後、児童擁護施設に預けられた風太郎だったが、ある日の夜、そこを脱走する。
そして、夜の町をうろつき、酒に泥酔したサラリーマンが酔い潰れて道端で寝込んでいるのを見つけると、コートの内ポケットから財布を抜き取る。
それを、たまたま目撃した荻野宏が、金を持って逃げる風太郎を追いかけて捉まえ、言い聞かせて悪事を止めさせようとしたが、興奮状態の風太郎にバットで撲殺されてしまう。

十年余りの時が流れ、大人になった風太郎は、学歴もないために、さまざまな工場の派遣労働者となって働いていたが、行く先々で不当な派遣切りに遭う。
彼自身は独身だし普段からコツコツと貯め込んでいたので、派遣切りにそれほど怯えるでもなかった。

切られたら、また人材派遣会社に再度、登録をし、次の仕事にありつくという暮らしであったが、同じ職場で一足先に派遣切りされた所帯持ちの男が、風太郎に借金を申し込んできた。
風太郎はその男、寺田修司(田口トモロヲ)が、自分の留守中に風太郎が住むボロアパートに忍び込み、畳の下に隠してあった大金を盗んだのを取り返そうとしてまたしても撲殺する。

寺田殺害の事件を調査していた刑事の荻野聡(宮川大輔)は、寺田が働いていた合板工場に、昔、弟が面倒を見ていた蒲郡風太郎もまた働いていた事を知る。
そして、寺田の殺害方法も、弟の時と同じ撲殺であった事から、蒲郡風太郎に疑惑の目を向ける。

荻野聡は風太郎の前に現れて鋭く職務質問した。
しかし、風太郎が寺田を殺した夜は偶然、荻野宏を殺した夜と同じく、どしゃぶりの雨であったために、指紋などの物的証拠が得られず、しらを切りとおされてしまう。


ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ 3話~4話



やがて風太郎も、死んだ寺田と同じく、勤めていた工場を派遣切りされる。
切られたその日のうちに、新たな仕事を得ようと、携帯で人材派遣会社のサイトの求人に応募申し込みをする。

数日後、三國造船(株)京浜工場での派遣社員の仕事にありつくが、働き始めてすぐに、そこが、子供の頃に知り合って、別荘に招かれた事のある同い年の少女、三國緑(ミムラ)の父親が経営する会社である事を知る。

その子供の時の緑との思い出は、風太郎にとって苦いものだった。
最初、緑は、お金持ちだけれど優しく感じの良い少女だった。
ところが、緑の別荘で、風太郎が初めて見る美しいお菓子マカロンを、緑が席を外している間に、ランドセルに詰め込んでいる場面を目撃したとたん冷酷に「泥棒!」と呼び蔑んだ。
その上、風太郎の母まで呼ばれて、謝罪しても尚、罵倒し続けたのである。
ただ母にも美味しいお菓子を食べさせてあげたいと思っただけなのに…。
自分ばかりではなく母にまで、情けない思いをさせて傷つけてしまったのだ。
この時にも、貧乏のせいで、見下されたという思いがあった。

そんな金持ちどもに復讐してやりたい。
「金のためなら何でもするズラ。」という下心を隠して、風太郎は三國の家に入り込んでやろうと考える。

計画的に三國の家に入り込むために、緑の運転する自家用車の前に、フラリと飛び出して、わざと跳ねられる風太郎。

責任を感じた緑は、風太郎の病室に付き添い看護する。

目覚めた風太郎は「もしかして…緑さん?」と、今、気付いたばかりのような口ぶりで、自分が昔、子供の頃に、故郷で面識のあった風太郎であった事を明かす。

怪我は大事には至らなかったものの申し訳なさから「自分に出来る事を何かさせて欲しい。」との緑の申し出に「それなら友達になって下さい。」と願い出る風太郎。

緑は風太郎と友達になる事を快諾し、風太郎を自分の家が持つ船で催すパーティへと招待する。

船上パーティに集まった面々は、緑のお金持ちの友人ばかり。
風太郎は、彼らのお喋りの席から離れて、ひとり船上デッキに立ち、中の様子を窺い見た。
すると、緑の妹の茜(木南晴夏)が、俯きがちに居辛そうにしていた。
茜には、生まれつき、顔に醜いアザがあり足も不自由だった。

風太郎は、この茜のコンプレックスを利用して、三國家に入り込む事にした。

緑の友人の一人に白川正輝(田中圭)という金持ちのボンボンがいた。
この日、彼はオークションで落としたという500万円の腕時計を自慢していたが、それがひどく茜の癇に障った。

茜は、心に一点の曇りも傷もなく、いつも幸福感を撒き散らしている、そんな正輝を内心で激しく嫌っていた。
だから、正輝が洗面室に忘れたその高価な時計を壊したのである。

その事を察した風太郎は、それが茜の仕業とはバレないように、上手くその場を収める。
そして、茜と二人きりになる機会を作り、自分には彼女の気持ちが良くわかる…だから自分は常に茜の味方であると示す。
茜には、その風太郎の行動が、自分に示された計り知れない程、大きな優しさに感じられた。


それは《不幸を背負って生まれたから苦労知らずの幸せなやつらが忌々しい》という自分と共通する茜のコンプレックスを利用した手口だった。
こうして風太郎は、茜の関心を惹く事に成功し、まんまと三國家へ入り込む。


普段自分の殻に閉じこもっている茜の要望を聞いてあげるのは、姉の緑にも、父親の三國譲次(山本圭)にも好ましい事ではあった。
しかし例えそうだとしても、三國譲次は片目に傷を持つ風貌といい、育った貧しい環境といい、どうにも風太郎に相容れない感情を抱き続けていた。
その三國譲次の信頼を勝ち取るために、次に風太郎が仕掛けたのは、三國造船をリストラされて食い詰めている男を金で雇い、緑を襲わせて、それを自分が体を張って守るという芝居であった。

わざと男に自分の左腿をナイフで刺すように指示し、怪我をしてまで緑を守るという演技をした風太郎に、すっかり騙されて、これまで以上に緑は風太郎の事を信じるようになった。
そしてまた三國譲次も、娘を守ってくれたという思いから心を開き、風太郎が退院して来ると、それまで別々に摂っていた食事も、4人揃ってするようにまでなった。

しかしマズい事に、かねてより風太郎を怪しんでいた白川正輝が、襲撃犯が逃走した後にコインロッカーに辿り着き、そこから大金を出すのを目撃して、この襲撃事件が風太郎の仕込みによるものだった事に気付いていた。

それでなくても三國家を心配する白川は、風太郎は三國家の財産を狙っているに違いないと言って、緑に「家へ入れない方がいい。」と助言していたのだ。
今や明確に風太郎の正体を知った白川は、風太郎にそっと近づいて「警察には黙っておいてやるから、三國家から立ち去れ。」と告げてきた。

自分が金持ちになる道に立ち塞がる白川は邪魔者だ。
風太郎は夜遅く、白川を殺害し、その遺体を三國家の敷地内の一角に埋めた。


一夜明けた翌日、父と姉の前で結婚をせがむ茜に「それは無理だ。僕は…自分の世界に戻ります」と風太郎は自分から三國家を去る。
そこには風太郎の先を見通したこんな計算があった。
―――どうせ、ここで身を引いても茜がダダをこねて家族を困らせ、向こうからきっと戻って欲しいと頼みに来るに違いない。
それならば、ここは信用を得るために、金持ちが好きな、従順で無欲で、身の程を知った貧乏人を演じておいた方が効果的だ。―――

風太郎は毎日、三國造船の作業場に通って仕事をしながら緑が迎えに来るのを待っていた。
何日後だったか…風太郎が出て行って以来、部屋に籠りっきりでロクに食事を摂ろうともしなかった茜が、手首を切って自殺を図り、とうとう緑が作業場まで風太郎を迎えに来た。
目には涙まで浮かべ「どうか、三國家へ帰って来て下さい。」と頭を下げている。
風太郎は、心の中で「やったぜ!」と叫びながらも平静を装い対応する。
この頃になると、父親の三國譲次も、茜の命には代えられないとばかりに、風太郎を婿として迎え入れる覚悟を決めていた。

ほくそ笑みながら三國家へ戻った風太郎は、勝ち誇ったような気分でいた。
しかし、ある人物が、せっかくのこの勝利者気分をぶち壊す。
そのある人物とは、風太郎の父親である蒲郡健蔵だ。
自分の留守中に健蔵が、勝手に三國家へ上がり込み、三國家の家族らと談笑している。
健蔵は風太郎の乗っ取り計画を見透かしており、自分にも、いい思いをさせろとばかりに、こんな時だけ父親面してやって来たのだ。

風太郎の部屋で二人だけになると、健蔵は、風太郎を「よくやった!」と褒め、財産乗っ取り計画に参加させろと言ったが、
風太郎は心から健蔵を憎んでおり、一日も早く消えて欲しいと願っていた。
この夜、緑は、また、ずっと行方不明になったきりの白川正輝の携帯へ電話を掛けた。
相変わらず電話には出ないで呼び出し音だけが何度も続いていた。
ちょうどこの時、ゴミを捨てるために外へ出ていたメイドの桑田春子(志保)が、土の中から電話の呼び出し音が鳴っているのに気付き、土を掘り返し始める。
そこは、風太郎が、殺害した白川正輝を埋めた場所だ。
いくらか掘り進むと、人間の指先が現れて、驚いた春子は、恐怖にかられた形相で屋敷の方へと走って来た。
それを、風太郎の部屋の窓から見ていた健蔵は「何かある!」と直感した。
翌朝に風太郎が目覚めると、昨夜、風太郎が渡した札束を持って、既に健蔵は消えていた。


茜との結婚式の準備が進む最中も「派遣の契約が後、数日、残っているから。」と風太郎は作業場に通い続けていたが、
そんな時に、ヘマをして厳しく叱責を受けている派遣社員を庇ってやる風太郎。

縁あって時折り、風太郎が通い続けていた定食屋『伊豆屋』という店があった。
そこには貧しくても朗らかな家族たちが暮らしていて、風太郎は、そこに、自分と瓜二つの由香(石橋杏奈)の兄・野々村真一(松山ケンイチの二役)がいる事を知る。
真一は放蕩者で、度々、騒ぎを起している事も。

若手版“フーテンの寅さん”のような、お調子者の真一を、家族たちは優しい気持ちで見守っていた。

「お天道様は見てるからさ、大切なのは、金じゃない、心だよ。」そんな清廉な事を言う伊豆屋の人々。――― 同じ事を亡くなった母も言っていた。
だが金がないために死んでしまった。
きっとこの連中も、大金を目の当りにしたら、変わってしまうに違いない。
もし、そうでなければ、この世は金がすべてと思っている自分が間違えている事になるじゃないか!
「よし、本心を引き出してやる!」そう思った風太郎は、店の前にわざと札束の入った封筒を置いておく。
ところが、それを見つけた彼らはすぐに、交番のおまわりさんにその札束を届けてしまうのだった。


その頃、警察署の荻野聡に「三國家の庭のとある場所に死体が埋まっている。」という通報の電話が入る。
それで、三國家にやって来た刑事、荻野聡とその後輩の刑事、菅田純(鈴木裕樹)。
菅田が、三國家の家族全員が見守る中で、例の場所の土をスコップで掘り返し始めた。
荻野が見る限りでは、掘り返される様子を見つめながら、風太郎は激しく緊張していた。

ところが、出てきた物は、広告の裏に書かれた舌を出したへのへのもへじの絵が一枚っきりだった。

これは、風太郎に恩を売り、財産乗っ取りに参加させてもらうために健蔵が仕出かした事だったのだ。

ドラマ 銭ゲバ ネタバレ・あらすじ・感想 5話・6話・7話へ続く。

ドラマ 銭ゲバ 3話~4話の感想



第4話の中、風太郎が、金持ちに関して述べる台詞(心の声)で「おまえらが金持ちなのは、おまえらの御先祖が、他のやつより、ちょっとだけ喧嘩が強かっただけの事。」という部分は
ちょっと違うんじゃないかなぁ…風太郎はこの時、戦国武将とか武士社会をイメージしつつ、その武家社会の崩壊後、華族になった人々をイメージして言ってたのだろうけど、そういう人達じゃなくて、現在の財閥のほとんどの御先祖は商人だと思うからね。
けっこう、うまい事、言ったようで、ちょっと違ったね(笑)

ウエディングドレスの衣装合わせをしているシーンで、
ウエディングドレスを試着した茜が目の前に立つ姿が、風太郎には、体中に一万円札を貼り付けている姿に見えるというCG加工は面白かった♪

テーマ : テレビドラマ
ジャンル : テレビ・ラジオ

映画 アイム・ノット・シリアルキラー ネタバレ・あらすじ・感想

映画ネタバレ~のご紹介です。

映画 アイム・ノット・シリアルキラー ネタバレ・あらすじ・感想



映画 アイム・ノット・シリアルキラー 概要



2016年公開のアイルランドとイギリス合作映画。
監督:ビリー・オブライエン
脚本:ビリー・オブライエン
主演: マックス・レコーズ
ジャンル:スリラー映画
上映時間:103分

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク役のクリストファー・ロイドがシリアルキラーの役を演じている。

映画 アイム・ノット・シリアルキラー ネタバレ・あらすじ



《映画 アイム・ノット・シリアルキラー 起》

クレイトン郡の、とある田舎町。
色白の美少年、16歳のジョンの家は葬儀屋を営んでいる。
この葬儀屋では近代的なエンバーミングまでも行っていた。
エンバーミングとは、死体にメスを入れて見映えを美しく保つという作業だ。
母が主体となり行うエンバーミングをジョンも、叔母と共に、日常的に手伝っていた。
そんなジョンは、死体や殺人に異常に興味を持つ少年で、カウンセラーから、ソシオパス(社会病質者)と診断される。
稼業の手伝いをするジョンは親孝行な息子とも言えたが、ジョンの母は、死体と接する稼業などを手伝わせていた事が、彼に悪影響を及ぼしたのではないかと心配していた。

しかしながら、母の心配は杞憂(きゆう)に過ぎず、
自分がソシオパスであるという自覚の元、ジョンは、殺人への衝動を抑えるために、常日頃から密かに、自分自身にルールを課して生きていた。
例えソシオパスであっても、自分の衝動をコントロールする能力も同時に併せ持った《しっかり者のソシオパス》であったジョン。

そんな、ある日の事、町で謎の連続殺人事件が発生する。
その殺人の手口は異常で、まるで猛獣の襲撃に遭ったかのように死体は切り裂かれていて、内蔵が抉り出されていた。


《映画 アイム・ノット・シリアルキラー ネタバレ 承》

学校では、ジョンの自由研究のレポートの内容が猟奇殺人犯などという物騒な人物に偏っているので、校長先生までがジョンを問題視し始めたようで、
母が学校に呼び出されて、厳重注意を受けたが、それでもジョンは淡々としていた。
彼にセラピストが付くようになったのは昨年、提出した食人鬼のジェフリー・ダーマに関するレポートのせいだった。
一年経過しても、いっこうに症状が改善しないとジョンの母は思っていた。
しかし、正直な話、セラピストと過ごす時間はジョンにとって何の役にも立っていなかった。

ジョンは稼業の事で、学校でからかわれる事もあったが、そういう時も、自分の殺意を緩和するためのルール(殺したいと思った時は、笑顔で、そいつを褒める)
を即座に適用しやり過ごしていた。
セラピストにも、そう話していたが、セラピストは「君には連続殺人犯の兆候がいくつもある。」と言って、年中、彼の事を心配していた。
それでもジョンは、セラピストが、ある程度、ジョンの自己抑止力を信用してくれていると思っていたので、これまで何でも素直に話して来たが、
最近は話した内容が、母に筒抜けになっていて、しかも内容が湾曲して伝わっている事から、このセラピストに対しても、うざったいという感情も芽生え始めていた。


《映画 アイム・ノット・シリアルキラー ネタバレ 転》

さて、ジョンの家の隣には穏やかな老夫婦が住んでいて、そこの主人は理髪店を営んでいた。
ジョンも普段から仲良くしていて、これまで、誰も、この年老いた理髪師のクロ―リー(クリストファー・ロイド)を疑うなどとは思いもよらなかったであろう。

この頃、自宅の葬儀店に運び込まれた死体からは内臓の一部が消えていた。
叔母は警察が検死の後、戻し忘れたと思っていたがジョンは「犯人が取ったのかもしれない。」と呟いた。
警察の記録にも、発見時から切除されて無かったとあった。
今まで治安の良好な地域だったのに、立て続けに、このような猟奇殺人が起こっていた。
遺体の傍には、必ず、石油か泥のような黒い物質が発見されていた。

猟奇殺人鬼が近くに潜んでいることを直感したジョンは、自らノートに検証した事を書き出して、調査に乗り出す。
友達のマックスと仮装をして夜の町を歩いていた時、怪しい男を見掛けるジョン。

その後、仮装パーティに参加したが、どうも馴染めないでいると、いつものいじめっ子のロブが絡んで来て、不愉快だったので、
この日はいつになく、あたかも自分が猟奇殺人鬼であるかのように言い返した。
猟奇殺人犯が未だに捕まっていない事もありロブは怯えていた。
それから家へと戻ると、またしても猟奇殺人の犠牲者の遺体が運び込まれていた。
その傍に寄って、無くなっている臓器がないかと調べていたら、母に怒られて、作業場への立ち入り禁止を宣言されてしまう。

瞬く間に、これらのジョンの異常ともとれる行動はセラピストの耳に入り、翌日、またしても彼から問題視されるジョン。
「なぜ、そのような行動を取るのか?」と尋ねられて、ジョンは正直に「シリアルキラーへの親近感から。」と答えるのだった。
この時、セラピストと一緒にバードウォッチングをしていたのだが、望遠鏡の先にジョンは、昨日の夜に見掛けた不審な男を見る。
ジョンは、この男を怪しんで、その後、一日中、見張っていた。
すると、隣のクロ―リーが、その男に話し掛けて、男から「穴釣り(氷に穴を開けてする釣り)へ行く。」と聞くと、
自分も同行させてくれと言って、2人で連れ立って車に乗り込んで出掛けて行った。
その後を自転車に乗って追跡するジョン。

ところが、殺害現場となった氷りついた湖の氷上で、殺されたのはクロ―リーではなくて、怪しいと思っていた男の方だった。
ただし、先に殺害しようとしたのは怪しい男の方で、それを察していたクロ―リーに先を越されて殺されてしまったのだけれど。
クロ―リーのそれは完全な猟奇殺人で遺体から内蔵を次々に引きずり出して、奇妙な唸り声を上げていた。

その日は感謝祭で、母は七面鳥に詰め物をして料理をしていた。
ジョンは、さっき見た殺害の光景があまりに衝撃的で暫く自分の殻に籠っていたが、叔母に母の手伝いをするようにと注意されて、普段通りに動き出す。
この時、居間でテレビがついていて殺人事件の続報をやっていた。
テレビは42年前にアリゾナで起こった殺人事件について話していた。
その時、エメット・オープンショー(当時30歳)という人物が現場から失踪しており、その殺害現場には今回の一連の殺害現場と同じく黒い油のようなものが残されていたと言う。
そのニュースにジョンは釘づけになる。
おそらく、その、エメット・オープンショーとは隣のクロ―リーに間違いないからだ。
 それからというものジョンは必要以上に隣の家に関わった。

普段のクロ―リーは、体のあちこちにガタが来ている弱々しい老人であり、いつも穏やかに人と接して、妻を心から愛していた。

だが、ニュースの続報は「今回の殺人現場からアリゾナで失踪したエメット・オープンショーのDNAが発見されたと伝えていた。
この時点で、ジョンが警察に、クロ―リーの事を通報していたならば、連続殺人は、ここで終わったと思われたが、ジョンは、何故か通報しなかった。
それ故に、この後も連続殺人は続き、やっとジョンが通報して駆けつけた警察官らさえも殺害されてしまう。

「正体を知っている。」とカードに書いて、車のワイパーに挟んでみたり、電話を掛けて脅したりもしてみたが、逆効果でクリスマスの夜には、マックスの父親、ロジャーも、殺されてしまった。
ご近所の誰かが殺される度に葬儀が行われて、その度に善き隣人の顔をして参列するクロ―リー。

この頃になると、ジョンの母は、遺体処理の手伝いを止めさせてから、彼が、かえって不安定になったので、それが悪かったのではないかと気にするようになっていた。

そんな母のお角違いな考えにイラつきながらも、ジョンは究極の恐怖と戦い、なんとか自力でクロ―リーを退治しようと考えていた。
そこでGPS追跡装置を買い、クロ―リーの車のトランクの中へ忍ばせる。

そしてその日の夜、クロ―リーが車に乗って外出中に、彼の家へ忍び込み、妻の寝ている寝室へ行って寝ている彼女の写真を撮影する。
それだけにしておけば良かったが、もっとインパクトのある写真にしようと思い枕カバーを彼女の頭に被せようとして起こしてしまい抵抗される。
暴れられて困り、枕元にあった目覚まし時計で一発殴りつけたら静かになった。
殺すつもりなどなく、ただ、写真をクロ―リーに送りつけて脅し、彼の連続殺人を止めさせるつもりだった。
枕カバーに血が滲み動かなくなったので、てっきり殺してしまったと思ったジョンは、焦ってセラピストに電話する。
「取り返しのつかない事をしてしまった。」というジョンを心配して、セラピストは、ジョンの居場所もわからないまま、車に乗って外へ出る。

その後、彼女が意識を失っていただけで死んでいないと気付いたジョンは、更に写真を数枚撮影し、予定通りに、そられの写真をクロ―リーに送り付けた。
クロ―リーが家へ帰り着く前に、ジョンは外へ飛び出し、クロ―リーが家へ入るのを確認すると、すぐに彼の車のトランクを開けてGPSを取り出した。
その後、前の座席に誰かが座っているのに気付き、窓から覗くと、既に息絶えたセラピストだった。
ジョンはセラピストのガウンを、はだけると、まだ心臓を奪われていない(臓器は順番に狙われており残りは心臓であったので。)事を確認して、遺体を引きずり出し林の中へ隠した。
もう夜が明けていた。

クロ―リーの家の前まで戻ると、ちょうどクロ―リーがトボトボと外へ出てきた所で、遺体がなくなっている事に気付き、ジョンを睨みつけていた。

その日、セラピストを忍ぶ集会が教会で行われた。
そこに町の人々と共にジョンが参加していると、遅れて入って来たクロ―リーが、ジョンの隣に腰掛けて「おまえは私の妻を襲った。」と囁いた。
ジョンが「あなたは、セラピストを殺した。」と言い返すと「それで彼は、あんな時間に外にいたのか。」とクロ―リーは事情が飲み込めた様子であった。
更にクロ―リーが「ガウン姿で、路上を駆けまわり、ある子供を必死で探していた。」と言うと、ジョンは辛くなって涙を堪えた。
死体の隠し場所を聞くクロ―リーに、答えず、ジョンは腹立たしくて「いつ死ぬんだ?」と聞いた。
すると「死ぬ前に次を探すさ。」とジョンの目を見据えて平然と言ってのけるクロ―リー。
ガチで睨みあい火花を散らす2人だった。


《映画 アイム・ノット・シリアルキラー ネタバレ 結》

次の標的は、あろう事か、ジョンの母であった。
片付けをするために最後まで教会の中に一人、居残っていたのだ。
教会の中にも地下室にエンバーミングの処置室があり、母はそこの部屋の寝台に頭を殴られて寝かされており、クロ―リーがその前に座っていた。
「心臓が必要だ。誰のでもいい。」と言うクロ―リー。

「愛する人への気持ちが、反社会的行動を抑止する。」と殺されたセラピストが言っていた。
ジョンの心には、家族を愛するという気持ちがあったので、ジョンはクロ―リーに問いかけた。
「奥さんを愛している?」だが、そんな人間向けの理屈はクロ―リーには通じない。

クロ―リーは実のところ人間の肉体を借りる魔物だったからだ。

ソシオパスとシリアルキラーの最終決戦の時が来た。

「死体はどこだ?」と尋ねるクロ―リーに「冷凍庫だ。」と指さすジョン。
その頃、母も寝台の上で目が醒めていた。

冷凍庫へ歩いて行こうとするクロ―リーを天井からぶら下がっていた横長の鉄柱を捻って一撃で倒す。

そして起き上がった母に「こいつが殺人犯だ。」と告げて、2人して力を合わせて、身体を拘束してから、寝台に寝かせて、生きたままエンバーミングの溶液を注入する。
これを注入すると身体から血が抜けるのだが、クロ―リーの場合は、真っ黒な油のような例の殺害現場に落ちていた液体が出てきた。
苦しみながらクロ―リーが悶え死ぬと、彼の身体を突き破り、中からエイリアンのような化け物が出てきた。
化け物はクロ―リーに長年、寄生して、生きるために、人間の内臓を必要としたようであった。
「俺の代わりに妻を頼む。」と言う化け物は、医療器具のような金属の棒を自分で自分の身体に突き立てて自殺した。

妻を愛するが故に、長い間、いっしょに暮していたらしい化け物。

その後、ビル・クローリーの身体もドロドロになって溶けてしまった。
ビル・クローリーは行方不明とされたが、警察が真相を知らずとも、こうして一連の連続殺人は終止符を打たれた。

翌日、セラピストのエンバーミングが行われたが、ジョンは案外ケロッとしていた。
そして、あの溶液のスイッチが入れられたとたんにポップなメロディが流れ出して、溶液の装置の目盛りもリズムを刻み始めた。

例えソシオパスであっても、殺人鬼ではない事を証明出来て、愛する人たちも守れて、町に平和を取り戻せた事で、ジョンは嬉しかったのだろう。


映画 アイム・ノット・シリアルキラー 感想



シリアルキラーにクリストファー・ロイドという大物を配役しているので、それならば見てみようかと思う人も多いんではないでしょうか?
主役の男の子が、女の子のように綺麗な子で目を惹くよね。

ソシオパス対シリアルキラーというサブタイトルが付いている事から、最近よく映画に登場するソシオパスへの理解を深めるためにも観ておいて損はない映画。
最近、ソシオパスの悪役が主役を食うほどの凄まじさを見せる韓国ドラマの『鳴かない鳥』を2回目の観賞し終わったところなんですが
『反社会性パーソナリティー障害』という意味では、ソシオパスとサイコパスの区別がつかない人もおられるでしょう。

精神障害者と定義されているのがサイコパスで、その特質は先天的なものなのに対し、ソシオパスは、生育環境などに著しく影響を受けて形成された後天的な反社会性人格障害です。
貧しさによる弊害から、常識や他者に対する労わりの心が掻き消されてしまうようなタイプのソシオパスが韓国ドラマ『鳴かない鳥』に出てくるソシオパスでした。
銭ゲバの主人公、蒲郡風太郎もまたソシオパスです。

さて、本作では「ソシオパスは自己の欲求をコントロール出来るのか?」というのが一つの問題定義になっており
「ソシオパスの中には、この映画の主人公の少年のように残虐性と同時に、家族や友人への愛情も同時に持っていて、自分の中の反社会的な欲求をコントロール出来る者もいる。」
との回答をキチンと出してくれているようです。

葬儀社という特殊な環境で育っても、家族に愛情を注がれて育てられたならば、その環境下で生まれた反社会的心理を抑制出来ないわけではないというメッセージなのでしょうか?

ストーリーの方は、シリアスなミステリーかと思いきや、
だんだんと犯人像が様変わりしてゆき、最後はシリアルキラーと言っても、異常心理の人間がやらかしたんではなく、エイリアンぽい化け物が、人間の姿を持続するために人を殺して、臓器を奪う必要があったみたな…。
この辺りのエイリアンの事情が、ちゃんと説明されてないのは、この映画のかなり残念な部分です。

いったい昔、何の目的で、エイリアンはビル・クローリーに憑りついたのか?とか、
映画の舞台となったクレイトン郡の田舎町では、ずいぶん長い間、普通に暮らしていたのに、なんでまた最近になって急に人間の臓器が必要になったのかも、謎のままでしたし、
こういうSFみたいなオチにするのは別にいいけども、それならば、エイリアンの背景をもうちょっと、ちゃんと語って欲しかったわ。

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

映画 ラ・ジュテ ネタバレ・あらすじ・感想

映画ネタバレ~のご紹介です。

映画 ラ・ジュテ ネタバレ・あらすじ・感想






映画 ラ・ジュテ 概要



1962年公開のフランス映画。
監督:クリス・マルケル
脚本:クリス・マルケル
ジャンル:SF
上映時間:28分

ヒット作『12モンキーズ』の元ネタとなった映画である。

第3次世界大戦後の廃墟と化したパリを舞台に、戦争を生き延びたものの地下生活を送る羽目に陥った人類。
その世界で支配層となった科学者たちが、“過去”と“未来”に救済を求めるために、被験者らにタイムワープの人体実験を繰り返していた。
しかし次々に失敗に終わる中、少年時代の記憶に取り憑かれた男を使ってのタイムワープ実験は唯一成功し…。

全編モノクロのスチール写真とナレーションだけで構成した異色作で、ワンシーンだけに動画が挟み込まれている。
監督はヌーヴェル・ヴァーグの映像作家クリス・マルケル。

映画  ラ・ジュテ ネタバレ・あらすじ



《映画 ラ・ジュテ ネタバレ 起》

まだ幼い頃、両親と行った空港での光景が、いつも鮮明に彼の記憶の中にあった。
オルリ空港での出来事だ。
第三次世界大戦勃発の数年前の事であった。

ある日曜日、家族で空港を見物しに出かけた。

送迎台で見た悲惨な光景と、その傍にいた、ある女性の顔。
戦争前の平和な時代のその女性の顔は、後になって見覚えがあると気付く事となるのだが…。

現実なのか幻想かわからず、彼はずっと自分に問い続けた。
 突然、一人の男が何者かによって射殺されたのだ。


《映画 ラ・ジュテ ネタバレ 承》

その後、パリは戦火に包まれ崩壊した。
戦後、地上は放射能汚染のために最早、住めなくなり、勝者も敗者も、僅かばかりの生存者は皆、地下生活を余儀なくされる。
それでも勝者はまだマシだ。
敗者の方は勝者の奴隷となり、薄暗い地下の町で勝者の言いなりになる暮らしを強いられた。

住めなくなったのはパリばかりではない。
放射能汚染の被害は地球全土を覆い尽くした。

今更、戦争を悔いても仕方がないが、勝者である科学者らは、捕虜を実験台にしてタイムトラベルの実験を始めた。
実験台になった捕虜たちは次々に死ぬか狂うかであったにも関わらず、捕虜らの人権を無視して、その実験は続けられた。
過去へは戦争抑止の呼びかけをするために。
未来へは救援物資を届けてもらうために。

そして、その実験台にオルリ空港での記憶が忘れられないあの彼が選ばれた。
彼は恐れた。
噂話を聞いてマッドサイエンティストを想像していたからだ。
だが、目の前に現れた科学者は彼の想像とは違い冷静沈着に、その実験の目的を説明した。
「人類の滅亡を防ぐために時間を操作する」と。
更に科学者は言った。
「時間に穴を開けて被験者を送り込み、薬やエネルギーを持ちかえる。時間の穴を開けて過去と未来を繋ぎ現在を救う。」と。

だが、体は時を移動しても意識が伴えなず、意識のみ現在に取り残されるのが常なのだ。
もし、これを強行し意識ごと過去へ行こうとすれば、衝撃が強すぎて、死んでしまうか気を失うかで、これまでの被験者では失敗を繰り返してきた。
そこで、衝撃を乗り越える強い想像力があれば現在へ戻る事も可能であろうという仮説のもと、今回の実験台には想像力の強い彼が選ばれた。
警察によって夢を覗き見されていた奴隷たちの中から、過去に執着心を持つ彼に白羽の矢が立ったというわけだ。

過去への旅と言っても、マシンを使うわけでもなく怪しい注射1本で、過去と現在を往復すると言うのだから、薄気味が悪い。

実験は開始されて彼は旅立った。
これまでの被験者とは違い、彼は死なず、錯乱もしなかった。
しかしながらやはり激しい苦痛の伴う実験であった。

こうして過去へと旅立って16日目の事、彼はあの空港の送迎台にいた。
だが、誰もいなかった。
あの日とは違うようだ。
あの時の女性の姿を探して、あちこちと彷徨う。
送迎台に戻ると、彼女は一人で、空を見つめて、そこに立っていた。
さまざまな映像が交差するまるで記憶の博物館だ。

タイムトラベルの旅へ出て30日目。
彼は、あの女性と再会した。


《映画 ラ・ジュテ ネタバレ 転》
彼は科学者たちの意図により、何度も過去への旅を繰り返した。
何度も、彼女が目の前にいる同じ瞬間にも戻った。
その何度目かには彼女に話し掛けてみた。
気さくに応じてもらえて嬉しかった。
急速に親しくなる二人。
二人で公園を歩いたり、彼女の部屋で過ごしたりした。

彼は神出鬼没に彼女の前に現れ、そして語り、聞き、いつの間にかいなくなっていた。
いつしか彼女はそんな彼に慣れて、そういうものだと自然に受け止めるようになっていた。
そんな中で彼は、自分の秘密をある程度、彼女に打ち明ける。
同じ1日を繰り返す事もあったが、二人はだんだんと親しくなり、彼はこの時代にずっといて彼女と共に暮らしたいと願うようになる。
このタイムトラベルが自分の意思か強制だかもわからなくなった頃、どちらにしろ彼の心は、彼女で一杯に満たされていた。

タイムトラベル開始50日目。
今までは、戻る過去の日時は調節出来なかったが、最早、照準は完璧で、狙い定めた月日に送り込めるようになっていた。
一番、現在に近い時点にいる彼女の方でも、もう、未来から突然やってくる彼にすっかり慣れていた。

博物館でのデートが、彼にとって彼女と過ごした最後の時であった。
実験室へ戻った時「過去への旅は成功だ。次は未来へ。」と所長に告げられる。
彼は、新しい冒険に興奮を感じて、博物館で会ったのが、彼女と過ごす最後だったとは気付かずにいた。

《映画 ラ・ジュテ ネタバレ 結》

未来は過去よりも難しかったが、何度かの実感の後に、彼はようやく未来へと着地した。
地球は変貌していたがパリは再建されていた。
未来人は冷たくて、過去の人類を拒絶した。
だが、そこを、彼は「もし過去の人類が滅亡したら、あなた方は存在しないのだよ。」と説得した。
この論理は有効だった。
その結果、彼は未来から、全産業を復興させるエネルギーを現在に持ち帰る事に成功する。
するとすぐに未来へのトラベルは封印された。
彼は実験室から他へと部屋を移され、少年期の映像を与えられて、快適に過ごした。
しかしながら、彼は最早、用済みの人間であった。
科学者たちは、もうすぐ彼を抹殺するつもりでいた。

そんな時、彼は未来人からメッセージを受け取った。
すると間もなく未来人が目前に現れた。
未来人のタイムトラベルである。
未来人は彼を仲間として受け入れると言う。
でも彼の望みは違った。
未来ではなくて、少年期を過ごした過去に戻りたかったのだ。
そこには彼女もいた。
未来人は彼の望みを聞き入れて、あの日、あの時の、オルリ空港の送迎台に送ってくれた。
そうあの日は暑い日曜日だった。
彼は送迎台で彼女を見つけ出す。
彼女のいる場所へと喜び駆けて行く彼。
しかし…そこには既に、彼がいた時代からの追跡者が現れていた。
脱走は不可能だったのだ。

少年の頃、見た、あの、見知らぬ男が銃弾に倒れる光景は…常に心を苛まれて来た強迫観念の正体は…
自分の死の瞬間だったのだ。

映画  ラ・ジュテ 感想



一応、SFって事になってますけど、怪しい注射を打つだけで、過去や未来へタイムトラベルって、つくづく科学とは無縁な映画ですね(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」ナンデヤネーン!
ラリってるだけじゃないのかよ?ww

そして、よくわからない部分が多いんですが、過去へ行くのは、愚かな第三次世界大戦を阻止するために行くのかと思いきや、
何度、行っても、気になる彼女とデレデレ~とおデートを重ねるだけって、それでなんで目的達成と言えるのか?

更に不思議なのは、他の捕虜さんをタイムトラベルさせたら、全員、死んじゃうか錯乱するかで、ラストに行かせた彼が唯一の実験成功例だった筈のなに…彼の追跡者って何者なんだ?
そしてまた、抹殺しなければならない理由もさっぱりわからないのですが…。

テーマ : 昔の映画
ジャンル : 映画

プロフィール

桃

Author:桃
文学と映画の好きな主婦。
神戸に住んでいます。

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